🥣 Briefing
行動変化の仮説から投資するForerunner Ventures
Forerunner Venturesの投資戦略が面白い。スタートアップの役割は今や人生に影響を与えるレベルであることが求められており、実際その可能性を秘めているようだ。
今私たちが生きているのは、基本的な生活が贅沢品であるかのような不安定な時代だ。医療制度の深刻な欠陥、社会的及び政治的分断、気候変動、孤立、国家に期待されるも不十分な保護など問題は山積みだ。また経済的安定は、達成不可能な目標のように感じられ、労働人口に該当する多くの女性が介護に従事している。世界全体としてどの国の人々も楽観視はできない状態だ。このように健康、経済的安全、環境保全、コミュニティ、幸福などの生活の基盤は一見当たり前でありふれたもののように思えたが、現代においてこのような生活の基盤は贅沢品で当然のものではない。
そこで取り組むべき課題について、Forerunner Venturesは特に重視されているものとして、明確で、深刻で、根本的な2つのニーズの存在を指摘している。ひとつは基本的なニーズ、もう一つはノスタルジーなニーズだ。
今や人々はかつてないほど多様だ。アイデンティティ、信念、情熱と社会的投資の分野、仕事、成功の定義についてさまざまな考え方がある。それに対して、ニーズは以前と変わらない。個人起業家も、キャリア志向の母親も、テレワークの中でキャリアと社会生活を築こうとしている大学卒業生であろうと、誰もが目的、方向性、成長、幸福を必要としている。そんな中、生活ニーズを担う機関の多くは、古い概念に基づく構造で、現代の多様性には合わないため現代の問題や優先事項に対応する設備が整っていない。そこには、満たされていないニーズを抱えている人がいる。例えば、異性愛を基本とした社会規範の場合、LGBTQ+カップルにとって家族計画を立てることができるのか?かつては協会に集中していた、目的と所属の一部を回復するために価値観に沿ったコミュニティをどのように構築するのか?企業や消費者にとって持続可能性をより身近なものにするにはどうすれば良いのか?
事後対応型に設計されている今の医療システムのなかで、個人の健康を自らの手で管理し、健康状態を最適化するための適切なリソーつを消費者に提供するにはどうするか?など。これらは、多様化してきた人々を支える問題であり、この領域にはチャンスが広がっている。
2つ目のニーズはノスタルジーだ。Z世代は、オフィスワークへの復帰やガラケーに魅力を感じており、このような旧来式の生活を望む30歳以下の人は72%にものぼるという。ソーシャルメディアの活気が過ぎ、人々は生活のより伝統的でアナログな部分に再び目を向けている。ノスタルジアに関連して、富と成功の現代的な定義は、消費社会主導の豊かさから真の満足へと変化している。昨今ますます脆弱化する基本的な生活の中で、長寿と健康はステータスシンボルであり最も切望される資産のひとつだ。また強力で協力的なコミュニティや純粋で実用的なライフスタイルへの熱望が高まっている。
投資家として、これほどまでに消費者の真のニーズに注目する時代はかつてなかったとForerunner Venturesはいう。この真のニーズを満たすスタートアップが待望されている。
The Next Wave of Game-Changing Companies Will be Life-Changing Companies
プライベートレーベルの加速に立ち向かうには?
コロナ禍で急激に人気が高まったプライベートブランドだが、23年の世界経済の影響を受けてさらに需要が加速している。そのためCPGブランドはこのプライベートブランドの台頭が目下の課題だ。ロイトの調査によると、小売店利用客の65%が価格の安いブランドに乗り換えると回答した。そこで、リテーラーはこの傾向に抵抗するための施策を模索している。
例えば、Walmart は、2022年にIbotta Performance Network (IPN)を使用した独自のリワードサービスを開始したこのサービスは、Walmart.comまたはWalmartアプリでWalmartの低価格で人気のベストセラーを購入すると、リワードが付与されそのリワードが次回以降の割引に適用できるというものだ。このようなIPNキャンペーンを導入した製品は、ROASが3から8倍に上昇し、35%〜41%の利用客がプライベートブランドからCPGブランドへと戻ってきたという。このような、IPNサービスが普及することで、消費者はこれまで愛用してきたブランドが特典やリワードの提供の恩恵を感じ、プライベートブランドではなくその愛用してきたブランドに回帰しているという。この結果、ブランドと小売業者の成長に伴ってロイヤリティを気づくことにつながる。Retail TouchPointsは、2022年に「ブランドが施すリワードサービスやプロモーション戦略は、今後の成長と買い物客のロイヤリティに大きな影響を及ぼすだろう」と指摘している。
プライベートブランドが台頭しているということは、価格に敏感な消費者が増加していることを意味する。そこでCPGブランドは、消費者の購入行動に影響を与えるキャッシュバックインセンティブを提供することが必要だ。さらにその効果を最大化するためには、リアルタイムでの在庫の調整を行うなど、商品棚を活用することがこれまで以上に重要だという。