#40 ファストファッション戦争、モバイルアプリに注力

ところで、D2C企業のエグジットはどうなってるの?、ホールディングス化するD2Cブランド、Gucciの最新デジタルストア「Vault」、NFT


『CEREAL TALK』は、米国の次世代ブランドや小売、ニューラグジュアリーにフォーカスしたメディアです。毎週月曜日の朝にニュースレターをお届けしています🥣 by 沼田 雄二朗(@Numauer), 宮武 徹郎(@tmiyatake1) and 草野 美木(@mikikusano)


🥣 Briefing

ファストファッション戦争、モバイルアプリに注力

大手ファストファッション企業H&MやZaraはいまだにコロナ前の売上レベルに戻ってない中、オンラインだけで伸ばしてきたファストファッション2.0企業たちが猛スピードで成長している。中でも有名なのは、最もダウンロードされたショッピングアプリとなったSHEINやBlushmark。Blushmarkは2020年5月にローンチして、TikTokのトレンドしているスタイルを元に毎日数百個の新しいプロダクトをローンチ。『Modern Retail』によると、Blushmarkのベストセラーページだけで1万SKU以上表示していて、平均価格は$15。BlushmarkはショッピングアプリだとAppleのアプリストアで8位にランクイン、TargetやNikeを追い越す勢いとなっていて、毎月40%成長していると言われている。SNSで好きなインフルエンサーが着ている服をすぐに購入できるように設計されている。

ファストファッション2.0企業は既存の大手ファストファッション企業と比較して新しい商品を出すスピードが違う。Topshopは1週間で500個の商品を出す中、SHEINは2020年7月時点で1日2,000以上のSKUを出していた。そしてTikTokにかなり注力している会社が多い。TikTok上で「#Shein」の付いている動画は89億回再生回数を突破。それは競合「#handm」や「#forever21」の129倍と23倍の再生回数。Blushmarkは300人以上のマイクロインフルエンサーと提携してバイラル化している。さらに去年からデジタルオンリーだったファストファッション2.0企業は今ではポップアップを試している。2020年にSHEINはロスやロンドンでポップアップを試して、2021年5月はメキシコシティーでも出した。大手ファストファッション企業も対応しようとデジタル化し始めているが、デジタルネイティブな企業とどう戦うかが注目ポイント。

The fast fashion wars go mobile: How apps like Shein and Blushmark are challenging H&M and Zara

ところで、D2C企業のエグジットはどうなってるの?

『Retail Dive』がD2C企業のエグジットについての特集をしている。過去10年間流行ったD2C企業がようやく大型ビジネスになり、会社としてエグジット(上場か売却)するタイミングに入った。大体5〜10年のブランドだと少なくとも$40Mの売上になっている。2016年〜2020年では毎年100社ぐらいがエグジットした中で、大手リテールブランドなどがD2Cブランドを買収するパターンが多かった。今までだとJet、Supreme、Dollar Shave Clubなどがユニコーンエグジットをしている。ただ、最近では大手D2C企業は上場市場、SPAC経由での上場、PE企業からのバイアウトする会社が増えているよう。2021年のD2Cブランドのエグジットを見ると、66社が売却、38社がバイアウト、19社が上場申請している。

The anatomy of a DTC exit

ホールディングス化するD2Cブランド

今まではWarber ParkerやBonobosなど独立ブランドとして運営するのが普通だったが、最近は複数ブランドを一つの会社の配下に入れるトレンドが出てきている。これによってリソースとノウハウを統一して効率的にスケールを目指そうとしている。Harry'sはメインブランド以外にFlamingo、Headquarters、Cat Personなど複数ブランドを持っていて、4月の$155M調達ではブランドを自社ポートフォリオに追加すると発言している。Very Greatという会社は買収ではなく自社でブランドをインキュベートする方針になっていて、最初にW&Pをローンチしてから今は犬向けのブランドWild OneとホームテックブランドのCourantをローンチ。最近調達したPatternは自社でOpen SpacesとEqual Partsを作り、今後は買収でブランドを増やしたいと言っている。その他にこのような取り組みをやっている会社はWin Brands。

ホールディングス化する一つのメリットは統合されたオペレーション。人事やロジ周りを配下にあるブランドが共通で使えるようにすると、効率的になる。Win Brandsはカスタマーサポート、プロダクトソーシング、配送周りなど12部署で複数ブランドをサポートしている。各ブランドにはプロダクト開発とコミュニティ開発に注力してもらうようにしている。さらに複数ブランドを抱えているとより大手リテーラーとの関係性作りがうまく行ったり、同じグループ内のブランドがすでに開拓しているチャネルにも入りやすくなる。今後も$10M〜$20Mぐらいの黒字化している事業がどんどん買収されるかもしれない。

The rise of DTC holding companies


🎙 Podcast

This Week’s Topic: ブランドが考えるべきNFT戦略

今週のテーマは、「NFT」。投資ではなく、ユーティリティとしての可能性に注目すべきポイントや、米国のブランドがどうNFTを活用しているかなと話をしました。(Appleポッドキャストはこちら


✏️ View

Gucciの最新デジタルストア「Vault」

「Vault(ヴォールト)」という言葉が大好きなGucciクリエイティブディレクターのアレッサンドロ・ミケーレは、Gucciの新しいコンセプトストアにそのままVaultという名前を付けた。Vaultのコンセプトは「タイムマシーン、アーカイブ、図書館、研究室、出会いの場所」。マルチレイヤーで過去、現在、未来の自己表現をしようとするVaultはGucciの初期を思い浮かべるビンテージ商品などを含む、過去の物に2回目、3回目の命を与えるようにしているとミケーレさんは『BoF』の取材で語る。そんなビンテージ商品をミケーレさんなりにリミックスしようとしている。彼曰く、自分はファッションデザイナーではなく、シェフであって、過去の商品の具材を新しい形で組み合わせているだけ。さらにVaultでは「Conversations」という次世代デザイナーを紹介するプラットフォームにもなっているのと、詩やショートストーリーなどが含まれた「Library」セクションも存在する。

Editor's View

実際にVaultを見ると、明らかに今までのGucciのサイトとは大幅に違うデザインになっている。トップページにはGucciの商品を活用したASMR動画を見れたり、ビンテージの商品を出しながら次世代デザイナーを紹介する、まさにミケーレさんが仰っている過去、今、未来の組み合わせを絶妙に表現したサイト。ミケーレさんの凄さについては過去にbytesのポッドキャストTwitterスレッドでも紹介しているが、本当に今までのクリエイティブディレクターと違う、色んな人を巻き込みながらGucciを新しい視点で見れるコンセプトを考えている。ー宮武

Decoding Gucci’s Latest Digital Experiment


📰 News

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