🥣 Briefing
米国最大級の書店「Barnes& Nobles」の復活から目指す先
かつてのアメリカでは誰もが知っている本屋さんだった「Barnes& Nobles(バーンズ&ノーブル)」(以下B&N)。しかしAmazonの存在感が増すとともに事業は縮小、存在感も薄れていった。そんなB&Nは昨年2022年、好調な売上を記録。なぜ持ち直すことができたのか?この疑問に対して2019年にCEOに就任したダウント氏が「Publishers Weekly」の取材に答えた。
CEO ダウント氏によると、売上回復には大きく2つ理由がある。ひとつは、パンデミック中に再燃した読書ブームの波に乗って、TikTokを中心に#BookTokコンテンツが増えたこと。特にこれまで売上を支えていたフィクションと漫画の売れ行きが好調だった。また22年は前年とは方針を変え、雑貨ではなくメインである書籍で売上を伸ばすことに成功。彼の戦略で、ブランケットなど雑貨の取り扱いをやめ、読書に関係のあるアイテムを中心とした品揃えに切り替えた。さらに、一般的に「電子書籍と紙の本の売上は両立は可能である」という考えのもと、電子書籍領域へも注力。事実、電子書籍の売上はロマンス系ジャンルの再熱やB&Nが販売する電子書籍デバイス「Nook」のリリースによって成長。そして、もうひとつの理由は、 「店舗の改善が売上に比例する」という考えのもと、各店舗の外観と書籍のキュレーションをアップデートしたことだ。実際店舗の改修は評判がよく、主要なプレス機関から好意的な報道をされているという。新しい自社店舗を増やしていく方針で、確定ではないが今年度末には30店舗ほど新規開店予定だそう。
さらにB&Nのビジネスを拡張させるために現在、2つのチャレンジに取り組んでいる。1つ目はノンフィクション売上につながる施策を打つこと。ノンフィクション作品が現ビジネスの弱点だと捉えており、本屋としてノンフィクションの魅力ををいまよりも賢く消費者に伝えたいという。2つ目は、いい本が読者に届く仕組みづくりだ。B&Nは消費者が店を訪れたときに目的としてきた本に落ち着くのではなく、より簡単に顧客が想定していなかった本と出会えるようにしたいと語る。ここで特にキーとなるのは、注目に値するべき本が、人々に知られずに注目を集められていな現状だ。その例としてダウント氏はポール・ハーディング『This Other Eden(未翻訳)』を挙げ「天才と称するにふさわしい作品だが、それに値する注目を獲得していない」という。実際BookScan によると、1 月 24 日のリリース以来、Eden の販売部数は 1,500 部未満だという。Daunt氏は来年までには、価値のある魅力的な本が、その価値に値するだけの注目を集められるような仕組みを完成させたいそうだ。
本屋として、いまこそ本の価値を顧客に伝えたいというDaunt氏のプライドと前向きな姿勢が印象的なインタビュー内容だった。B&Nがかつての存在感を取り戻す日がくるのかもしれない。
オレオが仕掛けるワクワクする新フレーバーの秘密
2012年にオレオ100周年を記念しバースデーケーキ味を発売以来、2020年までに合計65種の新フレーバーを作ってきた。地域限定フレーバーも含み例をあげると、ホットチキンウィングチキン味、わさび味、キャロットケーキ味など独特で奇抜なものばかりだ。ノベルティーオレオの売上は良い記録を残してきた。Nielsenによると、フレーバー付季節限定の特別なオレオは2017年から2020年の間に12%以上だった。
ちょっと変わったフレーバーを作っているのは超秘密主義な企画チームだ。オレオブランドのシニアディレクターのジャスティン・パーネル氏によると、プライバシーは超厳密に守られていて、チーム名すら明かすことができないという。しかし彼らの努力は新製品が公開されるたびに明らかになる。彼らの仕事は、「どうやったらファンをワクワクさせ続けられるか?そしてフレーバーの改革によってグロースを牽引することそのものである」という。
変わった新フレーバー戦略は、注目が集まるだけじゃない。面白いのは、新作を売れれば売れるほど、定番が売れるのだ。つまり新フレーバーはオリジナル製品を広告する機能を果たしているのだ。Nielsenによると、実際ノベルティーフレーバーの売上が12%上がると、オリジナルの売上は22%上がったという。限定フレーバーのオレオを購入するタイミングで、消費者はオリジナル・ゴールデン・ダブルスタッフといった定番オレオも手に取っているのだという。
スナック菓子は、パンデミックの中による孤独や退屈さ、ストレスを乗り越えるために人々の消費量が増大した。「確実にスナックはコロナのストーリーのひとつだ」と、マーケティングリサーチのNPDグループのアナリストはいう。
オレオは今や世界で最も有名なクッキーだ。消費者は居心地の良い馴染みのあるものを求めているため、老舗ブランドは生き延びることができる。さらにオレオが人気を保ち続けているのは、定番のフレーバーをメインとしながら、Supuremeやレディーガガとのコラボといった予想外の製品を生み出しているところだ。トレンドを活かして限定の新フレーバーを消費者にとどけながらも、消費者は「やっぱりこれだよね」と定番フレーバーを手に取ってしまうのだ。
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