#18 ファッション検索エンジン「Lyst」が注目される理由

ECソフトウェアへの投資が増えている背景、次のコマース革命は「売手側」からはじまる、ブランドがバーチャル世界を作ること、DTC家具ブランドがリセールマーケットプレイスをローンチ


『CEREAL TALK』は、米国の次世代ブランドや小売、ニューラグジュアリーにフォーカスしたメディアです。毎週月曜日の朝にニュースレターをお届けしています🥣 by 沼田 雄二朗(@Numauer), 宮武 徹郎(@tmiyatake1) and 草野 美木(@mikikusano)


🥣 Briefing

ファッション検索エンジン「Lyst」が注目される理由

イギリスのファッション検索エンジン「Lyst」が上場直前ラウンドでLVMHやフィデリティなどから$85Mの資金調達を実施した。Lystは、1.7万ブランドから800万以上のSKUを扱っていて、Lyst創業者は「ファッション版Spotify」を目指していると『BoF』で語っている。投資家がなぜLystを高く評価しているかというと、Farfetchのように幅広い商品ラインナップを持ちながら、今年上場したドイツの高級ファッションECのMytheresaと同じように高いキュレーション力をLystが提供しているから。Spotifyは色々な曲を検索し聴くことができるが、本当の今の1番の強みは、7,000万以上の膨大な曲のからパーソナライズされたキュレーションだ。実際にLystは、昨年元Spotifyのモバイルアプリのプロダクト担当者をChief Product Officerとして採用し、Lystのディスカバリー機能を作り直した。2019年に再ローンチしたモバイルアプリは2020年では1,100%のユーザー成長を行なったそうだ。さらにLystはFarfetchの20〜30%の手数料より安値の12〜15%の手数料しか取らなく、ブランドのサイトに誘導させるので最終的に顧客データはブランドが持てるようになる。

Why Investors Are Betting on Lyst

ECソフトウェアへの投資が増えている背景

CB Insights』によると、2021年1月〜3月にかけてEC企業への出資が$11.7Bだった。比較すると2020年1月〜3月では$2.8B、2019年1月〜3月では$5.2Bの出資額だった。中でも大型調達したのは、デリバリープラットフォーム「GoPuff」や後払いサービス「Klarna」。特に多かったカテゴリーは、リテールテックとサプライチェーン周りのスタートアップだった。配送トラッキング「Shippeo」が$32M調達、ロジ周りのロボティクス企業がWalmartなど大手リテーラーから調達がトレンド。コロナの期間中にパーソナライズと顧客エンゲージメントのツールの需要が上がったと同時に、リテールテックの重要性を理解したブランドが増えた。『Modern Retail』のアンケートによると、67%のブランドがリテールテックへの投資を増やすと回答した。同時に大手リテーラーはフルフィルメント企業の買収をしている。TargetはShipt、WalmartはJoyRunなどの買収を通じてディスカバリーから配送まで全ての体験をコントロールしたいと考えている。今後もオンライン販売の体験の進化に応じて、リテールテックへの投資と興味は増えると予想される。

E-commerce technology investments are ramping up

次のコマース革命は「売手側」からはじまる

10年前はオンラインショッピングの概念がまだ新しいと言われていたからこそ、AwayGlossierWarby Pakerが人気になった。そして、買手側にフォーカスして購入体験を改善したからこそ、大手小売がビジネスモデルを考え直さなければいけなくなった。コロナの影響で、コマースのデジタル化が加速しただけではなく、売買の関係も進化させた。『Forerunner Ventures』のレポートでは、よりオンラインでもソーシャルな体験が重要になってきている中で、1対1の繋がりをベースにしたコマースを欲しがっているという。キュレーションサイトのCuratedThe YesFaireなども1対1のエンゲージメントとパーソナライズされたキュレーションを行っているから成功している。同時にクリエイターエコノミーの発展により、クリエイターはミドルマンを飛ばして直接ファンと繋がり、マネタイズする需要が増えている。これはまさに売手側の革命が起きるチャンス。この新しいコマース時代に入る際には、新しいツール、マーケティングプラットフォーム、ユーザーへアクセスする場所が必要になってくる。プロダクト、ディスカバリー、サポートツールの三つのカテゴリーで新たなサービスが増えているのは、コマース業界が「リテール」の文脈だけではなく、売買そのものの体験とモチベーション作りに関わらなければいけなくなっているのを証明している。

The next revolution in commerce will be driven by the seller


🎙 Podcast 13

ブランドがバーチャル世界を作ること

今回は、GUCCIとRobloxのバーチャル世界の話題や、Liquid DeathやKlayviyo、SettleなどDTCブランドとECソフトウェアの調達ニュースについて話をしました🥣 (Apple Podcastの方はこちら


✏ View

DTC家具ブランドがリセールマーケットプレイスをローンチ

デトロイトの家具ブランド「Floyd」がリセールマーケットプレイスを立ち上げる。Floydは、Kickstarterからスタートし、当時は木の板に取り付けてテーブル化するためのスタリッシュな脚を販売していた。今ではベッドフレームやソファ、キャビネットなどラインナップを広げている。リセール事業について『Modern Retail』の取材では、長持ちする製品作りを目指してきたが、パタゴニアやアルテックの取り組みにもインスパイアされ、ユーズド品のマーケットプレイスを立ち上げることにしたと創業者は語る。返品されたものや、引き取ったユーズド品は、チェックしてランクづけされ、個別に写真を撮った上で自社のリセールサイトで15-50%オフで販売される。アパレルのようにサイズ展開が細かくなく、SKUがそんなに多くないのでやりやすい。ブランドやリテーラーのリセール事業に関しては、最近は品質の担保や本物であることの確認を通してブランドを守るために自社で行うところが増加。また、B級品を扱う専用ストアを設けることは、DTCブランドの間でも盛んになっており、陶器を扱う「East Fork」は彼らを通してNPO団体に寄付をしたユーザーを25%オフのストアに招待している。East Forkはもともとリセール専用Instagramアカウントを持っており、専用ストアはその延長の施策のようだ。

Editor’s Note

Floydは、リセール事業によって低めの単価を希望する顧客も新たに獲得できるようになったと言っていますが、取ってつけたような取り組みではなく、使わなくなった板などに装着してテーブル化するためのスチールパーツから始まったブランドだからこその説得力があります。リセール施策は、彼らが掲げる2025年のサステイナビリティゴールに向けたファーストステップだそうです。リセール事業の内製化の流れを受けて以前紹介したTroveや最近調達したばかりのTreetなど、それを支えるソフトウェアやエコシステムの拡充にも注目していきたいです。——沼田

DTC furniture brand Floyd is launching a resale marketplace


📰 News

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