#34 ラグジュアリーなクッキーはいかが?高級クッキーLast Crumbの戦略
LVMHがZ世代の従業員をさらに採用している、VANSがなぜRobloxでデジタル世界をローンチしたのか、勢いを増す「Shopify」のスタートアップ投資
『CEREAL TALK』は、米国の次世代ブランドや小売、ニューラグジュアリーにフォーカスしたメディアです。毎週月曜日の朝にニュースレターをお届けしています🥣 by 沼田 雄二朗(@Numauer), 宮武 徹郎(@tmiyatake1) and 草野 美木(@mikikusano)
🥣 Briefing
ラグジュアリーなクッキーはいかが?Last Crumbの戦略
「クッキー界のロレックス」を目指すLast Crumbは、ラグジュアリーブランドでよく見られるドロップモデルを試しているユニークな高級クッキー会社だ。一箱に$140もする12枚のクッキーLast Crumbは、過去4ヶ月で$1Mの売上を達成、週次のドロップで最短20秒で売り切れると『Morning Brew』が伝えている。ブランドのウェイトリストに5万人以上が登録し、成功した要因はこのドロップモデルだけではなく、InstagramやTikTokなどで箱開け体験コンテンツが流行ったからでもある。#LastCrumbの動画は1,380万再生回数を突破。初期はTikTokの動画の質の担保などが出来なくて困っていた。そしてローンチして3ヶ月で黒字化したため、調達をする予定はなかったが、成長スピードを上げるために$1M調達を行なった。ラグジュアリークッキーがどこまで成長するかは今後の見どころだ。
Last Crumb’s CEO on the cookie drop company’s winning strategy
LVMHがZ世代の従業員をさらに採用している
LVMHが来年末までに30歳以下の人を2.5万人採用すると発表した。『BoF』によると、今までの条件などを緩めてLVMHで職人術などの育成プログラム「Inside LVMH」の参加者を増やす予定。若者層が低い給料の仕事を避けるようになってから、ラグジュアリーブランド含めて多くのファッション企業は採用に苦しんでいる。特にハイエンドのブランドは今まで有名大学から採用しがちだったため、よりお金持ちで白人が従業員になっていたが、今はダイバーシティーが求められているので、それをトップダウンだけで意識するのではなく、ボトムアップでも意識することを考えている。そのボトムアップの手法を取るにはしっかりした階級システムとコーチングが必要になる。他社では色んな形で教育やコーチングを行なっている。Walmartでは店舗のアソシエイトの大学の学費などを払うことを約束して、Targetでは34万人の従業員にビジネスプログラムを提供すると発表。LVMHのアメリカ部門では毎月2回のメンタルヘルスのプログラムを提供している。最終的には自社の制度を可視化しながら、期待値コントロールをするのは重要。
VANSがなぜRobloxでデジタル世界をローンチしたのか
今年、Gucciを始めとした様々なブランドがRobloxで新しい体験を作る中、VansはRobloxと長期的に続く世界「Vans World」をローンチ。RobloxをSNSプラットフォームと似たように考えるべきとRobloxのブランドパートナーシップ担当者が『Fast Company』の取材で語る。SNSでブランドプロフィールを立ち上げると、一回しか投稿しなければフォロワーがエンゲージしないので、長期的なコミットが必要だ。Vans WorldはRobloxユーザーが好きな自己表現とクリエイティビティーを取り込んだ世界になろうとしている。Roblox上でVansの靴のカスタマイズをして、アバターを履かせるだけではなく、全く同じものを実際に購入ができるようにしている。Vans Worldの開発するためにVansはRobloxゲームを開発するスタジオ「the Gang Stockholm」を提携して、実際にVansの店舗、本社、ロンドンにあるスケートパークを再現し、ユーザーはスケボを使えるようになっている。今後もデジタル世界とリアルの世界を融合させるトレンドは続きそうだ。
Why Vans is launching a skateboarding world inside of Roblox
🎙 Podcast
This Week’s Topic: ティファニーの挑戦 💍
今回は、ティファニーのビヨンセ&ジェイ・Z夫妻を起用した大型キャンペーンをメインに話をしました。(Appleの方はこちら)
✏️ View
勢いを増す「Shopify」のスタートアップ投資
Shopifyが投資家としての存在感を増している。今年だけでもLoop Returns、Tapcart、Co-op、Bench、Swyft、Pipe、Yotpoなど無数の企業に出資しているほか、後払いのAffirmや越境ECソリューションのGlobal-EのIPO前に投資を行い、大きなリターンをあげている。出資先と競合するアプリを制限するようなことはないが、例えばYotpoの機能開発などに積極的に協力したり、Shoipfyアプリストア上で上位に表示させたりなどの「特別扱い」が受けられると噂されている。
このような動きに対する批判をかわし、そして7,000以上のアプリを提供するデベロッパーをつなぎとめるためか、アプリ経由の売上が100万ドルに達するまではデベロッパーに手数料を課さないという発表も行っているが、投資先が増えるにつれてより複雑な状況になりそうだ。
Editor's View
Shopify自身も同社のアプリストア上で自社アプリを展開していますが、「Shopify Email」などのように、どちらかというとライトユーザーをターゲットにした基本的な機能のみを搭載したものが多く、サードパーティーのアプリとうまく棲み分けられているように感じます。今後、Yotpoのような戦略的投資先とどのように関係を深め、公平性を保っていくのか非常に興味があります。
また、ソフトバンク ビジョンファンドがその資金力を武器にしているように、Shopifyは自社のE-commerceのエコシステムを武器にハイペースで投資を行っており、過熱するソフトウェア企業投資の新しいプレイヤーとして目が離せません。——沼田
📰 News
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