#4 新作の購入よりも既存の商品を着てもらう「リピーターチャレンジ」
ファッション業界がテキストを活用する理由、次世代Amazonは、古着EC「Goodfair」かもしれない、ファッションがクリエイターエコノミープラットフォームOnlyFansに進出
『CEREAL TALK』は、米国の次世代ブランドや小売、ニューラグジュアリーにフォーカスしたメディアです。毎週月曜日の朝にニュースレターをお届けしています🥣 by 沼田 雄二朗(@Numauer), 宮武徹郎(@tmiyatake1) and 草野美木(@mikikusano)
🥣 Briefing
新作の購入よりも既存の商品を着てもらう「リピーターチャレンジ」
これまでファッションブランドは、顧客に新しい服やプロダクトを購入してもらうことで儲かっていたが、最近はブランドが顧客に対しこれまでに購入した服を着続けることを勧め、場合によっては着続けることにお金を払う事例も出てきている。例えば、アパレルD2Cブランドの「ADAY」は、今年1月に600人の顧客に対し、過去にADAYで購入した服を着る回数に応じて$25〜$75のクレジットを与える「Outfit Repeater Challenge」キャンペーンを始めた。これはファッション業界が環境問題に及ぼす影響への対抗だ。毎年、世界の10%の炭素排出量、そして水やプラスチックを大量に扱う業界、毎年1,000億着の衣服が80億人のために作られている。サステナブルな素材を使うこと以外で、環境問題の解決方法が必要だと業界では声が上がっている。そこで人気になっているのが、新しく購入を勧めるのではなく、これまでの服を着てもらい、そしてリピートしてもらうこと。特にこのリピートして着てもらうことは、長期的にユーザーの行動シフトをさせるように仕向けている。ADAYのキャンペーンに今4,000人のウェイトリストがすでにおり、このトレンドの需要を示しているだろう。
アンチビジュアルの流行、ファッション業界が「テキスト」を活用する理由
最近、野外広告やファッション業界で「テキスト」を活用する会社が増えている。デザイナーがファッションショーなどで服にあえてテキストを入れたり、スーパーボウルでの広告でもRedditがテキストのみの広告を出し話題になった。他にも、ルイ・ヴィトン、ダンヒル、ステラマッカートニーなど、詩人と提携しているというニュースもある。この流れには、大きく4つの理由がある。1つ目は「アンチビジュアル」の流れ。ビジュアルはテキストより6万倍のスピードでプロセス出来るため、画像を次々と見れる。画像や動画が多い世の中に対して、あえてテキストを活用して人を止まらせて、読ませる戦略をとっているのだ。2つ目に、ブランドのトーン作りのためにテキストを活用している。ブランドのテイストや匂いは分かるが、ブランドの声のトーンはどんな感じなのかをより表現しやすくなる。ヴェトモンは皮肉っぽいトーン、ヴァレンティノは思いやりのあるトーン、プラダはインテリ系のトーンで表現している。3つ目は、ファッションをハイカルチャーとして見せるため。貴族はフォント、文献、詩に対して関心があるので、そこにファッションも寄せていけばハイカルチャーに見えるようになる。最後に、ブランドの自己表現のため。今ではブランドはただ服を売るだけでは足りない時代になった。ブランドは何を思っているのか、社会問題に対してどういうポジショニングをしているかなど、ブランドの人間化が必要になっている。
次世代Amazonは、古着EC「Goodfair」かもしれない
「Goodfair」は古着を扱うオンラインECスタートアップ。環境に関心が高い若者層を中心に人気のサービスで、ユーザーはサイズとセットで衣服タイプを選択し、服の色合い、スタイルはサプライズとして届くようになっている。Goodfairは2020年で売上が3倍になり、6月に$3.6Mの資金調達を発表。今年1月には大手百貨店チェーンのノードストロームと行った古着の限定ドロップを企画した際に数分で完売になり、その影響でノードストロームがGoodfairから1月の在庫の3倍の商品数を頼んだという。毎年1,000億着の服が作られる中、数年以内には60%がゴミとして処理されてしまうため、二次流通の需要が増加。2018年の二次流通市場が$24Bだったのが、2023年には$51Bになると言われている。直近だとフリマアプリ「Poshmark」が上場し、今年中に中古アパレルECマーケット「ThredUp」も上場予定。
Goodfair CEO Topper Luciani: The next Amazon will sell used goods
毎週木曜21時頃@ClubhouseでD2Cやリテールについてトークをしています。今週は、2月25日(木)に開催予定です、ぜひ遊びに来てください!
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ファッションがクリエイターエコノミープラットフォームOnlyFansに進出
有名ファッションブランド「レベッカミンコフ」がOnlyFansアカウントをオープンさせた。きっかけはNew York Fashion Weekと連携し、新作を舞台裏やデザイン思考の映像を有料コンテンツとして発表。OnlyFansは、もともとアダルト系コンテンツが多かったが、クリエイターへサブスクで課金して有料コンテンツにアクセスできる「サブスクプラットフォーム」へと進化し始めている。2016年にローンチしたOnlyFansはユーザー数1億人、毎日50万人の新規ユーザーを獲得しているという。OnlyFansは今まで2,000億円以上クリエイターに支払っていると発言している。クリエイターエコノミーの代表するプラットフォームの一つとして、カーディー・Bやマイケル・B・ジョーダンなどや様々なクリエイターやセレブがマネタイズしやすくするツールとして広がっている。
Editor's Note
そもそもInstagramのおかげで誰でもインフルエンサーやデザイナーに慣れるきっかけ作りを行なったが、今のクリエイターエコノミーは認知だけではなく、マネタイズも可能にした。今後はファッションデザイナーが様々なプラットフォームでコンテンツ制作を行い、有料コンテンツ、課金型コミュニティ、もしくは自社のECブランドを作る流れが来る。それこそ過去にCEREAL TALKでもピックアップした「デザイナーD2C」が流行るのは、このクリエイターエコノミーが伸びているからでもある。———宮武
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