#25 Discordコミュニティに集まるスニーカーヘッズ
sweetgreenのローカルコミュニティに刺さる店舗開拓、Amazonは自社のクッキー的サービスのローンチを検討、ロイヤリティプログラムでショッピング中毒になっている
『CEREAL TALK』は、米国の次世代ブランドや小売、ニューラグジュアリーにフォーカスしたメディアです。毎週月曜日の朝にニュースレターをお届けしています🥣 by 沼田 雄二朗(@Numauer), 宮武 徹郎(@tmiyatake1) and 草野 美木(@mikikusano)
🥣 Briefing
Discordコミュニティに集まるスニーカーヘッズ
2015年にゲーマーを中心に人気のコミュニティアプリDiscordが、スニーカー好きの若者層が集まる場所にもなっていることを知っているだろうか。BoFの記事では、スニーカーコミュニティとDiscordの関係について解説している。スニーカー専用のサーバーだけで1.2万人のメンバーがいて、2021年6月にはStockXもプラットフォームに参加してイベントStockX DayをDiscordで主催。業界トップの人たちからの登壇、抽選会、ライブ音声イベントなど開催し、StockXのサーバーには初日だけで2万人が登録した。Discordではストリートウェアやスニーカー業界では人気な「cook groups」などトップのスニーカーヘッズたちがプライベートコミュニティの場所として使われることが多い。その「cook group」に入るのに毎月$5から$80かかるらしいが、その代わり先に新商品をゲットできるとのこと。今後はStockXはDiscord上でのアンバサダープログラムなどを検討しているが、いかにインタラクティブで楽しいブランドサーバーを作れるかが重要になってくるだろう。
sweetgreenのローカルコミュニティに刺さる店舗開拓
『Modern Retail』の記事では、アメリカで121店舗展開するsweetgreenは、新都市に出店時、野外広告とコミュニティマーケティングについて紹介している。sweetgreenのコミュニティマーケティングとは、ローカルのファーマーズマーケットに行って認知を広げたり、地域内で音楽フェスを主催して人気アーティストを呼んでいる。コロナ明けには新しい店舗のオープン前に味見が出来るようするらしい。多くのD2Cブランドはパフォーマンスマーケティング予算とブランドマーケティング予算を持つことが多いが、コミュニティマーケティングはブランドマーケティングと認識する会社が多い。ここでの目標はムーブメントを作ること(熱意のあるコミュニティ)。それが出来ると、sweetgreenとしては競合のJust SaladやChop'tが入ってきても優位性を保てる。コミュニティマーケティングと一緒に野外広告も積極的に行なっている。新しく展開するアトランタ店舗では提携した大阪なおみを活用してコラボした商品をプッシュしている。sweetgreenは去年マーケティング手法を変えて、インハウスで全て行うことを決めた。今では26名体制のインハウス代理店はクリエイティブ、ブランド制作、SNS運営などを担当している。
Amazonは自社のクッキー的サービスのローンチを検討
GoogleがサードパーティCookieの規制をかけようとしている中、Amazonは自社のDSPと配信サービスの拡大を考えていると『Digiday』で報じられている。直近で広告主や広告配信したい会社向けのAmazonの広告エコシステム内でよりユーザーのトラッキングが出来る機能についてディスカッションをしていることが明らかになった。AmazonのCookie類似サービスはAmazonのDSP内でしかアクセスできないと言われている。ローンチ日は未定だが、広告業界でトラッキングが難しくなる中、デジタル広告領域でかなりマーケットシェアをAmazonが取りに行くチャンスとなる。
Amid post-cookie confusion, Amazon plans to launch an identifier of its own
✏ View
ロイヤリティプログラムでショッピング中毒になっている
SHEINをはじめ、アメリカでは徐々にショッピングにゲーム・エンタメ要素が強くなっている。アプリを毎日開いたり、写真レビューのアップロード、ライブ配信の視聴、そしてチャレンジ企画に参加するとポイントをもらえる仕組みを作っている。SHEINユーザーは1日2,000ポイントぐらいまで得られる。100ポイントが100円で、SHEINだと数百円の商品もあるのでユーザーからするとポイントを貯めるインセンティブがある。『BoF』の記事では、SHEIN以外にもZ世代に人気なPacSunの事例が紹介されている。ブランドからのメールを開くだけでポイントを提供したり、スキンケアブランドのBlumeやアスレジャーブランドのGirlfriend CollectiveはSNSアカウントをフォローするとポイントをあげるようにしている。どのブランドもユーザーのアテンションを取り合っているので、サイトやアプリへ戻るきっかけを増やすことによって購入機会を増やしている。購入に至らなくても、ユーザーの検索、行動パターン、CTRなどデータを獲得することによってSHEINなどは次の商品開発や売上予測に役立っている。ブランドからするとユーザーにとってもらいたい行動へのインセンティブ付けにもなる。ファストファッションブランドのBlush MarkはユーザーがブランドについてTikTok動画を作るとポイントを提供している。ユーザーのブランドとのエンゲージメントが増えると平均注文額が上がると、Blush MarkのCMOが語る。似たようなことがビューティーブランドのBlumeで起こっている。Blumeのリワードプログラムに入っているユーザーは入ってない人と比較してリピート率が2倍高い。さらに一定のポイントを達成すると特別グッズや特殊な名前の入っているメンバーシップグループやコミュニティへのアクセス圏を提供するブランドも多い。
Editor's View
これは最近Forerunner Venturesが書いた「ロイヤリティの重要性」についてに近い話。メンバーシッププログラムに積極的に投資しているブランドは、コアユーザーが一般顧客より圧倒的に価値があると理解しているから。Amazon Primeのメンバーは入ってない人より2.3倍の購入をしている。マリオットホテルの半分の部屋のブッキングはメンバーから来ている。Targetでは売上の4割がメンバー、スターバックスでも半分がメンバーから来ている。ロイヤリティが重要になってくるのは競争が激しくなるタイミングで、アメリカでは1950年あたりからスーパーや航空会社がロイヤリティプログラムを始めた。このロイヤリティプログラムはマーケティングの一環でしかないので、いずれか効果は落ちる。そのため、もしユーザーをロイヤリティプログラムで捕まえるのであれば早めに実験するのがおすすめです。みんながやるとまた同じ体験になり優位性がなくなるので、その前に実行する、もしくは次のロイヤリティ作りの施策を打ち始めても良いかもしれない。マーケティングはタイミングが命なので、それを見逃さないように気をつけなければいけない。——宮武
📰 News
Shopifyで販売しているブランドを買収するOpenStoreが$30M調達 - Axios
セリーヌを去ったフィービー・ファイロがカムバック - Financial Times
Forever 21やBrooks Brothersを抱えるAuthentic Brands Groupが上場申請を発表 - Business of Fashion
このニュースレターへの質問やコメント、ご感想などはこちらまで🥣
@CerealTalkjp by @Numauer, @tmiyatake1 and @mikikusano