#53 Web3 x コマースの未来
「Chief Diversity Officer」ファッション業界で注目の役職、若手デザイナーを才能を発掘する「Up Next Effect」、来るべくして来た Nikeのメタバース、Flexportはどうみてる?悪化が続くサプライチェーン問題
🥣 Briefing
Web3 x コマースの未来
Web 2.0のブランドがWeb3化するときによくあるユースケースはロイヤリティプログラムや商品の認証などだが、Color Capitalのクリス・カンティーノは、他にもユースケースがあると『Forbes』で語る。一つは、店舗内の購入をインセンティブ付けさせるためにNFTを一緒に販売すること。例えばGAP店舗で購入するとYeezyのNFTがエアドロップされるなど。さらに顧客のコホート型のNFTも便利かもしれない。Nikeなど新しいコレクションや商品をドロップしたときに最初に購入したユーザーに対してNFTを提供すれば、そのコアユーザーにポイントやNFTなど何年にも渡って報酬を提供できる。さらにユーザーがより購入データや持っているNFTデータが公開されて集計するとニッチコミュニティなどが立ち上がり、そこに対してのターゲティングされた販売なども可能になる。まだこれからWeb3 x コマース事例は増えると思われるが、同時に課題はいっぱいある。環境問題やセキュリティー問題は改善されているが、オンボーディングやワークフローの改善がまだ必要。進化し続ける中、ブランドがどのタイミングで入るべきか考えるのは重要。
「Chief Diversity Officer」ファッション業界で注目の役職
2020年の人種差別問題についての関心や環境問題など大きなシフトの影響で、様々な業界は新しい種類の経営メンバーを採用している。『BoF』では、6つの役職を紹介している。まずASOS、GAP、Targetなどが過去2年間で取り入れた「Chief Growth Officer」はソフトウェア業界では珍しくないが、最近ではファッション業界でも需要が高まっている。Macy's、Nike、Kering、Prada、Targetなどではダイバーシティを高めるために「Chief Diversity Officer」を採用している。2020年のジョージ・フロイド騒動でファッション業界では需要が高まった。さらにコロナの影響もあり、Nordstrom、Revlon、Tory Burch、Macy'sなどは「Chief Supply Chain Officer」を採用した。それ以外にもブランドを管理する「Chief Brand Officer」、環境インパクトを担当する「Chief Sustainability Officer」、そしてリモート環境の中で人材・カルチャーを強化するために「Chief People Officer」など様々な役職が人気になり始めている。
若手デザイナーを才能を発掘する「Up Next効果」
今日のファッションマーケティングはDMで決まる。『BoF』では、若手デザイナーのキャリアを大きく動かしたあるインスタグラムアカウントについて特集している。シンガポール出身の25歳のデザイナーのグレイス・リンは、立ち上げた女性向けブランドをプロモーションするためにInstagramで様々な人にDMした。その中でブルックリンに住んでいるインスタグラマーのアルバート・アヤルが、そのDMを元に自身のアカウント@upnextdesignerで彼女の商品と名前を投稿した。その投稿から一気に人気セレブやインフルエンサーから連絡が来て、その投稿のおかげでジェニファー・ロペスなどレッドカーペットやプレスツアーで彼女のブランドを着てくれたそう。似たような現象が色んなデザイナーが感じていて、それを彼のアカウント名から「アップネクスト効果(Up Next Effect)」と呼ぶ人がいる。セレブだけではなく、セルフリッジズ、Net-a-Porter、SSENSEなどのブランドやLaw Roach、Kollin Carterなど人気スタイリストも常に彼のInstagramアカウントをモニタリングしている。ただのキュレーターではなく、新世代ブランドと業界のトッププレイヤーをつなげるコネクターの役割を果たしている。3年前から投稿し続けたアカウントはムードボード化して、2020年では5,000人のフォロワーしかいなかったときにカイリー・ジェンナーがフォローし始めた。数ヶ月後には人気モデルのカイア・ガーバー、Vogue編集者たちがフォローするようになった。まだインサイダーしか知らない彼は13.6万人のフォロワーしかいないが、業界で最も重要な人たちが注目しているインスタグラマーかもしれない。
🎙 Podcast
Flexportはどうみてる?悪化が続くサプライチェーン問題
今週のテーマは、「Flexportはどうてみるか?サプライチェーン問題 in 2022」。ソフトバンクも出資する物流テックのFlexport CEOのインタビュー記事など、去年から問題になっているサプライチェーンの話しを深堀りしました。
✏️ View
来るべくして来た Nikeのメタバース
Nikeは常に新しいイノベーションの最先端に立っている。もしそうでないとしたら、自社の強みであるマーケティングをうまく活用して勝ち抜く戦略を抱えている。そのおかげでNikeはNBAからスケボーまで幅広いスポーツ領域でトップブランドになっている。NikeほどWeb3とメタバースに準備していたブランドはいなかったかもしれない。『2PM』では、ブランドパワー、セレブやスポーツ選手との関係、とてつもなくロイヤリティが高いファン、そしてSNKRSアプリなどを通してデジタルプレゼンスを上げてきたNikeはこの瞬間のために準備をしてきたと紹介している。例えば、卸事業を小さくしてD2C化したのも、ミドルマンを外すWeb3的な考え方。2021年11月にはRoblox上でバーチャル世界を立ち上げて、12月にデジタルファッションブランドの「RTFKT」を買収。Nikeはメタバースでの先端を切るための買収であり、メタバースの中では今までNikeが行ってきたブランドの作り方、プロダクトの作り方が変わる・進化すると理解していたからこそ行った買収だった。今後も買収などは続けるかもしれないが、Nikeはどのブランドよりも一歩リードした状態でメタバースに踏み込むことになる。
Editor's View
数年前からNikeはNFT領域やメタバース領域に関係する特許申請をしていた。そして2021年からメタバース部門を立ち上げて、徐々にチームを拡大していた。表ではそこまで動きがなかったように見えたかもしれなく、表向きではAdidasの方がこの領域に踏み込んでいるように見えた。ただ、RTFKTの投資家として言えるのは、Nikeほどこの領域を真剣に見ている会社はいないかもしれない。今回のRTFKTの買収で明らかにNikeがブランドとしてメタバースのトップブランドに一気に跳ね上がったのは間違いない。去年からデジタルファッションブランドを見てきた中で、個人的にRTFKTに近しいブランドは今のところ存在しない。「デジタルSupreme」と言う呼び方は本当に正しく、3Dデザイン、ストリートウェア、デジタルファッション、ゲーム、クリプト、リアルな商品作り、カルチャーを全て理解するチームは中々存在しない。実際に作ったCloneXを見ても、どれだけクオリティの高いものかを感じることができる。RTFKTがNikeの配下に入るのは、色んな意味合いがあり、今後の活躍にもかなり期待している。短い間でしたが、少しだけ中からトップティアのメタバース・NFTブランドを見れたのは非常に勉強になりました。ー宮武
📰 News
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PS. 以前TwitterでYouTubeも上げてほしい!という声を頂いたので、せっかくなので今週のポッドキャストは動画でも挑戦してみました。いかがでしょうか?👀
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