#51 ブランドのメタバース展開を支える、ある代理店の学び
CPGブランドが最も入りたいスーパー「Erewhon Market」、2022年はライブコマースプラットフォームが大手テック企業と対抗する年、「Chief Supply Chain Officer」の重要性、インスタで話題のバッグ、代替肉の人気が落ちてきた?
『CEREAL TALK』は、米国の次世代ブランドや小売、ニューラグジュアリーにフォーカスしたメディアです。毎週月曜日の朝にニュースレターをお届けしています🥣 by 沼田 雄二朗(@Numauer), 宮武 徹郎(@tmiyatake1) and 草野 美木(@mikikusano)
先週のアンケートご協力ありがとうございました!今回のポッドキャストでも少し話していますが、頂いたコメントじっくり拝見して改善していきたいと思います🙏
🥣 Briefing
ブランドのメタバース展開を支えるある代理店の学び
去年末のNikeのRTFKT買収、GucciやVansのRobloxのバーチャル世界の展開によってどのブランドもメタバース的なことを試すプレッシャーを感じ始めていると『Vogue Business』が伝える。そんなブランドのメタバース展開を支援している「メタバースエージェンシー」が出すアドバイスとしてはフィジカルな物を再現することを考えないこと、長期的にやり続けること、そしてNFTなどを顧客関係構築ツールとして考えること。メタバースではモールというフィジカルでは当たり前だった概念が覆される。ブランドとしてThe SandboxやDecentralandのバーチャル土地やCyberなどの新しいスペースを理解するのが必要。長期的に、プラットフォームネイティブに考える必要があるため、代理店「Virtual Brand Group」などはブランドのメタバースライセンスを取得している。Virtual Brand GroupはForever 21のRoblox世界をローンチしたり、Forever 21のサイトでRobloxアイテムを販売するようにしている。重要なのはこれを一時的なトレンドだけとして見ないこと。次の世代はRobloxなどバーチャル世界で多くの時間を過ごしているため、ブランドとしてはNFTなどバーチャルグッズ・世界などを通して顧客と出来るだけ深い関係性を築くことを心がけないといけない。
Navigating the metaverse? The new agencies talk what to watch
CPGブランドが最も入りたいスーパー「Erewhon Market」
LAに詳しい人からすれば、「Erewhon Market」は誰でも知っている人気自然派ハイエンドグロサリーだ。1966年に日本から移民した久司道夫と妻のアヴェリーヌがボストンで立ち上げ、LAにも展開し、2011年に買収された。過去10年間では人気Vlog系ユーチューバーのエマ・チェンバレンや女優のグウィネス・パルトローなどセレブが頻繁に通うところとして有名になった。『Modern Retail』によると、2019年では売上効率は1平方フィートあたり$2,500と、通常のグロサリー店舗の4倍の数字を達成していると報道。そんなErewhonはオーガニックな素材やパッケージを抱えているCPGブランドを探している。
多くのCPGブランドは、Erewhonに置いてもらうのが夢でもあるらしい。しかも店舗数が少ないため、Whole FoodsやSproutsと違ってスモールバッチでも対応が可能。D2CブランドのSwoonは2019年からErewhonに商品を置いているが、そのおかげで他のチェーン店に卸すのが簡単になったと語る。Behaveは他のグロサリー店舗へ展開が出来たが、あえてErewhonにまずアプローチした。Erewhonはヘルシーな食事を紹介するインフルエンサーのトレンドディスカバリースポットでもある。Swoonはエマ・チェンバレンが勝手にErewhonで見つけてInstagramやTikTokで紹介してくれた。この”Erewhon印”を求めるブランドは今後も増えていきそうだ。
How Erewhon Market became the coveted stamp of approval for CPG startups
2022年はライブコマースプラットフォームが大手テック企業と対抗する年
アメリカでは去年まで「NTWRK」や「Whatnot」などライブコマース企業がコレクターやブランドなどと提携して大型調達も行ってきたが、『Modern Retail』によると、大手テック企業がより本格的に市場参入し始めている。2021年では$11B、2023年までには$25Bになると言われているアメリカのライブコマース市場を狙ってFacebook、YouTube、TikTokなどがコマース展開している。FacebookやYouTubeは去年からショッピング型のライブ配信イベントを開催している。スポーツ・ポケモンカードやフィギュアなどを販売するWhatnotからすると、大手テック企業はライブコマースのネイティブユーザーであるカードショップの売手などを抱えるのは難しいと語る。YouTube・Instagramインフルエンサーとは違うスキルセットであり、Whatnotは売手に対して専用のマーケティングやアナリティクスツールを提供している。機能自体は大手テック企業に真似されるので、最終的にプラットフォームが勝つためには最も強いライブコマースクリエイターを集められるかかもしれない。NTWRKなどでは複数人の売手が一緒に集まってライブショッピングフェスティバルなどを開催していて、毎回$2Mぐらいの売上を達成している。
Live shopping platforms are preparing for battle with big tech in 2022
🎙 Podcast
#43 インスタで話題のバッグ、代替肉の人気が落ちてきた?
今週は、気になったクリエイターが作ったリメイクバッグの話や、代替肉の人気が低迷している?なぜ?、そしてLVMHベルナール・アルノーの息子であるアレクサンドル氏がクリプトパンクコミュニティに参加、NFTへの関心など話をしました。
そして、アンケートのご協力もありがとうございました🙇🏻 回答頂いたアンケートで嬉しかったコメントなど話もしているのでぜひ聴いてみてください!
✏️ View
「Chief Supply Chain Officer」の重要性
今年Nordstromはサプライチェーンを担当する経営メンバーを採用したが、それは会社としてどれだけロジスティクスが重要になっているかを示す動きだった。その採用は元Amazonのアレクシス・デプリーさんで、Nordstromが今では半分以上の売上を占めすデジタル領域の拡大を続ける中で2日以内の配送や店舗受け取り機能を強化している。Nordstrom以外もスーツケースブランドのAwayも会社のサプライチェーンとビジネステクノロジーチームを担当する初COOを採用、Revlonは元PPI Beauty COOのトーマス・チョさんをChief Supply Chain Officer(CSCO)として採用。2020年10月から2021年11月にかけて、サプライチェーンマネージャーの募集が47%増、サプライチェーンスペシャリストは79%増。今まではファッション業界ではサプライチェーンマネージャーは中間層のポジションだったが、グローバルのサプライチェーン問題が相次ぐ中、より重要なポジションになっている。求められているのはテクニカル、戦略、リーダーシップのノウハウを持っている人だが、そのスキルセットを持っているのは少ないため、今かなりの取り合いになっているはず。P&GやKimberly-Clarkeなど昔からそのような役職を採用するCPG系の会社や大手ブランドから採用するのがベストかもしれない。
Editor's View
元々ブランドがサプライチェーンにフォーカスしたのは商品をどう効率的に動かせるか、いわゆるコスト削減のためだったが、直近のCEREAL TALKのポッドキャストでも話したように、今の港の状況などを見るとサプライチェーンは大きな事業戦略の一部に入るようになった。2019年末あたりからD2C業界でも最初の採用をグロース担当者ではなく、オペレーション周りを見れる人にシフトし始めている。最近のCEREAL TALKでも話しているように、今ではサプライチェーンは体験の一部になっている。配送の遅れやミスが相次ぐとブランドロイヤリティがかなり下がってしまう。そして今は多大なるコストやロジスティクス問題になっているが、今後はサプライチェーンを環境視点で考える需要も上がってくるので、色んな意味でブランドは根本のサプライチェーンを意識するようになっている。ー宮武
📰 News
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