#22 TikTokスターと手を組んだアバクロの新ブランドの戦略

EC機能を拡張してDTCブランドを引き寄せているPinterest、SSENSEがどうEC業界の大手プレーヤーになったのか、Lululemonが買収したMirrorに隠された次世代ウェルネスブランドの可能性


『CEREAL TALK』は、米国の次世代ブランドや小売、ニューラグジュアリーにフォーカスしたメディアです。毎週月曜日の朝にニュースレターをお届けしています🥣 by 沼田 雄二朗(@Numauer), 宮武 徹郎(@tmiyatake1) and 草野 美木(@mikikusano)


🥣 Briefing

TikTokスターと手を組んだアバクロの新ブランドの戦略

多くのブランドがTikTokスターやYouTuberを活用して自社商品のプロモーションを行っているが、アバクロンビー&フィッチは誰よりもインフルエンサーに賭けている。TikTokで最もフォロワーが多いチャーリー・ダミリオと9番目にTikTokフォロワーが多く、姉であるディキシー・ダミリオと共同で新しいブランドをローンチすることを発表した。既にアバクロンビー&フィッチのZ世代にフォーカスしたブランドのHollisterのブランドアンバサダーであるダミリオ姉妹は新ブランド「Social Tourist」立ち上げた。『BoF』の記事によると、ブランドマーケティングに姉妹がフィーチャーされているだけではなく、デザインや素材サンプルなど初期プロセスから一緒に判断していたという。新しいブランドの一部の商品はHollister店舗で購入できるが、コレクション全体はデジタルファーストでオンラインでしか購入できないようになっている。企業からすると、Hollisterは若者層に人気だが、アメリカンイーグルなどと比べてまだ人気ではないため、Z世代に向けてアピールを行う必要がある。実際にアメリカンイーグルはTikTokスターのアディソン・レイを起用し、半年で$4.2M分のメディアインパクトがあったと言われている。Z世代にリーチするためにインフルエンサーを活用するのが普通になっているが、同時にリスクも存在する。炎上したインフルエンサーと提携しているブランドも批判対象になってしまうので、インフルエンサー選びと、どれだけインフルエンサー依存するのかバランスするのがブランドとして重要な判断となる。

Can TikTok’s Biggest Stars Build Abercrombie’s Next Brand?

EC機能を拡張してDTCブランドを引き寄せているPinterest

FacebookとGoogleの広告単価が上がる中、多くのブランドは違うチャネルを試し始めている。そのチャンスを逃さずDTCブランドに声がけしているのがPinterest。6月に2週間のデジタルショッピングキャンペーンの「The Goods」をスタートした。The GoodsではPinterestがDTCブランドと提携してPinterest上での限定商品を販売している。2週間おきにブランドは入れ替わるが、直近ではBrooklinen、Billie、Outdoor Voices、Maude、Clare PaintなどがPinterestでしか見つけられない商品を展示した。『Modern Retail』によると、Pinterestでより広い層にアピールできると思い、多くのブランドは積極的にPinterestを試している。さらにPinterestではユーザーが保存したプロダクトピンをまとめて見れるようにしたり、購入体験の改善を行なっている。2年前からPinterestはDTCブランドをプラットフォームに引き寄せるために営業チームを立ち上げたが、最近では機能開発でもかなり投資している。Pinterestデータを調査しているDynata調によると、Pinterestユーザーは他のプラットフォームと比較しても購入意欲が高い。Pinterestの社内データでも、ショッピング機能を活用したユーザーは年々200%成長している。今まではディスカバリーチャネルとして知られていてが、もしかしたら今後はブランドとしてはコンバージョンとリテンションさせるプラットフォームになるかもしれない。

