#66 人気バンドColdplayが目指す、CO2排出ゼロのワールドツアー
モノのメタバース?マイクロチップを使って物理的な商品をNFTに変換して販売、RTFKTとNikeのデジタルスニーカー「Cryptokicks」、謎のインスタアカウント「Hidden」ポップアップに行ってきた、NYのD2Cコミュニティ(出張振り返り)
🥣 Briefing
人気バンドColdplayが目指す、CO2排出ゼロのワールドツアー
程度の差こそあれ、企業が環境改善に手を打つことが当たり前になりつつある今日このごろ、その担い手はもはや企業だけにとどまらないようだ。
イギリス出身の人気バンドColdplayは、今年のワールドツアーにおけるCO2排出量を2017年のツアー比で半分に、さらに削減しきれない分を森林再生などのプロジェクトに出資することで相殺、つまりオフセットすることを宣言している。
例えば、移動においては基本的に航空機を避け、陸路の移動でも廃棄油由来の再生可能燃料を使用する。さらに、演出に使う紙吹雪や、リストバンド型ライトはそれぞれ土に還る素材を使用。会場で提供されるフードも、植物素材、ラボグロウン素材(人口肉など)といった最新の代替素材を積極利用するなどなど。その隙きのなさは、環境改善の最前線にいるであろう大手企業にも引けを取らない。
こうしたバンドの挑戦に、ファンが参加できる手段としてリリースされたのが、『Outlook』など多くのメディアで紹介されている「Music Of The Spheres World Tour App」という専用アプリだ。(無料アプリなのでぜひ入れてみてほしい。)ファンアプリとしての機能はもちろん、注目すべきはその算出機能。ファンは、出発地と参加会場、そして移動手段を選択することで、その移動がどれだけのCO2を排出するか数値で確認でき、より排出の少ない手段を選ぶとショップで使用できるクーポンを獲得する事ができる。また、ここで計算されたファンの移動に伴う総排出量も、オフセットの対象であるというから驚きだ。
綿密な施策の数々だけでなく、ファンを取り組みの当事者として巻き込む工夫は、アーティストのこうした例にこそ学べる点が多いように感じられた。
Coldplay Leads The Charge Against Climate Crisis With Their Latest App
モノのメタバース?マイクロチップを使って物理的な商品をNFTに変換して販売
『Fast company』によるとAmericana Technologiesは、マイクロチップを実在するブランド品やアート作品などに埋め込むことで、ブロックチェーンの力が加わってNFTとして販売。商品ごとに所有権の証明、公的記録として所有権の全過程を提供するデジタル台帳が付けられる。同社は690万ドルのシード資金調達ラウンドを終了したばかりでまだローンチしていないが、夏に公開予定。
これは、自分がインターネット上で購入した商品の信用度を高める方法になると思うが、それ以上に機能的な役割も果たす。例えば、アートコレクターの分野では本物であることの証明となり、作品の偽物を販売する犯罪ネットワークを阻止することもできる。ラグジュアリー市場では、偽物の流通を食い止めることができる可能性も。GUCCIのバッグやKAWSの作品を見知らぬ人から買っても、それが本物であることが仲介者なしでわかるようになる。ブロックチェーンの利点の他にも同社のNFTAユニバーサルチップは、リアルタイムのGPSデータでWeb 2.0レベルのセキュリティを提供するという。
Americana Technologiesによると、このチップには仲介者を介さずに所有権やロイヤリティを移転する方法も含まれているそう。イーサリアムブロックチェーンのみ対応しているが、ソラナや他のチェーンも検討中。現在ウェブサイトには、Gap x Kanye Westジャケット、ポケモンカード、パブロ・ピカソの絵画「海辺の人物像」などが掲載されている。これからはアート、デザイナーズ家具、限定ストリートウェア、車などジャンルの幅は違えど、熱烈なコレクター層をターゲットに設定するそう。
IoTがもたらした革命から、Web3ではそれがMetaverse of Thingsへとどう変わっていくのか過程が期待される。
Physical objects turned into NFTs with blockchain microchips
🎙 Podcast
#55 謎のインスタアカウント「Hidden」ポップアップに行ってきた、NYのD2Cコミュニティ(出張振り返り)
今週は、出張振り返りとして、Hiddenポップアップの様子や、Bonobos創業者アンディー・ダンさんとのイベント、NYのD2Cコミュニティなど話をしました。
✏️ View
RTFKTとNikeのデジタルスニーカー「Cryptokicks」
Nikeが2021年に買収したデジタル版SupremeのRTFKTと初のデジタルスニーカーをローンチ。Nike Dunkスニーカーをモデルとして、「Nike Cryptokicks」と呼ぶ。RTFKTが2021年にローンチしたNFTアバタープロジェクト「CloneX」所有者に対して2022年2月にMNLTHという箱のようなNFTを無償で提供したが、そのMNLTHを引き換えにCryptokicksをもらえるようになる。Cryptokicksとしてはベースになるスニーカーだけではなく、そこに組み合わせられる8つのデザインがある。各スキンはさらに進化できるようになっていて、今後RTFKTの取り組みなどに参加するとおそらくポイントをもらえて、そのポイントでスニーカーをアップグレードできるようになると思われる。直近ではNikeはクリプトウォレット、オンラインコミュニティ用の仮想通貨、クリプトアセットをメンバーにあげられる技術、オンラインの宝探しゲームなどの商標登録も行なっているので、今後よりメタバース展開を期待できそう。
Editor's View
NikeのRTFKT買収がどれだけ重要だったかはここで証明し始めている。Nikeとしては恐らく自社だけでデジタルスニーカーを作ることが出来たかもしれないが、RTFKTが作っている世界感を作るのは厳しかったと思う。ただのスニーカーではなく、恐らく今後のRTFKTが作るデジタル世界の貢献度に合わせてRTFKTトークンなどをもらい、それで自分のスニーカーをアップグレードする、ストーリー性のあるデジタルアイテムを作ろうとしているのがRTFKTだと思われる。RTFKTはさらにCloneX所有者にエアドロップした、CloneXアバター用の部屋「Space Pod」もあるので、そこでの自己表現の可能性、友達とのソーシャルなやり取り、ゲーム展開など、様々な方向性が考えられる。確かなのは、RTFKTはただのデジタルファッションブランドでもなく、ただのNFTアバタープロジェクトを作っている会社でもない、メタバースネイティブな会社であること。ー宮武
Nike and Rtfkt take on digital fashion with first “Cryptokick” sneaker
📰 News
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