#23 芸術的なバイラルローンチを作り出した、PoolsideFM
CMOに昇進、Glossier アリ・ワイスが語る6年間の学び、クッキー規制がどうEC市場を影響するのか?、メタバースはリテール体験を変える、DTC業界のフィクサーことデイビッド・ベルを知っているか
『CEREAL TALK』は、米国の次世代ブランドや小売、ニューラグジュアリーにフォーカスしたメディアです。毎週月曜日の朝にニュースレターをお届けしています🥣 by 沼田 雄二朗(@Numauer), 宮武 徹郎(@tmiyatake1) and 草野 美木(@mikikusano)
🥣 Briefing
芸術的なバイラルローンチを作り出した、PoolsideFM
80年代テイストなインターネットラジオ「Poolside FM」が初めてリアルプロダクトとして日焼け止めを販売し、大きく話題になった。『Thingtesting』では、Poolside FMのローンチ術についてコラムを公開した。2日間で1万人以上がウェイトリストに登録。新ブランドVacationにメールアドレスを登録すると、Vacationの役職ジェネレーターでユニークな役職付きデジタル名刺(「Karaoke Mic Stand Operator」や「Global Sauna Romance Researcher」など)作ってくれる。登録したユーザーは、ローンチ直前の48時間前にサイトにアーリーアクセスができ、10%のディスカウントをもらえるという仕組み。その48時間で1,000万円以上の売上を達成したそうだ。Harry'sもリファラルキャンペーンを活用して10万人のメールアドレス、Liquid Deathはローンチして3ヶ月以内でトップブランドAquafinaのFacebookフォロワー数を超えた。実際に多くのブランドローンチの裏ではPR会社やクリエイティブエージェンシーが活用されているが、値段は高い。さらにアメリカのD2C業界では創業メンバーが元々有名D2Cブランドの卒業生であることが多い。実際にGhiaやHikiは元Glossierのメンバー、Awayは元Warby Parkerのメンバーで、前職の体験とともに各社メディアは取り上げたくなるだろう。
CMOに昇進、Glossier アリ・ワイスが語る6年間の学び
2015年からGlossierにジョインしたアリ・ワイス(CEOのエミリー・ワイスとは関係ない)は、6月にGlossierのChief Marketing Officerとして任命された。『Marketing Brew』のインタビューでは、これまでのマーケティング施策など語っている。多くのブランドがコロナ禍に苦しんだ中、Glossierは全プロダクトカテゴリーで成長があったと宣言。その功績には、彼女の貢献なしで語れないだろう。2020年10月にGlossierが女性バスケリーグ「WNBA」とコラボしてキャンペーンを実施したり、今年3月にはGlossierの人気商品のマスカラをオープンできないローカルの映画館で野外広告を公開し、話題を作ってきた。特に彼女が重要視しているのは「体験」。アリ氏いわく、Glossierや他の会社で上手くいくマーケティング手法は「インパクトのある体験作り」からくる。例えば、Glossierのロンドンのポップアップは非常にユニークな店舗レイアウトやデザインで作ったおかげでユーザーが店舗にいたくなるような体験を作れている。そして今後特に気になっているのは、ユーザーの行動変化だ。Glossierユーザーの66%がコロナ後のビューティー系の習慣が変わると答えており、そのスキンケア習慣にあったポジティブな体験作りをどうマーケティングに組み込むかが重要だとアリ氏は語る。
クッキー規制がどうEC市場を影響するのか?
サードパーティCookieは、複数のサイトを横断してブラウザの閲覧を追跡ため、効率的な広告表示などに用いられているが、GoogleがサードパーティCookieのサポート終了に向けた取り組みを2022年に行うと発表。クッキーにてリターゲティング広告が難しくなる中、多くのブランドは購入をさせる前にユーザーのメールアドレスやアカウント作成を誘うエンゲージメントプロモーションを行い始めている。メールアドレスを取得するとMailChimp、Salesforce、KlaviyoなどCRMソフトウェアを活用してユーザーとの関係性を維持しながらターゲティングされたメッセージを送るトレンドになっている。今後は自社で抱える顧客データ、ファーストパーティデータが重要となっていく。そんな中、Amazonはショッピングの検索データを保有しているので、かなり強いプレーヤーになり得る。今後はFacebookやGoogleに頼らず、顧客データを集めて、自社でセグメンテーションやターゲティングをするノウハウと社内システムが必要となる。まだ時間はあるが、賢いブランドは早めに顧客データを集めている傾向にある。
What does the death of the third-party cookie mean for e-commerce?
🎙 Podcast
#18 DTC業界のフィクサーことデイビッド・ベルを知っているか
今回は、Warby ParkerやBonobosなど多くのDTC起業家を生み出したウォートン・スクールの教授デイビッド・ベルやForerunner Venturesなどスタートアップエコシステムを回している人物やVCについて話しました。(Apple Podcastの方はこちら)
✏ View
メタバースはリテール体験を変える
テクノロジーは進化している中、ユーザーの想像を超えて完全に消費行動を変えることが起きる。『BoF』のオピニオン記事で「メタバースとリテール体験」について書かれている。1973年に最初に携帯が現れた時は電話しかできなく、かなり重かった。今のiPhoneは遥かに軽く、アポロ11号のスペースシャトルの1万倍の処理能力を持っている。多くの人はスマホに頼ってなかった時代を覚えていない。今はその次のテクノロジーが訪れ始めている。それがVRヘッドセット、ARテクノロジー、ゲームプラットフォーム、仮想通貨、ブロックチェーン、NFT、バーチャルグッズなどの形として届けられていて、その総合的なデジタルとフィジカルの新世代インターネットを「メタバース」と呼ばれている。このメタバースでは色んなバーチャル世界が存在し、経済・コマースが行われるようになる。その基盤となるのはデジタルアパレル、コレクタブル、デジタル不動産などバーチャルグッズ。そして多くのユーザーが集まるとショッピングをする店舗やモールなども作られるだろう。ただ、今までのようなフィジカルな店舗に行くのではなく、メタバース上では「店舗」の定義がかなり変わるはず。今まで以上に体験型のコマースになると想定すると、ゼロからそのプロセスや販売方法を考え直さないといけないかもしれない。
Editor’s Note
メタバースによってデジタル世界が主流になると、そこにコマース・経済が付き物になる(メタバースについて知りたい方はこちらの記事をご覧ください)。2018年と2019年でFortniteのバーチャル世界の中で$9Bほどの取引が行われていて、アメリカの9歳〜12際の7割以上が遊ぶRobloxでは$924Mの売上を達成。今の若者層はフィジカルのグッズだけではなく、デジタルのグッズでクラスの人気者になれる時代になった。ゲーム体験ではアバターとそのアバターが着るスキン(服や見た目)で自己表現する場所となっている。これはまさにリアルでGucciのバッグを購入して見せるのと同じこと。そんなゲームやデジタル世界で使えるデジタルアセットを開発している会社「RTFKT」に投資しました。新進気鋭のNFTブランドと言われているRTFKTは有名ブランドやセレブとコラボ商品を作り、ドロップ式で売っている。今回は特別にRTFKTの投資メモを公開いたします。英語ですが、このメモを通して何故このメタバースに興味があるのか、そしてRTFKTの可能性について知っていただければと思います!——宮武
📰 News
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