#113 就活に失敗した大学生が、フォロワー350万人のTikTokerになるまで
急成長した本格派中華調味料ブランド「Fly By Jing」とアジアンフードD2Cの成長可能性、最新リテールテックニュースまとめ
🥣 Briefing
就活に失敗した大学生が、フォロワー350万人のTikTokerになるまで
「Doobydobap」の名前で活動する韓国人のTinaがTikTokに料理動画を投稿しはじめたのは、就職活動がきっかけだった。14歳からアメリカに渡り、そのままアメリカの大学を卒業したものの、就職活動の時期にコロナ禍となり、なかなか採用に至らなかったのだ。
就職活動の一環として、自身のポートフォリオを充実させるためにTikTokへの動画投稿を思いついたTinaは、自身のルーツである韓国料理にフォーカスして動画を作成。気取らない韓国のリアルな家庭料理を英語で解説しながら紹介したことで、あっというまに数百万のフォロワーを獲得した。
TikTokから動画投稿をはじめ、現在はYouTubeでも300万の登録者数を誇るTinaは、それぞれの動画の違いを「TikTokはASMR、YouTubeはストーリーテリングが人気」と分析する。YouTubeでは韓国の文化やTina自身の話を盛り込むことを意識しているという。そのため、YouTubeのファンの方がエンゲージメントが高いと話す。
また、料理の学校に通ったりレストランで働いたことがないからこその視点も意識しているという。時間をかけて凝った料理ではなく、10分で作った目玉焼きのせごはんの動画がバズる。時間と労力をかければ報われるわけではなく、自分のバックグラウンドにあったコンテンツを作ることが大切だと話す。
こうしたTinaの動画SNSの伸ばし方は、個人だけでなくブランドや創業者の個人アカウントでも参考になりそうだ。
急成長した本格派中華調味料ブランド「Fly By Jing」とアジアンフードD2Cの成長可能性
2020年頃から、アジアンフードD2Cが盛り上がりを見せている。その筆頭格が、中華ソースブランド「Fly By Jing」だ。
2018年にKickstarterを通してテスト販売を開始してすぐに口コミで火が付き、パンデミック下で自炊需要が高まったことで、普段の料理に変化を出せる調味料として人気が高まった。現在はWhole Foods MarketやTarget、Costcoでも取り扱いされ、2022年10月には1000万ドル、2023年3月には1200万ドルを調達した。
Fly By Jing以外にも、アジアンルーツの起業家がこの数年で一気に増えている。note内でも紹介しているアジアンフレーバーの炭酸水「Sanzo」やアジアンフードのミールキットブランド「Omsom」は、Insiderが2022年に出した「注目のアジア系起業家8人」にも選ばれている。
アジアンフードD2Cが同時期に急成長を遂げている背景には、アジア系起業家コミュニティの存在がある。それぞれのブランドの成功や失敗を積極的にシェアしあい、協力することで、アジアンフード全体を盛り上げてきた。
フードシーンのみならず、アメリカ社会全体でもAAPI(Asian Americans and Pacific Islanders:アジア・太平洋諸島系アメリカ人)はひとつのキーワードとなりつつある。現在すでにアジア系アメリカ人の人口は2200万人とされ、その増加率はもちろんのこと、富裕層の増加も注目されているからだ。
一方で、アジア系人材がCTOやCFOといった「C-Suite(経営幹部)」に就くのが難しい「Bamboo Ceiling(竹の天井)」も問題視されている。こうした問題を是正するために、アジアンアメリカンの地位向上を目指すNPO「Gold House」が2018年に設立され、2021年には3000万ドルの資金を集めてファンドも結成された。
今後はフード業界のみならず、さまざまな分野でアジア系人材の活躍が期待されていきそうだ。
急成長した本格派中華調味料ブランド「Fly By Jing」とアジアンフードD2Cの成長可能性|CEREAL TALK(シリアルトーク)|note
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