🥣 Briefing
ラグジュアリーブランドの価格のちから
「Forbes」が今月12日に取り上げた、「ラグジュアリーブランドの価格について」の研究が非常に興味深い。『The Luxury Strategy』を共著に持つ、ジョエル=ノエル・カプフェラーとピエール・ヴァレット=フローレンスの研究によると、ラグジュアリーブランド製品の価格上昇は需要を減らすどころか、むしろ助長する結果になるとされている。
これはブランド品の価格が、それ自体の質の高さや耐久性などの具体的なメリット以上に、その額を支払うことで得られるステータスの指数として機能する、という彼らの研究結果に基づく。つまり、ブランド品の高価格であることは、入手困難故にそれを購入することで得られる社会的地位の基準となり、高ければ高いほどに消費者の所有欲を刺激するというのだ。
実際に、ラグジュアリー業界の売上は2019年の3070億ドルから、20年に一度22%落ち込んだにも関わらず、21は3090億ドルまで回復している一方で、マーケットプレイスFarfetchでは、2020年から21年にかけて平均価格はむしろ上昇。割引価格で取引されていたルイ・ヴィトンのバッグも、21年には定価以上の価格で流通するようになっている。
物理的に存在しないデータの所有を可能にすることで価値が生まれたNFTには最初驚かされたが、物質として存在するはずの高級バッグも、そのものの質でなく、所有すること自体に対価が支払われているというのは非常に面白いし、ものの価値とはなんなのだろうと考えさせられてしまう。
Forget Quality And Sustainability: High Price Drives Consumer Demand For Luxury Brands
CGIインフルエンサーがプロモーションを担当
ニューヨーク・ファッションウィークに合わせて発表されたニットウェア・ブランド「PH5」の2021年秋のルックブックの主役の一人は、黒くて鋭い目、切りそろえられたボブ、そしてアスリート体型の若い女性だった。彼女の名前はAMAで、現実には存在しない。『BoF』によると、彼女はCGI(チーフ・ディシジョン・サイエンティスト)という肩書きを持っており、自身のアカウント「@actualAMA」のもと、Instagramでそのブランドアイデンティティを体現している。
PH5創業者のLinとクリエイティブ・ディレクターのChampionは半年間、デジタルアーティストのDaniela Krolと協力して、AMAをよりリアルに親しみやすいと感じてもらえるように開発してきたと語る一方、その過程で重要視されていたことは、AMAがファッションにおける環境に配慮した生産プロセスの必要性について、情熱的で「怒り」に近い感情を持つようにデザインしたこと。そうすることで、AMAはブランドの目標に磨きをかけ、サステナビリティへの取り組みを強化するよう働きかけてくれると考えている。
CGIモデルは、ファッション業界では新しいことではない。2016年にはデジタルデザインスタジオのBrudが制作したリル・ミケーラは、カルバン・クラインやプラダの広告に登場したことがある。2018年、バルマンは広告キャンペーンに「世界初のデジタル・スーパーモデル」と表現した3人のCGIモデルを起用した。近年、ソーシャルメディア上では消費者とリアルなつながりを構築するために創業者をインフルエンサーとする手法を用いるなど、「人」を会社の顔として機能させてきた。しかし、自分たちをブランドの公器として扱いたくないデザイナーや創業者たちにとっては、消費者との新しいつながりのカタチを考えるきっかけになるかもしれない。
🎙 Podcast
#49 これからの世代のお酒文化、Glossier批判記事の話
✏️ View
MeUndiesのNFT展開の批判について
多くのブランドがNFTやWeb3展開をローンチしているニュースが流れているのを見ると、NFTがメインストリーム化して需要がかなりあると思い込んでしまう可能性がある。2022年1月末にD2CブランドのMeUndiesはNFTトレンドに乗って人気NFTコレクションのBored Ape Yacht Clubにジョインしたと発表。Bored Apesは有名セレブやテック業界からかなり支持されていて、MeUndeisはその流れで自社のTwitterプロフィール写真をMeUndiesのロゴを含めたBored Apesアバターへと変更した。数時間以内にそのツイートが263リツイート、1,000以上の返信があったが、ほとんどが批判コメントあった。環境に優しい素材を扱っているMeUndiesがこのようなことをするのは矛盾しているのではないかなどのコメントが集まる中、最も人気だったコメントはMeUndiesサブスクのキャンセル方法を教えるツイートだった。NFTは環境インパクトが悪いのではないかと言う人もいたり、コミュニティを経済化することによって汚すことが特に批判されやすい。MeUndiesとしてはTwitterプロフィールを元に変更して、NFTについてその後話していない。
Editor's View
NFTを批判する声がかなり上がるのは仕方がないことな気がする。最も難しいのはNFTやブロックチェーン技術を学んでない方がメディアなどを通して理解せずに批判してしまうこと。環境問題は確かにあるかもしれないが、解決策として出てきているブロックチェーンソリューションもあれば、そもそもリアルプロダクトを出すのと比較するともしかしたらNFTはより環境に優しいかもしれない。コミュニティの怪我したり、経済要素を組み込む課題に関してはブランドのNFT戦略の設計次第だと思うが、そこはコミュニティが熱いほど気をつけなければいけないことを理解しないといけない。結局NFTは技術や手法でしかなく、それを活用してバズを生み出す時はブランドとしてメッセージ方法などは考えてから出したほうが良いかもしれない。ー宮武
‘Huge disappointment’: Inside the customer backlash to MeUndies’ NFT announcement
📰 News
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