🥣 Briefing
英国高級百貨店Harrodsが有料会員制店舗を中国にオープン予定
イギリスの高級百貨店Harrodsが、初の会員制クラブを今年の末にも上海にオープンする予定であるとVouge Businessが報じている。会員制クラブにはプライベートダイニングとバー、ラウンジといったスペースに別れており、英国シェフGordon Ramseyの料理を体験できる中国で初めての場所となる。さらにメンバーは航空チケットの手配や不動産、インテリアデザイン、パーソナルショッピングといった特別なサービスを受けることもできるほか、Harrodsのブランドパートナーが開催する特別なイベントにも参加できる。年会費は16,000ユーロから26,700ユーロまで三段階のプランに分かれており、オープンの時点では250名の会員を見込んでいるという。
中国市場はHarrodsにとっても重要であり、2019年には売上の23%を中国人顧客が占めていた。パンデミックの影響もあり、2022年にはその割合は16%まで低下したが、中国のゼロコロナ政策の緩和とともにイギリスの店舗への中国人観光客の数も回復しはじめているようだ。
メンバーシップ制度に力を入れ始めているのはHarrodsだけではない。Selfridgesも今年、新しいメンバーシッププログラム「Selfridges Unlocked」を発表した。会員は有名ビューティーブランドのレッスンや映画の公開イベントといった限定イベントに参加することができる。さらに、Farfetch傘下の老舗セレクトショップBrownsも、年間購入金額に応じてランクが変動するメンバーシップ制度「The Club」を持ち、限定のイベントやプロダクト、パーソナルショッピングサービスを提供している。
百貨店や高級セレクトショップが提供するメンバーシップの特徴は、ディスカウントやキャッシュバックではなく限定のイベントやサービスにアクセスできることをメリットとして打ち出している点だ。さらに年会費を設定することによって、モノを販売するだけではなく、無形のサービスやイベントによってマネタイズしようとしている。
モノを見つけるだけであれば、インターネットやSNSを通していくらでも自分でアクセスできるようになった今、百貨店やセレクトショップならではの感性でプロデュースされた空間やイベントが、ひとつの魅力的な「商品」となりつつあるのかもしれない。
Are you a member? Why luxury retailers are investing in private clubs
Amazonの牙城がSheinとTemuによって崩される?
長らくAmazaonの独占状態だったアメリカのEコマース市場を、Sheinとtemuが猛スピードで切り崩しにかかっている。Amazaonは7月にPrime Dayがあったにも関わらずこの数ヶ月でユーザー数が大幅に減少しており、GWSのデータによれば4月のアメリカ国内のDAUは5400万人から4600万人にまで減少したという。DAUで比較するとAmazonはまだTemuやSheinの2倍以上のユーザーを抱えているが、Temuは昨年9月にアメリカ国内でローンチしたばかりであるにも関わらず、今年だけで新規のデイリーユーザーが1000万人近く増加しており、Sheinもこの一年でDAUを310万人から490万人まで伸ばすなど、勢いが見てとれる。
SheinとTemuの勢いは、モバイルアプリの利用時間にも表れている。Amazonの1日の平均利用時間が12分であるのに対し、Sheinは14分、Temuにいたっては20分とAmazonよりも圧倒的に長い。
一方で、SheinとTemuの課題は属性の偏りだ。GWSのデータによればAmazonは男女比が41:59と比較的バランスの取れたユーザー属性だが、Temuは69%、Sheinは90%を女性が占めている。トレンドに敏感な若い女性だけでなく、より幅広い属性に客層を広げられるかどうかが、Amazonを超えられるかどうかの分水嶺になりそうだ。
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