#12 Walmartのダークストアとゴーストキッチン計画

クイズから在庫予測や顧客課題を見つけるブランドたち、コカ・コーラのサブスクを支える企業、増えるD2Cのアウトソース市場、ヘッドレスコマースのゆくえ


『CEREAL TALK』は、米国の次世代ブランドや小売、ニューラグジュアリーにフォーカスしたメディアです。毎週月曜日の朝にニュースレターをお届けしています🥣 by 沼田 雄二朗(@Numauer), 宮武 徹郎(@tmiyatake1) and 草野 美木(@mikikusano)


🥣 Briefing

Walmartのダークストアとゴーストキッチン計画

Walmartは、テキサス州のダラス市にある店舗を「ダークストア」にすると『ダラス・モーニングニュース』で報道された。ダークストアとは、オンラインでの注文に特化した物流センターであり、リアル店舗のこと。コロナの影響でEC売上が伸びている大手小売店は、同じ展開を考えている。Best Buy、Macy's、Whole Foods、Apple、Nordstromなども実店舗をオンライン対応するための店舗に変えること検討したり実験していると、『Morning Brew』のレポーターは述べる。他にも、Walmartはカナダでゴーストキッチンを導入。有名レストランや飲食ブランドをピックアップできる仕組みとなっている。Quiznos、Saladworks、Ben & Jerry'sをUber Eatsなどの他のデリバリーアプリでオーダーができる仕組み。WalmartがこのEC展開を行なっているのはデジタル戦略のためである。Amazonと対抗できるために1時間以内の配送時間やスーパーやその他の買い物を一つのアプリで体験できるように構築中のようだ。

Walmart to Opens Another Dark Store, Explore Ghost Kitchens in Omnichannel Push

クイズから在庫予測や顧客課題を見つけるブランドたち

D2Cである利点の一つは、顧客のデータ収集のしやすさ。最もダイレクトに、データ収集ができる方法はクイズ・アンケートに回答してもらうこと。『Modern Retail』では、いくつかブランドの事例を紹介しており、スキンケアブランド「TULA」などはクイズを活用してユーザーに特定のプロダクトをレコメンドしているそうだ。水着ブランド「Andie」や女性下着ブランド「ThirdLove」はクイズ・アンケートを活用してユーザーにフィットするサイズを知ることができる。最近では将来のプロダクト開発に繋がるためにクイズを提供しているブランドもいる。AppleのiOS 14アップデートを影響で顧客データを取りづらくなる中、クイズの活用が増えると言われている。ThirdLoveのクイズは下着サイズを聞くことで、サイズ毎の在庫数の予測に繋がる。TULAでは、スキンケアのニーズの質問が新たな顧客課題を見つけられるソースにもなった。

DTC Briefing: How brands use quizzes as a customer service and data collection tool

コカ・コーラのサブスクを支える企業、増えるD2Cのアウトソース市場

コロナ前は多くのブランドはD2C化してなかった。今までのオペレーションをD2C化するのはロジ的に大変だった。そのため、D2C化するには3つの選択肢があると『The Hustle』の記事でこう記されている。1つは、Amazonなど第三者のリテーラーを活用すること。2つ目は、自社のD2Cオペレーションをゼロから構築すること。そして最後は、D2C企業にオペレーションをアウトソースすること。実は、多くの大手ブランドは3つ目のオプションを活用して、「The Hut Group(通称THG)」という会社にD2Cオペレーションを任せているそうだ。TGHのプラットフォームではサイト制作、倉庫保管、マーケティング、配送業務などをすべてまとめて行なっている。2019年には1,000社以上の大手ブランドと提携していて、彼らが製作したサイトは合計6.1億人以上が訪問している。顧客である「コカ・コーラ」は、コロナでスタジアムや映画館などリアルのチャネル販売売上が28%落ちたため、THGを活用してオンライン店舗を作り、コカ・コーラのサブスク事業「Your Coca-Cola Store」ローンチ。コカ・コーラ以外にネスレ、P&G、ディズニー、マイクロソフトなどがTHGのクライアントで、D2Cのアウトソース市場は2023年までに$156Bになると推定されている。

The direct-to-consumer powerhouse you’ve probably never heard of


✏️ View

ヘッドレスコマースのゆくえ

USのコマース業界でトレンドワードになっているのが「ヘッドレスコマース」だ。ヘッドレスコマースとは、言葉の通りヘッド(顧客とのタッチポイントであるフロント部分)が受注を担うバックエンドと切り離されている仕組みのこと。ヘッドレスコマースのメリットとしては、ウェブサイトの高速化とカスタマイズ性などが挙げられる。『Modern Retail』の記事では、元Glossierのエグゼクティブが創業したブランドインキュベーター「Arfa」からヘッドレスコマース関連のソフトウェア「Chord」に大幅ピボットしたニュース等からD2Cを支えるソフトウェアサービスの盛り上がりを報じている。

Editor’s Note

Shopifyはフロントとバックエンドが一体化したプロダクトでしたが、数年前からヘッドレスとしても活用できるようになり、ParachuteRothy’sなどの有名D2Cブランドがヘッドレス化しています。そして今、コロナによるECブームを背景に、数多のヘッドレスソリューションのプレイヤーが参入している状況です。
気をつけなければいけないのは、ヘッドレス化することで運用やメンテナンスなどの難易度が高くなり、社内にエンジニアチームを置く必要があること。また、デザインの自由度が高まったとしてもそれによって顧客が喜んでくれるかは別の話で、例えばキッチン用品のEqual Partsはヘッドレス構成のShopifyで作り込んだ独特のデザインを、一般的なECサイトのデザインに近づけるリニューアルを最近行っていました。
売上が最低でも年間10億円以上あり、インハウスのエンジニアリングチームを持てて、よほど特殊な売り方をしたいか(記事内の例だと肉屋が肉の部位を決めてサブスクで注文といった購入フローを設定したい等)、グローバル大企業が国ごとに最適化された体験を作りたいというようなケースではない限り、同じ資金・時間を製品や顧客など、他のことに費やしたほうがいいのかもしれません。ただし、日本でもヘッドレスが大規模ECサイトの受け皿になっていく可能性はありますので、引き続き注視していきます。ちなみに私のオススメヘッドレスサイトは、Recessです。——沼田

Software startups are glomming onto the DTC boom


🎙 Podcast 07: プライベートブランド

今回は、「大手小売のプライベートブランド」をテーマに、直近発表されたHarry'sの資金調達やTarget・WalmartなどのPB戦略について話しました(Apple Podcastの方はこちら


📰 News

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