With new commerce features, Pinterest is continuing to court DTC brands

SSENSEがどうやってEC業界の大手プレーヤーになったのか

カナダ初のマルチブランドECサイト「SSENSE」がSequoia Capital Chinaから出資を受け、$4B以上の時価総額の会社となった。今年上場したミュンヘンにあるラグジュアリーECサイトのMyTheresaよりも大きい時価総額。SSENSEの売上は公開されてないが、2018年にCEOは2020年までに$823Mの売上を計画していると『BoF』で語った。ファッションECは配送と返品コストがあり、他社サイトとの優位性となる体験作りがリアル店舗のように出来なく、同時に高くなっているデジタル広告などを活用してユーザー獲得をしなければいけないため、黒字化しているプレーヤーは少ないが、黒字化していると宣言している。その理由は他社と比較して特定の顧客にフォーカスしているから。Net-a-PorterやMatches Fashionは成長するためにターゲット顧客の層を広めて、それを広告で獲得しようとしている中、SSENSEは同じターゲット顧客のまま売上を伸ばそうとしている。その裏には彼らが扱うストリートウェアカテゴリーが過去10年間で爆発的に人気になったからでもある。そしてそのカテゴリーが若者層に特に人気なため、SSENSEはユースカルチャーの領域にフォーカスしたコンテンツを作り、それをトップページに全面的に出すようにしている。SSENSEの今後の勝負は中国で同じ成功体験ができるか。TencentやAlibabaの支援を受けられず、中国の若者層にリーチが出来るのかを注目している人が多い。

How Ssense Became a Quiet Contender in Fashion’s E-Commerce Race


🎙  Podcast

#17 ショップテイメントってなに?

今回は、a16zの記事でも話題になっていた「Shopatainment(ショップテイメント)」をキーワードに、どういったものなのか、気になる事例など話しました。(Appleの方はこちらから聴けます


✏ View

Lululemonが買収したMirrorに隠された次世代ウェルネスブランドの可能性

ちょうど1年ほど前に「Lululemon」はホームエクササイズ企業で鏡型デバイスを提供するMirrorを買収したが、実は重要な事業となっていると『Retail Dive』で報じられている。MirrorはLululemonとは別事業として扱っているが、シナジーは明らか。Lululemonからすると家で顧客とより強い関係性が作れて、ウェルネスにフォーカスしたライフスタイルブランドに進化できる。そしてLululemonの今後の戦略は特許申請を見ると理解できる。2021年以降の特許申請を見ると、アパレルデザインの申請、新しいヨガマット、そして顧客のウェルネス状態をスコアリングする申請を行っている。そのウェルネス状態はユーザーの感情を記録したり、ストレスレベルの分析、行動をトラッキングして改善するためのレコメンドが出来る特許申請となる。このリアルタイムなフィードバックを得るためには、Lululemonはおそらくバイオセンサーの領域に入り込むはず。実際に3月にセンサー付きベルトの特許申請を行った。そこでは体温や心拍などバイオメトリックスを測るセンサーと一緒に使われる可能性があると記載されていて、そのセンサーは特定の服に付け加えられるようになっている。もちろん特許申請をしたからLululemonがこの方向性に進むとは限らないが、Mirrorの買収を見ると、バイオセンサーなどを使ってよりテクノロジーベースのDTC企業になるのは自然な流れに見える。

Editor's View

今の成長率を保つと今年中にラルフローレンの売上を超えてアメリカで2番目に大きいアパレルブランドになるLululemonだが、それを実現するため、そしてNikeを超えるためにはテクノロジーを活用したDTCカンパニーになる必要性がある。そのために去年$500MでMirrorを買収した。Mirrorを買収した理由は、アメリカのユーザーに大きなマインドシフトが起きたから。それはエクササイズを家でやるしかないという話ではなく、コロナの影響でオンラインコミュニティが一般化されたこと。家から友達や知らない人と繋がることが普通になったからこそMirrorはLululemonからすると非常に重要な事業となる。

そもそもLululemonの現CEOのカルバン・マクドナルドは2018年からLululemonのCEOになる前は5年間Sephoraで働いている。Sephoraはリテールでコミュニティを作るのがうまい。Lululemonが2019年にMirrorに出資した時も、デジタルがどうフィットネスコミュニティに変化を及ぼしているかを見たくて投資したはず。Lululemonは今まで店舗でフィットネスクラスなどを提供してたが、コロナの影響でそれがなくなり、オンラインでのコミュニティ作りにフォーカスしなければいけない。コロナ明けで再開するはずだが、今回はMirrorを活用して行うはず。実際に既に90店舗にMirrorが導入されていて、今年中には200店舗を超えると言われている。Commerce VenturesのZhenni氏が上手く解説しているが、Lululemonはシカゴでアパレルを売る店舗だけではなく、ヨガスタジオ、ジム、瞑想エリア、そしてヘルシーな食べ物を頼めるレストランを出した。そう言う店舗にMirrorを使わせて試せる場を作っている。

そして今後よりパーソナライズされたコミュニティと体験作りをするために、大量のデータが必要となる。それはFacebookやGoogleなどの広告やメールに頼れなくなった今、直接取りに行くしかない。Lululemonは運良くその関係性を持っているので、今後も成長することに期待しているブランド。——宮武

What's next for Lululemon's tech ambitions?


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