#28 ラグジュアリーブランドはサーキュラーファッションを受け入れる
デジタルサプライチェーンの重要性、Ulta Beautyがライブ配信アプリSupergreatと提携、未来のおもちゃ屋さんを目指すレゴの体験型店舗、Shopifyアプリエコシステム
『CEREAL TALK』は、米国の次世代ブランドや小売、ニューラグジュアリーにフォーカスしたメディアです。毎週月曜日の朝にニュースレターをお届けしています🥣 by 沼田 雄二朗(@Numauer), 宮武 徹郎(@tmiyatake1) and 草野 美木(@mikikusano)
🥣 Briefing
ラグジュアリーブランドはサーキュラーファッションを受け入れる
昔は古着はビンテージ物を探している人たち、もしくは安物を巡る顧客層が買う物だった。今現在では古着文化が一般化して、ボストン・コンサルティング・グループとヴェスティエール・コレクティブの調査によると2023年にはクローゼットの4分の1の服が古着になると言われている。ファッションメディア『BAZAAR』では、ここ数年前からラグジュアリーブランドの二次流通が伸びた一部の理由は購入した服やアクセサリーは出来るだけ長く使われ続けること、サステイナブルなショッピングを希望するユーザーが増えたと紹介している。そのトレンドを見たラグジュアリーブランドは二次流通が販売のプロセスの一環として受け入れるだけではなく、二次流通企業と提携し始めている。2月にヴェスティエール・コレクティブはアレキサンダー・マックイーンと買取プログラムを始めた。過去のブランド商品を特定のアレキサンダー・マックイーンの店舗に持っていくとその服の分のお金が戻ってきて、服は二次流通サイトで販売される。他には、バーバリーではパーソナライズされたショッピング体験を提供し、Gucciは二次流通を購入するユーザーにインセンティブを提供している。二次流通市場はファッション業界がサステイナブルになるために非常に重要。2017年にはアメリカでは大量の服を捨てているので、古着文化はこの解決策になる可能性がある。ただ、古着になると安心して大量に購入するユーザーも出てくるのではないかと懸念する人もいるので、ファッション業界としてどう自社の事業とサステイナブルなブランドになるのかをバランスしなければいけない。
デジタルサプライチェーンの重要性
ブランドが最近メディア事業に投資をするトレンドになっているが、そのトレンドがどんどん加速している。多くのブランドは大型調達してなく、ブランドの購入を作るためにはLP改善、A/Bテスト、サイトのロード時間の改善、UGCのインセンティブ付けなど細かいコンバージョン戦略を行う必要がある。そんなブランドにとってデジタルサプライチェーンが重要になってきている。デジタルサプライチェーンの中心には自社のメディア事業が存在する。今ではどのブランドもまず自社のコンテンツ事業を立ち上げる、もしくは買収するのが必要になっている。大手企業はここに投資し始めている。GEはTxchnologistやGEのレポートを出している。レゴは自社の映画フランチャイズを作り、マリオットはYouTubeで動画制作を行っている。D2C業界でもマットレススタートアップPurpleは睡眠の化学についてコンテンツを作って人気になり、Glossierはブログ「Into the Gloss」から始まっている。
このメディア事業を作る上ではアテンションと黒字化の両軸が重要でありながら、ブランドに直結するのが必要だ。Dollar Shave Clubが抱えていたメディア「Mel Magazine」が売却された理由はメディアのクオリティではなく、関連性が低すぎて、Dollar Shave Clubとの繋がりをユーザーが感じなかったから。このデジタルサプライチェーンを簡単に作るには、まずブランドのニュースレターを作るのがオススメ。ニュースレターは簡単に立ち上げて保ち続けられるのが利点。例えばカミソリブランドのSupplyは、10人のフルタイム従業員しかいないのに、人気ニュースレターを作れている。ツールへの投資も限られていて、初期は一人の採用で成り立つので、合計$200Kぐらいの投資で18ヶ月間検証が可能。そのニュースレターが10万人の登録者を獲得できれば、恐らく3〜4万人の週次読者、そして3,000〜6,000人の読者が購入につながって各メール毎に$7,000〜12,000の売り上げを作れるかもしれない。
Ulta Beautyがライブ配信アプリSupergreatと提携
最大手の化粧品販売チェーンのUlta Beautyは、ビューティー系のライブ配信やショート動画を配信するSupergreatと提携。7月に提携して1週間で既に27回ライブ配信を行った。提携は14週間に渡って毎日15分から1時間以上のライブ配信を行う様になっている。配信はSupergreatの配信者が担当しているが、今後はUlta Beautyが選んだインフルエンサーも主催して限定商品をドロップすると言われている。Supergreatのユーザーの94%が女性、65%がZ世代、アプリの平均利用時間は20分、そして最も人気なライブ配信は$60分の商品を毎分販売した。今のところUlta Beautyのライブ配信はそこまでの実績を作れてないが、各配信で700〜1,000人の視聴者と2,500コメントを受けていると『Glossy』の取材でコメント。Supergreatのコミュニティに惹かれて最近大手ビューティーブランドと提携し始めている。Supergreatコミュニティは新しいブランドや商品について学びたく、ポジティブな場所を作れているため、Instagramオーディエンスを伸ばすのを悩んでいるブランドからすると試すべきチャネルとなっている。実際にライブ配信が成功するかは分からないが、検証するブランドは増えるのは間違いない。
Ulta Beauty partners with livestream shopping app Supergreat
未来のおもちゃ屋さんを目指す、レゴの体験型店舗
レゴの新しいニューヨーク店舗ではフィジカルとデジタルの体験を味わえる、未来型の店舗を『Retail Dive』が紹介している。自分のレゴのミニフィギュアをデザインできる場所、フィジカルのレゴモデルを作ってそれがARやデジタル上で表れてストーリーの主人公となるエリアなどを提供している。レゴは2年ほど前からこのような新しい店舗を開発していて、来年までに100店舗ほどデジタルとフィジカルの体験型店舗にすると発表している。レゴ以外に家族が楽しい体験を出来るCampはショッピングエリアと遊ぶエリアを分けている。さらにECやデジタルゲームやサービスに慣れている子供達に向けてレゴをデジタル上でも体験できるように心がけている。Campの共同創業者いわく、Campはおもちゃを販売しているが、今ではエンタメ・メディア企業になっていると発言している。フィジカルとデジタル、さらにインタラクティブな体験を提供することで、Campやレゴは子供のエンゲージメントを保ちながらコマースにも繋げられている。
過去に倒産したトイザらスをリプレイスする大手おもちゃ販売店は未だに出てきていないのは、それだけおもちゃ販売に季節性があり、黒字化するのが大変だからだ。大手企業のWalmartやTargetはおもちゃの販売で黒字化を目指してなく、そこで子供や家族を呼び込んで、他の商品でマネタイズするようにしている。それを対抗するのが体験型、しかも常に進化する体験型な店舗。レゴでは時期に合わせてテーマを変えている。5月4日はスターウォーズの日なのでスターウォーズテーマに、それ以外にハロウィンや祝日などに合わせて新しい体験を提供する予定。さらに人気のモールや場所だけに設置して、ユーザーが簡単にアクセス出来るようにしている。
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