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Shopifyアプリの選び方が変わる?Shopifyの投資戦略の現在
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Shpoifyの投資戦略に関するModern Retailの記事が興味深かった。先日Triple Whaleというアトリビューション分析ツール(objctsでも数ヶ月使ってました)に投資したShopify。$25Mを調達するシリーズBラウンドで、実際の投資額は明らかでないが、高額であることは想像が容易い。Insiderによると、これまでにShopifyが投資したスタートアップは2021年が7社、2022年は9社ほどだという。投資先のスタートアップはエクスクルーシブなパートナーとして扱われたり、レコメンドツールとして紹介されている。例えば昨年$100Mの投資を獲得したKlaviyoはShopify Plusの推奨e-mail配信ソリューションに指定されている。
Shopifyマーチャントからすると、Shopify App上から最適なツールを選択するのは骨が折れる仕事だ。そこで注目されるのがShopifyから投資を受けているか否かという点だ。つまり、いまShopifyと密接な関係にあるスタートアップのツールが、同様のツールと比較して最もベストなのではないか?と推測できるからだ。このようにShopifyは今や8000もあるアプリのなかから優良なビジネスを探し出すという重要な役割を負っている。実際、APIベースのコンテンツプラットフォームであるSanityは、Hydrogenと連携する唯一のCMSとなったのち、Shopifyから投資を受けた。Shop Payで唯一使えるBNPLのAffirmでも同じようなことが起きており、ShopifyがAffirmの株式において8%のシェアを持っている。Klaviyoに関しても、開発中の機能へのアーリーアクセス権限が与えられたり、Shopifyと顧客を紹介しあったりしており、KlaviyoのHead of ShopifyのCohen氏によると、Shopifyからの出資は強固な関係を実現する「トークン」のようなもの、と話している。
より深く、幅広い連携を持ちつつユーザーエクスペリエンスにフォーカスしているツールを選べば、より早く、安く、多くのことが実現可能になるだろうとCohen氏は語る。このような強固な関係は、まだShopifyを利用していないマーチャントへのセールスポイントでもある。エージェンシーのNetalicoのLewis氏は、コードをそんなに書く必要がなくなり、インテグレーションを持つツールだったり、戦略レベルのアドバイスをするようになったと述べている。
普及が加速するScan&Payサービス
店舗で購入する商品バーコードをアプリで読み取り、レジに並ばず簡単に買い物が完了するプログラム、Scan&Goを導入するグローサリーが米国で増加している。スーパーマーケットチェーンのHy-Veeや、walmartが所有・運営する倉庫型の小売店Sam’s clubのほか、一度は同プログラムを中止したWalmartもサブスクメンバー向け限定特典としてこの機能を復活させている。
デリバリーサービスを展開するInstacartは、自社が運営するグローサリー店舗Foodcella Market 2店舗でScan&Goプログラムを開始すると発表した。導入予定のScan&Goの流れは次のとおりだ。まず顧客は入店すると店舗のwifi接続情報を含むQRコードを読み取りオンラインアカウントにサインイン。ショッピング中、製品を買い物かごに入れる際に製品バーコードを読み込む。買い物が終了するとそのままオンライン上で決済し、店舗を出る際に出口のQRコードを読み込みエグジット完了だ。
Scan&Goサービスが普及してきたのは、同サービスがこれまで抱えていた課題が解決されてきたことが大きいな要因と考えられる。例えば、インスタカートのScan&payプログラムは、専用アプリのダンロードが不要でブラウザからアクセスできる他、複雑な技術が不要なため顧客は利用しやすい。小売店からみても、スムーズな購入体験の実現により客足が獲得できるScan&Payサービスは魅力的で、最近の不正検出技術の発展でこれまで懸念していた万引きの増加を予防できるようになったため、もはや導入をためらう理由がなくなってきている。
またScan&Goサービスをショッピング中の予算管理ツールとして利用されているというこの記事の指摘は興味深かった。インフレにより物価が高騰している昨今、支払い予定金額をリアルタイムで可視化するScan&Payサービスは、顧客のショッピング時のストレスを軽減できる。
日本ではScan&Goサービスが小売店の人材不足の解決するレジレス化の手段として紹介されることが多い。国内の大手スーパーマーケットで「Scan&Go」 を展開するUSMHホールディングスによると同社Scan&Go サービスの利用率は平均2%ほどだという。人材不足の解決手段にするためには利用率を上げる必要がある。今後の普及のためにはInstacartのような顧客目線でのサービス設計が参考になりそうだ。
Instacart debuts Scan & Pay solution with New York City grocer