#26 進化するレシピ動画、TikTokの波に乗る食品ブランド
大手CPG企業がウェルネススタートアップの買収に急ぐ理由、二酸化炭素排出量が新世代「カロリー」になっている、Z世代のファストファッションとサステイナビリティのパラドックス
『CEREAL TALK』は、米国の次世代ブランドや小売、ニューラグジュアリーにフォーカスしたメディアです。毎週月曜日の朝にニュースレターをお届けしています🥣 by 沼田 雄二朗(@Numauer), 宮武 徹郎(@tmiyatake1) and 草野 美木(@mikikusano)
🥣 Briefing
進化するレシピ動画、TikTokの波に乗る食品ブランド
TikTokでは多くのレシピコンテンツがバズっている。今のトレンド、フェタパスタの動画は9.99億再生回数、ダルゴナコーヒーの場合は5.16億再生回数を達成した。元々FacebookやInstagram上でレシピ動画は人気だったが、TikTokでさらに加速していると『Modern Retail』は伝えている。このトレンドに乗って複数のブランドはレシピコンテンツを作り始めている。2015年にローンチしたレモネードブランドのSwoonはTikTokを開始したときにホイップクリームが含まれた「ホイップレモネード」というレシピを作り、ユーザーが似た動画を作り始めた。過去Facebookで人気だったTastyの3分ぐらいのレシピ動画とは異なり、TikTok動画は短い。2019年の最も人気だった動画トップ100を分析した際に、8割の動画が20秒以下だった。そしてバイラルなレシピ動画は具材を5つ以下使ってたとのこと。ブランドとしては自社で作ったレシピ以外にもユーザーのレシピを試してみたり、そのカスタマイズされたレシピを商品化するブランドもいる。スターバックスはダルゴナコーヒーのレシピをサイトに載せたり、IHOPはTikTokで最近はやったミニパンケーキシリアルトレンドに乗って、「パンフレーク」というシリアル商品をローンチすることを発表。
大手CPG企業がウェルネススタートアップの買収に急ぐ理由
2020年末から大手CPG企業がヘルスケア・ウェルネス系のD2Cブランドを買収するトレンドが行われている。去年の11月にチョコレートメーカーのMars Incがヘルシーなお菓子を提供するKind North Americaを買収、2021年5月にNestle Health SciencesがタブレットメーカーのNuunを買収。Nestleは4月に複数のビタミンやサプリブランドを抱えるThe Bountiful Companyを$5.7Bで買収している。Unileverも去年の秋にLiquid IVを買収したり、2021年4月にサプリブランドのOnnitを買収。『Modern Retail』によると、昔は「オーガニックなどバズワードに引きつけられて買収をしていた大手CPG企業だが、最近はヘルシーなお菓子屋活用的なドリンクなどに興味を持っているように見える。そのため、多くの飲食系のD2Cブランドはウェルネスブランドとポジショニングしている。例えばNuunやLiquid IVは人気スポーツドリンクのGatoradeよりヘルシーなドリンクとしてブランディングしている。買収を行なっているのは、社内の新規ブランド開発だけだと若者層にアピールが足りていないことを証明しているかもしれない。
CPG giants are rushing to acquire new types of health and wellness startups
二酸化炭素排出量が新世代「カロリー」になっている
過去にカロリー情報を公開するのがマーケティングトレンドになったと同じように、今は二酸化炭素排出量の可視化する需要が増えていて、ブランドはそれにそれに応えようとしている。『Forbes』のCarbon Trustが世界中の消費者1万人に調査によると、3分の2がプロダクトに二酸化炭素排出量の記載することをサポートした。2020年ではD2CブランドのAllbirdsが商品が入っている箱とオンラインに二酸化炭素排出量を記載する「Tread Lighter」プログラムをスタート。AllbirdsはD2C業界の中でも特にカーボンフットプリントなど環境問題の教育を行おうとしている。2020年にはAllbirdsはAdidasと提携して二酸化炭素排出量が最も低いランニングシューズを開発するプロジェクトを立ち上げた。
🎙 Podcast
#20 今までになかった体験を、新世代のブランドローンチ術
今回は、ブランドローンチをテーマにPoolside.fmやJUDYなど印象的だったローンチ事例など話しました💫
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ファストファッションとサステイナビリティのパラドックス
今のアメリカのZ世代はファストファッションが存在しなかった世界を知らない。今ではASOSは新しいスタイルを毎週5,000以上出していて、SHEINは毎日700〜1,000以上の新商品を出している。2000年から2014年の間、インフレがあったのにも関わらず服の平均単価が落ちたのは、ファストファッション業界が大きく影響した。『Vox』では、サステナビリティに関心の高いZ世代に対し、新世代ファストファッション台頭によるパラドックスについて特集をしている。多くのD2Cスタートアップや大手リテーラーはサステイナブルなブランドに変えようとしている中、ファストファッションブランドからZ世代が買い続けている現象が起きている。もちろん二次流通アプリのDepopやPoshmarkも人気だが、パイパーサンドラーの調査などを見てもSHEINやファストファッションリテーラーはZ世代の人気ブランドの上位ランキングに入っている。これがファストファッションパラドックス。サステイナビリティに対して共感しているのに、実際の購入ではSHIENをはじめ、Boohoo、Fashion Novaなどファストファッションブランドから買っている人が多い。Z世代からすると値段が安いプラットフォームに行きたいので、そうすると二次流通アプリかファストファッションに辿り着く。そんな中、二次流通アプリは何が販売されているか予想がつかないため、特定の服を購入したい場合はSHEINなどに行ってしまう傾向にある。
Editor's View
このパラドックスはTikTokのZ世代をリサーチするFanbytesの調査を見ても似たような結果が出ている。サステイナブルなファッション(服のリメイク動画など)が人気でもあるが、同時にファストファッションの動画も人気。サステイナビリティについて理解するのは当たり前、ステータスになっているが、実態とは違う。実態としては環境について本当に興味・関心を持つのは大変であって、ほとんどの人は常に環境について考えない。ファストファッションを人気にさせている一つの要因はTikTokでもある。TikTokは週毎にトレンドが変わるからこそ、次の新しい自己表現やトレンドにユーザーは乗らないといけない。そのため、頻繁にトレンドアイテムなどが変わり、ユーザーとしては加速されたペースで商品を購入するようになる。このパラドックスを解決する方法は正直分からないが、恐らくユーザー側とブランド側に責任があるはず。——宮武
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