#17 コアファンだけ頼める裏メニュー OnlyFansを使う飲食店
ブランドが自社のバーチャル世界を作る世の中になるのか?、iOS14のアップデートで増えるロイヤリティプログラム、レシピサイトから新世代フードメディアを確立したFood52、ブランドが試すべき新しいチャネル
『CEREAL TALK』は、米国の次世代ブランドや小売、ニューラグジュアリーにフォーカスしたメディアです。毎週月曜日の朝にニュースレターをお届けしています🥣 by 沼田 雄二朗(@Numauer), 宮武 徹郎(@tmiyatake1) and 草野 美木(@mikikusano)
🥣 Briefing
コアファンだけ頼める裏メニュー OnlyFansを使う飲食店
元々アダルトコンテンツのプラットフォームとして始まった「Onlyfans」は今では多くのYouTuber、インフルエンサー、そして最近ではブランドが集まり始めている。『Modern Retail』の記事では、2020年1月から8月で1,200万人から5,000万人のユーザーまで成長し、毎日50万人の新規ユーザーの獲得しているという。OnlyFansは、有料コンテンツを月額のサブスクで提供できるプラットフォーム。よりニッチでエンゲージメントが高いオーディエンスにリーチすることができる。
最近では、ファストフードチェーンの「Sticky's Finger Joint」はOnlyFansアカウントを開設。そこに入ったファンは独占コンテンツや裏メニューにアクセスできるようにした。無料で入ることができるが、投げ銭された場合はチャリティーに寄付をすると発表している。Sticky's曰く、OnlyFansでは他のプラットフォームでは出さなかったコンテンツを提供するそう。中にはコメディアンやインフルエンサーを活用したライブ配信や大食いコンテストなどを行うらしい。Sticky's以外にもアジア系フードブランド「Fly By Jing」もOnlyFansアカウントを作成し、そこではよりコアなファンがブランドと直接関われるコンテンツを出している。
‘Reaching hardcore fans’: Brands are testing out OnlyFans as a marketing channel
ブランドが自社のバーチャル世界を作る世の中になるのか?
SK-IIがバーチャルシティ「SK-II City」をローンチ。日本の代表的な観光スポットの富士山や東京タワーなどあるほか、SK-II Studiosが制作した動画コンテンツが見れる。制作したのは、SK-II Studioesとデジタルマーケティング代理店であるHuge。SK-II Cityを開発した予算は公開されていないが、『Vogue Business』の取材によると、VR企業であるSense-Rが言うには、第三者が開発するVR体験は少なくとも$10Kから$50Kはかかるそうだ。他の事例ではバーチャル店舗サービス「Obsess」などはDiorやTommy Hilfiger、Dieselなど大手ブランドのためにバーチャルコマース体験を提供していて、多くのブランドから問い合わせが来ているそう。Robloxなども今年からブランド提携を本格的に行う予定で、NikeやGucciなどが興味を示している。
iOS14のアップデートで増えるロイヤリティプログラム
アメリカでは多くのD2Cブランドがロイヤリティプログラムを作り始めている。特に増えているのは、ユーザーの情報収集のためのロイヤリティプログラム。これはiOS 14のアップデートが個人情報へのアクセス権を大幅に減らしたため、ブランドはよりダイレクトなマーケティング手法を必要とされている。そしてこのデータを活用してリピート購入を増やすだけではなく、ユーザーの行動や興味、そして商品開発に繋げていくブランドが増えてくる。『Modern Retail』で紹介されているピザマーケットプレイス「Slice」は、彼らのレストランネットワークにユーザーの好みのデータを提供するためにリワードプログラムを開始。他にも、アパレルブランドの「Frances Valentine」は2019年にロイヤリティプログラムを提供したきっかけはリピートユーザーは初期ユーザーと比べて購入額が67%高かった。プログラムにジョインしたユーザーは100ポイントもらい、1ドルに応じて1ポイントもらい、レビューやInstagramでブランドをフォローなどするとよりポイントをもらえる。今後はプライバシー問題によりロイヤリティプログラムでしかユーザーのメールアドレスや住所を取得できなくなるかもしれない中、早めにロイヤリティプログラムの検証を行うブランドが増える。
🎙 Podcast 12
ブランドが試すべき新しいチャネル
TikTokを活用するブランド達、ニッチブランドの増加でホールディングス化が進む?、アラスカエア航空のベビーブーム世代のクリエーターハウス、ゴーストキッチンの面白さなどについて話しました🥣 (Apple Podcastの方はこちら)
✏ View
レシピサイトから新世代フードメディアに確立したFood52
2009年に創業された「Food52」は、ニューヨーク・タイムズでフードエディターをしていた2人が立ち上げたレシピコミュニティサイト。今では、Food52ほどEコマースとコンテンツを上手に融合させたフードメディアは存在しないだろう。今月には、1954年創立の老舗キッチンウェア「Dansk」の買収を発表。すでにFood 52ではDanskを取り扱っていたが、これにより、定番商品の品揃え拡大、過去アイテムの復刻版、新しいパートナーとのコラボ商品などリバイバルプロジェクトを予定していると『Architectural Digest』が報じている。コアファンが多い老舗ブランドが持つヘリテージによって、Food 52のメディアブランドの価値はより一層厚みを増すだろう。
Editor’s Note
Food52は、最初からただのレシピサイトではなかった。サイトを立ち上げたきっかけもユーザーから投稿されたレシピを書籍化するというアイディアから生まれ、毎週レシピコンテンストを開催し、読者とのコミュニティを地道に構築してきた。いわばフード版 Into The Gloss(Glossierの前身となるブログ)のような存在かもしれない。2013年から立ち上げたEC事業「Food52 Shop」では、キッチンウェアや家庭用品を販売し、現在ポップアップや実店舗も計画中。オリジナルブランド「Five Two」も運営しているが、ここでは他社ブランドや有名シェフとのコラボはせず、読者と一緒にキッチンウェアを作っている。記事によると2.5万人が製品のプロトタイピングチームに登録しているそう。そこでのディスカッションにより、「スマホスタンド付きのまな板」など読者目線のプロダクトが生まれている。Food52 Shopのサイトを見ていて、個人的に興味深かったのは、各商品詳細ページに創業者からのメッセージ動画があること。口コミレビューよりも動画が優先されている。また、Dansk買収発表も読者に向けて創業者からの動画を公開。書き込まれたコメントもすべて返信しているのもすごい。いち企業ではなくコミュニティであることを徹底している。——草野
Food52 Acquires Dansk, Plans for the Danish-Designed Homeware Brand’s Revival
📰 News
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