🥣 Briefing
ファッションレンタルの厳しい現実
メンズウェアのレンタルサービス「Season」と「The Rotation」がシャットダウンすることを発表した。2019年6月にSeasonsを立ち上げた元Nikeのプロダクトデザイナーのレジー・プラレラは、合計$5Mほど調達したが、『BoF』の取材によると様々なコストがあると途中から分かり、レンタル事業単体では厳しいと判断したそうだ。Heron Prestonやアレキサンダー・マックイーンなどの商品をレンタルできるThe Rotationを2021年に閉じたが、コロナの影響が大きいと発言している。さらにレンタル業界を代表するサービスRent the Runwayは2021年10月に上場してから株価が60%以上落ちている。様々なリテールコンセプトが過去10年間で出てきた中で、もしかしたらレンタル事業が一番難しいのかもしれない。在庫コストだけではなく、配送などロジスティクス関連のコスト、清掃コスト、補完コストなどが思った以上高い。さらにキャッシュフロー的にも先に在庫を買い取っている反面売上は一回の販売ではなく、何回もレンタルしてもらわないと黒字化しないようになっている。Seasonsもこれを解決するために購入オプションを付けたが、それを気づくのが遅すぎたとプラレラは言う。The RotationなどはP2Pモデルで在庫を抱えなくて良いようにしているが、その分良いブランドの選定が出来なくなる課題が生まれる。在庫を購入するタイミング、ビジネスモデル、様々なコスト削減など、レンタル事業を運営するにはユーザー獲得だけではなく、裏方の管理が重要なのかもしれない。
ケリングの2022年の戦略
過去2年間旅行客などに頼っていて苦しんでいた高級ファッションのコングロマリットのケリングがまた成長し始めていると『BoF』が伝える。のGucciも2019年のコロナ前と比較しても二桁パーセンテージの成長、サンローランのリテール売上も61%成長、バレンシアガやアレキサンダー・マックイーンも急成長していると言われている。その結果ケリングの売上は2019年と比較して35%成長した。この成長を保つために卸戦略、商品ラインアップ、カテゴリー拡大などを行なっている。ラグジュアリー業界全体として卸に頼らなくなり始めているが、Gucciもその流れに乗ってオンラインでの卸はやらないと判断した。自社店舗などによりフォーカスすると決め、アメリカで最近お金持ちが集まり始めている"サンベルト"(アトランタ、シャーロット、ナッシュビル、オースティンなど)での店舗開拓を検討している。プロダクトもクラシックで昔から人気な商品とイノベーティブな商品ラインアップのミックスを重要視している。バレンシアガはオートクチュールに戻りながらも"The Simpsons"などとの新しいコラボレーションはプロダクト戦略を象徴する考え。さらにまだ市場拡大の可能性があると思われるメンズウェアの領域にも今後積極的に入っていく予定。2022年ではGucciからの売上比率を下げるためにもしかしたらBurberryやPradaなど有名ブランドの買収を検討する可能性はなくはないだろう。
日本のEC市場の歴史、ShopifyエコシステムとAlloy
コロナ禍やD2Cブランドの増加に伴いEC市場がさらに拡大している日本。EC市場の歴史とShopifyの成長、そしてShopifyエコシステムで人気のアプリについて「CEREAL TALK」のnoteでまとめました。Shopifyの日本市場における成長やShopifyと連携するツール。例えば、Webページの制作や分析や購買体験、カスタマーサポートなどにカテゴリ分けしツールをまとめました。また、a16zから2000万ドル調達し、EC特化型の自動化ツール「Alloy」とは何か?など紹介しています。今後もテック系の投稿も増やしていこうと思っています、よければチェックしてみてください🙏
🎙 Podcast
小売企業CTOの広がる役割、棚を”貸す”スーパー
今週は、支援先のAlloy調達の話から、小売スタートアップに求められるCTOの要件が上がってる件、そして棚を貸し出すスーパーなど話をしました。
✏️ View
Shopify・D2Cコマースの今後の課題
D2C業界全体のバロメーターとなるのはShopifyと言っても過言ではない。そんなShopifyを見ると、2021年では多くのテック企業と同じように株価がかなり上がったが、過去半年間で52%下がって、2020年5月の株価と同じぐらいになってしまった。株価が落ちた大きな要因となったのはコロナ期間が終わりそうなこと、そしてインフレによっての消費者行動の変化の恐れ、そしてマーケティングコストの増加。特に最後のマーケコストの増加はShopifyとしてかなり痛いことと『spree』が伝える。平均的なShopifyブランドのGMVは年間で$50Kあたり、月次だと$4,000ぐらい。利益率が10%〜20%と考えると、マーケコストの変動によって事業にかなり影響する。D2CブランドからするとShopifyは恐らくどのプラットフォームよりも優れているのは間違いないが、大きな課題を同時に抱えている。それがディスカバリーがないこと。Shopifyブランドは基本的に自社でユーザーを引き寄せないといけない。Shopifyの株価はある程度Metaの株価と相関している一部の理由は、FacebookやInstagram広告のパフォーマンスや価格によってShopifyブランドの成功・失敗が影響されるから。そんなShopifyはディスカバリー要素を強めるためにTikTok、Facebook、Googleなどと提携してトラフィックをShopifyブランドに誘導させるために力を入れているが、ここのブランドのユーザー獲得問題は完全に解決されない。今後GoogleがAppleと同じように広告制限を行うと、さらにShopifyブランドは影響される。逆に半分以上の商品検索シェアを抱えるAmazonはディスカバリーの強みをここで活かせている。もしかしたら今後より多くのブランドはAmazonなどマーケットプレイスでのドロップシッピングを行うかもしれない。
Editor's View
この話は過去のCEREAL TALKポッドキャストや記事、そしてOff Topicポッドキャストでも話したが、Shopifyとしてディスカバリー機能を提供するのかのプレッシャーが日々強くなってきているはず。サプライチェーン問題、そしてコロナ明けではフィジカルなプロダクトからサービスへ消費がシフトするのはD2Cブランドをより苦しめることを考えると、Shopifyとしては出来るだけ効率が良いユーザー獲得方法を提供するのが必須となる。Shopifyの広告事業がどこまでFacebookレベルのものになるのか、そして2021年にはアメリカで3番目にダウンロードされたショッピングアプリShopを活用してディスカバリー・マーケットプレイス展開をするのかが気になる。Shopify側はやらないと言っているが、もしかしたら今年の事業パフォーマンス次第でその考えも変わるかもしれない。Shopifyとして良いニュースとすると、アメリカでは恐らく利率がすぐに上がらないと言うことなので、消費者の購買意欲がさらに下がってすぐに大手リテールブランドへシフトしないと思われる。——宮武
Hard times ahead for DTC eCommerce and the rise of a dropshipping marketplace
📰 News
アジアルーツのD2C飲料ブランド「Sanzo」が$10M調達 - Twitter
LVMHが数年前からラルフローレンの買収を検討していた? - Axios
Allbirdsは今年から他社の店舗に商品を卸すことを判断 - The Information
次週のポッドキャストは、Ehara Rieさんをお呼びしてアメリカのリアルな消費事情について話しました!お楽しみに🔥 By CEREAL TALK編集部
CEREAL TALK(@cerealtalkjp)Yujiro Numata(@Numauer) Tetsuro Miyatake(@tmiyatake1) Miki Kusano(@mikikusano)