#38 ラグジュアリーファッション業界で植物性の革が人気な理由
自社リセールサービスが二次流通業界の次のトレンド、自社ブランドだけ売るのは終わり?ラグジュアリーブランドのキュレーター化、アメリカ出張に行ってきました
『CEREAL TALK』は、米国の次世代ブランドや小売、ニューラグジュアリーにフォーカスしたメディアです。毎週月曜日の朝にニュースレターをお届けしています🥣 by 沼田 雄二朗(@Numauer), 宮武 徹郎(@tmiyatake1) and 草野 美木(@mikikusano)
🥣 Briefing
ラグジュアリーファッション業界で植物性の革が人気な理由
何十年も革商品は高品質でラグジュアリー業界では人気なステータスシンボルだった。人工皮革を使うブランドが増えたのも、単価を低い中レザーの見た目を持った商品を販売できるから。ただ、人工皮革の商品はサステイナブルではなく、プラスチックであり、革とは遠いもの。『INPUT』によると、革を大体するサステイナブルなオプションが最近で始めている。Nikeはパイナップルレザーのスニーカーを開発したり、AdidasはStan Smithの靴をマッシュルームレザーで開発した。事例が少しずつ増えている中で、多くのラグジュアリーブランドも植物性の革を試している。エルメスはバーキンのバッグを野菜などヴィーガンな素材を使った。バッグ自体はオンラインでは頼めなく、店舗に行ってウェイトリストに入らなければいけない状態。果たして実際に今までのバーキンと同じ価値になるのかは不明。今実際に素材の販売を行っているのはパイナップルレザーのPiñatex、エルメスのレザーフリーバッグの素材を提供しているMycoworksなど。Gucciは自社の代替革素材「Demetra」を開発。植物性の革がブランドから受け入れられ始めて、価格帯も下がり始めると、より一般的な商品でも使われるかもしれない。
How plant-based ‘leathers’ are becoming the future of luxury fashion
自社リセールサービスが二次流通業界の次のトレンド
最近はオンラインリセール事業の会社がユニコーンになったり、上場するのを見かけるが、このリセールトレンドも進化し続けていて、今ではリセール3.0の時代に入り始めていると『Commerce Ventures』は語る。リセール1.0は古着のリアル店舗で、アメリカではGoodwillなどが人気だった。当時は古着屋に服を寄付することが多かったからこそファッション業界では古着屋の服をファッションアイテムとして取り入れるのは懸念されていた。リセールの2.0はこの古着屋のコンセプトをデジタル化したPoshmark、thredUP、The Real Realなど。誰でもアクセスできるオンラインとサステイナビリティの需要が上がったからこそ、非常に若者層などからは人気なサービスとなった。そしてリセール3.0とはブランドやリテーラー自身がリセール事業を受け入れて、自社サービス化する流れ。パタゴニア、REI、Lululemonなどは自社でリセールサービスを始めて成功している良い事例。今後もマーケットプレイスなどは流行るかもしれないが、好きなブランドとの信頼関係を保ちたいユーザーはブランドのリセールプログラムをより選ぶはず。
ブランドとしては自らに次流通市場へ入り込むことによって、ユーザーからの信頼を得られて、ユーザー獲得につなげられて、返品をリアル店舗への訪問に繋げるきっかけ作りとして考えるべき。自社サービスとして実行するには、自社開発するか、TroveやthredUPなどブランド向けのリセール事業を運営する会社と提携するオプションがある。市場が進化する中で、ブランドは顧客の満足度を保つためにこのトレンドに本格的に乗るのかを決めなければいけない。
The Next Wave of Resale: Why We Believe Brands Will Drive the Second Wave of Secondhand
自社ブランドだけ売るのは終わり?ラグジュアリーブランドのキュレーター化
ラグジュアリーブランドはもう自社商品だけを売る時代は終わり、より広い文化の中でテイストメーカーとしてポジショニングするためにはキュレータープラットフォームになる必要がある。『Vogue Business』は、コラボ文化などを通して共通のバリューを見せたり、ブランドより大きい何かを見せようとすることによって「文化的zeitgeist」に溶け込めると言う。Gucciは直近のGucciFestでこれから来るブランドを15社フィーチャー。Sain Laurentは若手ブランドと提携してライフスタイルプロダクトシリーズをローンチした。
色んなブランドとコラボしたり受け入れたりする世界を作るには、一つのルックスではなく、一つの理念をブランドが考えなければいけなくなった。自社デザイナーだけではなく、他のデザイナーをプロモーションしたりするとブランドとしてはより深いストーリーやコレクションを作れて、逆に色んな需要に応えられるので、顧客が離脱するリスク削減にもなる可能性がある。だからこそ最近のブランドのクリエイティブディレクターは色んなアイデアを考えられる人が多い。そんな中、Stella McCartneyやMarc Jacobsなどでは顧客フォーカスな店舗や施策を考えている。顧客を中心に自社商品以外のものをキュレーションすることによって顧客満足度を上げるのが今のブランドのフォーカスとなっている。
🎙 Podcast
This Week’s Topic: アメリカ出張に行ってきました 🇺🇸
10月末にニューヨークとサンフランシスコに行ってきました。今回は、投資先などと実際に話して感じたこと、コロナ後に訪れた街の変化、スーパーを訪れて感じたサプライチェーンの話、D2Cキュレーション型店舗でよく見かけたECアプリ、常時店舗とポップアップの違いなどしました。後日詳しくレポートしたいと思います!(Appleの方はこちら)
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