#33 ラグジュアリーはゲームからNFTへの投資と進化していく
D2Cブランドが語る、飲料領域で目立つ方法、D2C企業のマーケティングトレンドは「パートナーシップ」大手デパートがどうZ世代にアピールできるのか
『CEREAL TALK』は、米国の次世代ブランドや小売、ニューラグジュアリーにフォーカスしたメディアです。毎週月曜日の朝にニュースレターをお届けしています🥣 by 沼田 雄二朗(@Numauer), 宮武 徹郎(@tmiyatake1) and 草野 美木(@mikikusano)
🥣 Briefing
ラグジュアリーはゲームからNFTへの投資と進化していく
2年ほど前から本格的にブランドはゲーム領域へ投資し始めたが、それがデジタルファッションやNFTの世界へも入り込むようになった。Burberryは8月にBlankos Block Partyと提携してNFTをローンチ。同時にLouis Vuittonは200周年のためにゲームを開発して、そのゲーム内でNFTを獲得できるようにしていた。既にゲーム業界と繋がりが強くなり始めているラグジュアリーブランドはNFTを検証する最適なオーディエンスに既にリーチできていると『Vogue Business』は伝えている。ゲームが好きなオーディエンスはデジタルアセットを評価しているので、NFTの購入もよりオープンに考えてくれる。Burberryは限定商品をいくつかの決まった価格で販売し、販売されたり二次流通で販売されると一部の利益をBurberryがもらえるようになっている。逆にLouis Vuittonの場合は30個無料のNFTをゲームで獲得できるようにしている。まだNFT市場がどうなるか決まってない中でLouis Vuittonはより自社で体験や環境をコントロールして、値段がボラタイルに動いてネガティブな評判になるのを避けた。そんな中でもバーチャルインフルエンサーのSUPERPLASTICは二つのNFTドロップを実現して、どちらともすぐに完売し、その売上が$5Mを超えたと言われている。SUPERPLASTICはNFT化された商品の開発及びブランディングが強いため、ラグジュアリーブランドが提携する意味がある。最終的にはNFTもフィジカルな限定商品と同じように、今のカルチャー的にイケているかをブランドは見抜かないといけない。
D2Cブランドが語る、飲料領域で目立つ方法
コロナの影響で次世代飲料ブランドのOlipop、Sunwink、SwoonなどがWhole FoodsやKrogerなど卸事業に展開出来たが、『Modern Retail』によると、コロナ明けして競合が増えている中でより大きめなマーケティングキャンペーンを行ったユーザー獲得とリピート率を増やそうとしている。Olipopは今までスパークリングウォーターが好きなユーザー層をターゲティングしていたのを、直近のコマーシャルでより広い層を狙うのが明らかになった。直近のマーケティングキャンペーンではPepsiの過去のコマーシャルをリファレンスしたレガシーブランドに対抗するヘルシーな商品を提供しているポジショニングを行なっている。さらにSMSキャンペーンをスタートして30分以内で$30,000分の売上を作れた。無糖の飲料メーカーのSwoonは夏の期間中にサンプリングイベントを行なってユーザーを獲得する予定。リテーラーだけではなく、ジムやフィットネスセンター内でもサンプルを提供して、サンプルに載っているQRコードを活用してSMSでユーザーとコミュニケーションを取る予定。このようなパートナーシップをうまく活用するスタートアップが飲料スペースに入り込んでいる。直近だとGatoradeのヘルシーオプションとしてブランディングしているBarcodeがバスケリーグと提携した。競合が増えている中、初回購入だけではなく、多くの飲料ブランドの課題となるのはロイヤリティが高いユーザー層を作ること。どういう風に毎日のように飲んで購入してくれるブランドになれるかを各ブランドが考えなければいけない。
‘An everyday purchase’: How startups are trying to stand out in the crowded beverage space
D2C企業のマーケティングトレンドは「パートナーシップ」
最近多くのD2Cブランドは他のブランドと提携したパートナーシップマーケティングを行なっている。プロダクトをバンドル化したり、コラボ商品を出す会社が増えている。『Modern Retail』で紹介されている事例は、レンタル家具のFeatherと飲食のサブスクサービスのDaily Harvestと提携して、Featherのアウトドア家具をレンタルする最初の100人のユーザーにDaily Harvestのボックスを無償で提供するキャンペーンを行った。オリーブオイルなどを販売しているBrightlandは水耕栽培キットなどを販売するLettuce Growと一緒にプロモーションを出した。Lettuce Growで特定の水耕キットを購入すると、Brightlandが選んだ野菜の苗とBrightlandのオリーブオイルがおまけでつくようにした。FacebookやGoogleの広告単価が上がり、ユーザー獲得コストが上がる中、パートナーシップは新しい獲得チャネルとなっている。
DTC Briefing: Partnerships are becoming a consistent part of startups’ marketing playbooks
🎙 Podcast
This Week’s Topic: Allbirds IPO👟
今回は、Allbirdsの上場について創業ストーリーからS-1資料で気になるポイントなど話しました、D2C企業のIPOが続きますね!(Appleポッドキャストの方はこちら)
✏️ View
大手デパートがどうZ世代にアピールできるのか
D2Cブランドやファストファッション企業がZ世代を引き寄せている中、Nordstrom、Macy's、Fred SegalなどデパートがZ世代向けの戦略を考え直している。多くのデパートはアンバサダープログラム、新しいサイト・LPデザイン、プライベートレーベル、限定コラボなどを通してアピールしている。SHEIN、Revolve、Boohooなどサイトデザインにこだわりを持ったEC企業と違って、多くのレガシーでマルチブランドのリテーラーのサイトは分かりにくいため、サイトを作り直す必要がある。Fred Segalはサイト改善と一緒にメールマーケティングを強化したり、ライブショッピングを試した。NordstromもZ世代向けのLPを作成し、簡単にZ世代に人気なプロダクトをまとめた。人気ブランドとのコラボを行っているデパートも多いが、同時に自社のプライベートレーベルに投資している。結局デパートにリピート購入してもらうには基盤となるブランドが必要なため、自社ブランドが一番適している。もちろんSHEINなどと同じ価格帯や新商品の数をリリースできないが、もう少し高いクオリティで補おうとしているデパートが多い。そしてFred Segalは過去にシャットダウンしたブランドの権利を買い取ってもう一度ローンチするのを試している。2021年4月にCamp Beverly Hillsを再ローンチしたが、初日に25%の在庫を販売して、サイトの訪問がかなり上がった。
Editor's View
古いブランドの名前を購入して再ローンチするのは面白いアイデア。Z世代はノスタルジアのあるブランドやデザインが好きなので、70年代から2000年台のブランドのライセンスを購入して限定コレクションとして出し続けるのは面白い戦略かもしれない。それに合わせてプライベートレーベルのブランドを立ち上げてコラボさせたりしてデパートの基盤となるブランドにするのが効率的なおかつアピールしやすい戦略な気がする。TargetやWalmartみたいに他の単価の低い商品を売っているわけではないので、ユーザーに一回目だけではなく、何回も戻ってくる理由を作らないといけない。他社のD2Cブランドとのコラボは他に真似されるので、自社の強みを作らないといけない。そのデパートでしかアクセス出来ない、特殊な体験・商品を提供するのが重要になりそう。—— 宮武
📰 News
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