🥣 Briefing
コーチェラに初の完全ノンアルバーが出店
今年もアメリカ最大級の野外フェス「Coachella Valley Music and Arts Festival」が開催され、日本でも話題を集めている。そのなかでも現地で注目されているのは、Coachellaでは初の完全ノンアルバー「The New Bar」だ。
The New Barは、28歳のBrianda Gonzalezが病気でお酒を飲めなくなった父のために、おいしいノンアルコールドリンクをセレクトしはじめたことからはじまったセレクトショップだ。2022年にはロサンゼルスのベニス地区に店舗もオープンした。Coachellaへの出店は立ち上げ当初からの夢だったという。
Coachellaの飲食ディレクターであるLizzy Curnenは、ノンアルコールドリンクへの需要を感じ、味への信頼からThe New Barへオファーしたという。
もちろん会場でノンアルコールドリンクを提供しているのはThe New Barだけではない。Heineken Houseではノンアルコールビールも提供されている。Gonzalezも「ノンアルコールの選択肢はほとんどがノンアルビールばかりだが、実際のバーのようにいろんなメニューを楽しめるのがThe New Barの強みだ」と話している。
ノンアルコールのテキーラやジンも扱っているので、さまざまなカクテルを楽しめる。フェス参加者のなかにはノンアルコールに対して懐疑的な人もいるが、飲みすぎた際の休憩としてノンアルコールドリンクを注文する人もいる。昨今、ノンアルコール・低アルコールはひとつのトレンドとなりつつあるが、CoachellaでのThe New Barの人気は、このブームを新たな次元へと引き上げそうだ。
Coachella 2023: The New Bar offers a cocktail experience without the hangover
Poshmarkがライブコマース機能「Posh Show」をリリース
1億人以上のユーザーを抱えるフリマアプリのPoshmarkが、ライブ配信機能「Posh Shows」の詳細を明らかにした。実店舗に客足が戻り始めている今、ライブコマースのトレンドはやや下火になりつつあるように見える。しかしPoshmarkのCEOであるManish Chandraによれば、2022年にテスト導入した結果、ライブコマースをはじめとする動画機能の追加に手応えを感じたという。
特に、ライブコマースは売り手と買い手がリアルタイムでコミュニケーションをとれる点に大きなメリットがある。これまでは買い手が質問をしても回答がくるまでに時間がかかることもあったが、ライブ配信であれば即座に回答を得られる。このコミュニケーションのスピード感が、より購買につながりやすくなっているとChandraは語る。 テスト導入した出品者のなかにはライブ配信で購入者とコミュニケーションをとりながら作品を制作し、出来上がった作品を販売することで、月の平均売上が6,000ドルまで増えたケースもあったという。
さらにPoshmarkでは、同時に開催されているライブ配信であれば買い物をひとまとめにして送料を安くすることができたり、出品者同士でライブ配信の際にアイテムを紹介し合うといった機能も追加されている。こうしたメリットによって、すでに10万人の出品者がライブコマース機能を利用しているという。
すでにカナダでもテスト導入が開始され、今年中には正式ローンチとなる見込みだ。その後はオーストラリアをはじめ、諸外国に広げていく予定だという。
記事中でDynamic YieldのCMOであるYaniv Navotが指摘している通り、客足が店舗に戻ってきているとはいえ、自分の好きなタイミングでどこにいても買い物ができるオンラインショッピングの利便性を選ぶ顧客もいる。その際、実店舗と遜色なく商品を比較検討し、購入の意思決定を促す機能として、ライブコマースの存在感はますます大きくなっていきそうだ。
インフルエンサー化する創業者たち
ブランド創業者がSNSの発信に力を入れ、インフルエンサー化するケースが増えている。その背景をModern Retailが解説している。
これまでもインフルエンサーがブランドを立ち上げ、もともと持っている影響力を駆使してブランドのファンを増やすケースは多々あったが、SNS広告の費用対効果が悪化したことによって、広告を回すよりも創業者自身がフォロワー獲得に力を入れた方が費用対効果が高いと考えるブランドが増えているようだ。
また、ブランド公式アカウントよりも創業者個人のアカウントの方がフォロワーを獲得しやすいという背景もある。たとえば生理用品ブランドのAugustは公式アカウントのTikTokフォロワー33万5千に対して、創業者のNadya Okamotoは400万以上のフォロワーを抱えている。企業アカウントでは出せないパーソナルな発信ができる点が創業者個人のアカウントの強みだ。
一方で、創業者のインフルエンサー化は、本来経営に注力すべき創業者のリソースがSNSへの投稿作成のために削られてしまうという難しさもある。どのブランドも経営とインフルエンサーとしての活動のバランスには頭を悩ませている。
中華ソースブランドの「Fly by Jing」の創業者であるJing Gaoは、立ち上げ当初は個人のアカウントにも精力的に投稿し、顧客からDMで寄せられる質問や投稿へのコメントにも自ら対応していたが、会社が大きくなりフェーズが変わるにつれて、ガイドラインの作成によって他のメンバーでも対応できるように変化させていったという。
メンズコスメブランド「Stryx」のJon Shanahanも、ブランド立ち上げ当初から広告塔として発信をしてきた創業者の一人だ。しかし創業者一人にインフルーエンス力が集中してしまうと、永遠に創業者が発信から離れられなくなってしまう。これまで外部インフルエンサーにも投稿を依頼してきたものの、「消費者の支持を得るには同じ人間が広告塔でありつづけることが重要だと気づいた」。今後は提携するインフルエンサーを3人に絞り、長期的に発信をしてもらう予定だという。
こうした創業者のインフルエンサー化によって、D2Cブランドはもはや単なる「ビジネス」の域を超え、憧れのライフスタイルを送る創業者の延長と見做されるようになりつつある。スキンケアブランドの創業者が自社ブランド以外にどんな美容アイテムを使っているのか、バッグブランドのCEOがどんなエリアを旅行しているのかを消費者は知りたがっている。
インフルエンサーブランドのみならず、あらゆるD2Cブランドが、創業者の「インフルエンサー化」から逃れられない時代がすぐそこまできているようだ。
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