#59 家具に生まれ変わる、川底の電動キックボード
チャットベースのラグジュアリーECはスケールできるのか?、ピート・デヴィッドソンの地元を愛する「delicore」スタイル、リブランディング失敗事例、店舗受け取りの体験、店舗BGMの効果
🥣 Briefing
家具に生まれ変わる、川底の電動キックボード
日本でも目にする機会の増えた電動キックボードのシェアリングサービス。公共交通の隙間を埋めることで自動車の利用を減らす、環境に優しい新たな移動手段として世界的に流行している。
そんな現在進行系で普及の進むキックボードだが、一部で人気が裏目に出るケースが発生していると『Fast Company』は伝える。
街の各所で出番を待つキックボードが、壊されたり、川に捨てられたりと、心ないいたずらの標的になる事例がしばしば起きているというのだ。極めつけには、内蔵のリチウム電池が溶け出し環境汚染につながるといった本末転倒ぶり。スウェーデンの地元紙では、「運河の底に200台以上のキックボードが捨てられている。」とまで報じられている。そこで立ち上がったのが気鋭のデザインスタジオ「Andra Formen」(スウェーデン語で「第二の形」)。彼らは運河から引き上げたキックボードを材料に、デスクランプ、椅子、水耕栽培用プランターといった家具を制作するアップサイクルプロジェクトを行った。キックボードの特徴を残したデザインはとても魅力的なのでぜひ見ていただきたい。
回収、解体、洗浄、消毒と、手間がかかりビジネスには不向きかもしれないが、こうした社会環境問題を魅力的なプロダクトに変える試みは、下手な啓蒙活動よりも効果があるように思ってしまった。
Designers used e-scooters tossed in rivers to make furniture, proving
チャットベースのラグジュアリーECはスケールできるのか?
ロンドンを拠点とする「Threads Styling」は、既存の投資家から1200万ドルの調達を発表し、さらに顧客向けのクラウドファンディング・キャンペーンを開始したと『Business of Fashion』が伝えている。
2014年以来、彼らはInstagram、TikTok、WeChatなどのプラットフォームで話題性のある洋服やジュエリーのスタイリング写真をアップし、ダイレクトメッセージで販売、ソーシャルメディア上でラグジュアリー品を売る6000万ドルのビジネスを構築してきた。自社で在庫は持たず、プラダやロエベなど600以上のブランドや小売業者と提携し、手数料を支払って主にZ世代やミレニアム世代からなる顧客の手に渡している。
社内のスタイリストとパーソナルショッパーのネットワークを活用し、毎日ソーシャルメディアチャンネルにコンテンツを投稿し、話題の商品や入手困難な商品を顧客に提供している。創業者のソフィー・ヒルは「ラグジュアリーリテールにおいて、消費者にとって重要なことはキュレーションと利便性だ」と述べている。ブランドのボリュームではなく、キュレーションをすることで顧客はスタイリングとコンテンツに導かれる。
Threads Stylingは当初、Eコマースとソーシャル・ネットワーキングの交差点に位置し、従来のプレーヤーと差別化を図り、ソーシャル・コマースの分野に注目する人気ブランドを引きつけていた。しかしNet-a-PorterやFarfetchといったセクターのリーダーと比較すると、Threads Stylingは依然として小さな存在である。同社によると、2021年度の売上は4590万ポンド(約45億円)だった。今後はOne to Oneモデルを拡大するとともに、ライブショッピングイベントやより幅広い層をターゲットにした取り組みも展開する予定。明確な目標もあるそうだが、事業を拡大することと特別な体験や希少価値が高い商品を提供し続けることのバランスを取ることは課題となりそうだ。
🎙 Podcast
#50 リブランディング失敗事例、店舗受け取りの体験、店舗BGMの効果
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ピート・デヴィッドソンの地元ショップを愛する「delicore」
『New York Post』では、”デリ”カルチャーにちなんだファッショントレンド「delicore」について紹介しています。デリとは、サラダやチキンなど惣菜からサンドイッチなど販売し、カフェなども展開しているお店もあるそう。ベーグルが人気のニューヨークにある老舗スーパー・デリのZABAR'Sは、今春にコーチとのコラボを発表。ベーグルとロゴが描かれた495ドルのセーターはすでに完売!。グルメマーケットプレイスのGoldbellyでは、フードブランドのグッズの売上が前年比で30%増加したと報告。Goldbellyの創業者が言う「お気に入りの地元レストランを”レペゼン(代表)”するのは、お気に入りのスポーツチームを”レペゼン”するのと同じ」というのは納得です。セレブたちも地元のデリやレストランのアイテムを身につけていて、キム・カーダシアンとの熱愛で話題になってる俳優兼コメディアンのピート・デヴィッドソンやラッパーのトラビス・スコットがよくかぶっている帽子は、LAにあるUncle Paulie's Deliのキャップ。その場所が好き、行ったことがあるというのは、知ってる人には刺さりますよね。わかってるね!ってなるのは楽しいですし、好きなものを”レペゼン”するのはファンダムに近い現象です。バンドTシャツも近しいのかもしれません。渋谷「兆楽」や代官山の「末ぜん」のTシャツみたいにかっこいい服をもっと増えたらいいなって思います。ほしい!——草野
Pete Davidson 'delicore' style inspired by bagels and babkas
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