『CEREAL TALK』は、米国の次世代ブランドや小売、ニューラグジュアリーにフォーカスしたメディアです。毎週月曜日の朝にニュースレターをお届けしています🥣 by 沼田 雄二朗(@Numauer), 宮武 徹郎(@tmiyatake1) and 草野 美木(@mikikusano)
🥣 Briefing
2022年オンラインリテールのトレンド予測
コロナの影響で過去2年間は思った以上にEC業界が成長した。そんな中、Digital Commerce 360はいくつかのトレンド予測を行った。まず、2020年や2021年に引き続きEC業界は成長するが、その成長率は落ちる。2020年は31.8%成長、2021年は16.2%成長と比べて2021年は14%成長すると予想されている。リアル店舗の価値が上がってきている中、そこにフォーカスするブランドが多くなる。さらに2021年に続き新しいビジネスモデルを試す年にもなる。自社のマーケットプレイスや二次流通プラットフォームをローンチするブランドが増えたり、買取制度を行うブランドが増える。特に去年はラグジュアリーブランドがこの領域を試していた。
サプライチェーン問題については今年も続くが、今年の後半には徐々に良くなると予想されている。ただ、これはコロナの影響次第ではある。逆にアメリカだとマクロ経済でインフレがどう世の中を影響するのかが非常に注目される。リテール業界では商品の価格帯が上がるのと、従業員の給料を上げなければいけない課題を感じる。そしてそれ以外の注目するべきトレンドはウェディング業界の成長、Amazonに対する独占禁止法、そしてラストマイル配送領域のコンソリデーションが生じること。
2022年にショッピングを変えるリテールスタートアップ
Forbes記事によるとこれからの鍵となるリテールトレンドは動画からのショッピング、リアル店舗をサービス化するソリューション、マイクロフルフィルメントセンター、そしてオンデマンドファッション。まず動画配信からの消費を代表するのがTalkShopLiveやPopshop Live。TalkShopLiveは直近Walmartと提携を発表。WalmartはサイトやSNSでショッピングが可能な動画を出せるようになった。さらにPopshop Liveはライブ配信で商品販売をするサービス。そしてiOSアップデートによって広告のコンバージョン率が下がる中、リアル店舗を活用したいブランドが増えている。Brik + Clickはオンラインブランドが簡単にリアル店舗で商品販売を可能とするサービス。リアル店舗と同時にVR店舗も運営しているので、今後も色んな形で店舗を活用したサービスが出てきそう。
さらに15分以内のグロサリー宅配サービスが増えている中、ブランドも即時配達が出来るためのサービスが人気になっている。Fabricなどマイクロフルフィルメントセンターを運営しているスタートアップはミニ倉庫を顧客の近くに配置することによって1時間以内での配送を可能にしている。Fabricは去年$200M調達を行、Walmart、Instacart、FreshDirectなどと提携している。最後のトレンドはファッション業界で過剰在庫などを無くすサービス。Resonance Companyはオンデマンドで商品製造するサービスで、Rebecca Minkoff、The Kit、Tuckerなどが活用している。
The Retail Startups Aiming To Change How We Shop In 2022 And Beyond
Amazonのフィジカルリテール展開の予測
Amazonは過去数年間グロサリー店舗などリアル店舗を試していたが、今年からより拡大する可能性がある。特にWalmartのEC事業が成長する中で、Amazonはリアル店舗領域へ入り込んでより競合すると思われている。そんなAmazonのフィジカルリテール戦略の中でまずあるのがグロサリー展開。今現在20箇所でAmazon Go店舗を抱えていて、Amazon Freshは38店舗。どちらの店舗も活用しているAmazonの無人レジ技術「Just Walk Out」を今後第三者に提供すると予想されている。既にダラス空港でHudsonが技術を取り入れて、最近は手のひらだけで入場と決済ができるAmazon Oneも導入した。この展開によってAmazonは他社のグロサリーデータを取得しながら決済収益も取れる。
さらにAmazonはポップアップ店舗をより多く展開すると予想される。数年前からVRやおもちゃなどテーマ別のポップアップ店舗を試しているので、今後もそれを続けて新しいリテール店舗のコンセプトを検証する。去年末にWall Street JournalがAmazonが大型店舗、いわゆるデパートのコンセプトストアを試す予定と報道があったが、このような展開をAmazonが行ってもおかしくない。特に家具やアパレルなど、AmazonがShopifyと比較して少し弱い領域で展開するはず。
🎙 Podcast
#40 やっぱり強いAmazon
今週のトピックは、アマゾンについて。Shopifyの対抗もすごいですが、やっぱり強いAmazon…。Amazon Webstoreの裏話からShopifyのマーケットプレイス化はありえるのか?、Amazonの広告事業、対抗できる相手はいるの?という話をしました🛍(Apple Podcastの方はこちら)
✏️ View
Basic.Spaceがドロップで人気クリエイターとラグジュアリーブランドを引き寄せている
ソーシャルコマースマーケットプレイスのBasic.Spaceはエクスクルーシブなプラットフォームとしてローンチした。未だにプラットフォームに参加できるクリエイター、アーティスト、ブランドは招待制オンリーで、2018年には大坂なおみなどもジョイン。11月に数名のクリエイターと提携して限定ドロップをまとめて販売した「Select Day」イベントをローンチした。Select Dayでは8名のBasic.Space売手が特別デジタル体験と商品ドロップを販売して、Basic.Spaceのロイヤリティプログラムメンバーがアーリーアクセスできる仕組みだった。このように今後プラットフォーム側もドロップマーケティングを提供するのがトレンドになるかもしれない。NikeはSNKRSアプリで2015年から行っているが、最近だとPinterestのPinterest TVやComplex NetworkのComplexConでもドロップ商品が流行り始めている。
Editor's View
Basic.Spaceは投資先なので、バイアスが色々あるものの、大坂なおみやVirgil Ablohなど250人弱の著名なクリエイターを集めたプラットフォームは中々ない。CEOのJess Leeさんがアート・デザイン領域に強いからこそストリートブランドのSupremeなどが人気にさせたドロップモデルをデジタル化出来ている。今後はブランドだけではなくキュレーションされたマーケットプレイスが増える中で勝ち抜くのはどう言う形で「カルチャーモーメント」を作れるかが重要になっていく。それを作るにはその瞬間でしか体験できない、購入できない何かを提供しないといけないので、時間、場所、NFT・トークンなどをベースにした限定アクセスを試すブランドとプラットフォームが増えてもおかしくない。ー宮武
How Basic.Space is trying to attract artists and luxury brands with drops
📰 News
お金を貯めて購入する「Save now, pay later」と新しい決済手段を提供するAccrue Savingsが$25M調達を発表 - TechCrunch
EC企業向けのアナリティクスを提供するDaasityが$15M調達を発表 - TechCrunch
ストリートウェアのミステリーボックスを提供するHEATがLVMHとAntlerなどから$5M調達を発表 - HypeBeast
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