#7 ラルフ・ローレンが独自レンタルサービスをスタート
ターゲットがD2Cブランドと連携し大衆市場向けラインを発表、リアルを求めて - 店舗体験をオンラインで再現する、ナイキの真逆を貫くAllbirdsのグロース戦略、冷凍食品D2Cの可能性
『CEREAL TALK』は、米国の次世代ブランドや小売、ニューラグジュアリーにフォーカスしたメディアです。毎週月曜日の朝にニュースレターをお届けしています🥣 by 沼田 雄二朗(@Numauer), 宮武徹郎(@tmiyatake1) and 草野美木(@mikikusano)
🥣 Briefing
ラルフ・ローレンが独自レンタルサービスをスタート
アパレルブランドのラルフ・ローレンが初の独自レンタルサービス「The Lauren Look」をローンチ。最近では他にもアン・テイラー、ダイアン フォン ファステンバーグ、ヴィンスなどレンタルオプションを顧客に提供するブランドが増えている。The Lauren Lookは毎月$125でコレクションから服を選べて、スタイリストからアドバイスをもらうこともできる。途中で服の交換も可能で、メンバー限定の割引制度なども検討中らしい。裏の技術は「CaaStle」というClothing as a Serviceサービスがサブスクモデル、データベース、アルゴリズム、アナリティクスを運用している。アパレルのサブスクモデルに賛同する顧客は、ブランド特典や新しいプロダクトを見つけられる機会を探しているのが理由となるが、レンタルをすることによって環境問題に対しての対応とも見る顧客もいる。ラルフ・ローレンの今回のレンタルコレクションでこれ以上利用できない服があれば、その服を寄付ができるそうだ。
ターゲットがD2Cブランドと連携し大衆市場向けラインを発表
ターゲットは、大手小売企業の中でもD2C領域の攻め方はトップクラスだ。D2Cブランドとの提携や自社ブランドの立ち上げなど実施し、新しく面白い取り組みをスタートした。それは、他社D2Cアパレルブランドのダウンマーケット(大衆市場)商品をターゲット作り、売ること。マタニティブランド「Hatch」と下着ブランド「Lively」でこの取り組みを始めた。Hatchのマタニティー服は高いものだと$400だが、ターゲットで販売するライン「The Nines by Hatch」では、すべて$40以下。Livelyもターゲットで販売するライン「All.You.Lively」では$25とお手頃価格。ターゲットとしては、様々な顧客のニーズを応えるために毎回自社のプライベートブランドを作らずにすみ、D2Cブランド側は、今までリーチ出来なかったアメリカのミドルクラス以下の層から認知及びコンバージョンができる。大衆向けの商品によりブランドイメージに響くのかが気になるところではあるが、LivelyもHatchもネガティブな方向性に行っていないと主張。Hatchは、5年間のコミュニティフィードバックからダウンマーケットの需要があったそう。ターゲットは、ディスカウントストアでありながらポジティブなイメージを持つ人が多いかなりユニークな立ち位置だ。
リアルを求めて ー 店舗体験をオンラインで再現するブランド
オンラインショッピングは簡単で便利だが、店舗での体験と比較するとまだ未完成な部分も多い。デジタルネイティブのZ世代の98%は未だに店舗で商品を購入したいと回答。コロナ期間中、多くのブランドがその体験をどう家でオンライン上で提供できる施策を考えた。商品の使い方を教える動画チュートリアル、オンラインコンサル、写真やオンラインでデザインをアップロードするとカスタム商品が簡単に作れるプラットフォーム、オンライン教育、ARで商品を試す試作、オンラインゲームなどを通してユーザーとエンゲージメントを高めるD2Cブランドも多い。エクステブランド「RUKA」は、サイト上にバーチャルショールームを作り、そこでプロダクトの紹介をしている。
Brands get tech savvy to deliver unique online shopping experiences
🎙Episode 02 : 冷凍食品D2Cの可能性
今回のポッドキャストは、クリスタルメーカー「スワロフスキー」など最近のリブランディング事例や、GUCCIのZ世代への訴求がうまい理由、冷凍食品D2Cの可能性、D2Cブランドの人事ニュースについて話しました✨🥣 (Apple Podcastの方はこちら)
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ナイキの真逆を貫く、Allbirdsのグロース戦略
Allbirds、2020年9月に$100M調達発表し、$1.7Bの時価総額と跳ね上がった。しかし、ナイキのフットウェア売上の$24Bやアディダスのフットウェア売上の$15Bの実績にはまだまだ程遠い。特にナイキは、少なくとも過去5年間トップスニーカーブランドとして知られている中、Allbirdsはどう対抗できるのか業界では話題になっている。ナイキの熱狂的な人気の秘密は、「スニーカードロップ戦略」だろう。新作から既存モデルの復刻版、そしてコラボレーション、毎年100種類の新しいスニーカーをドロップし続けてる。カジュアルファンからするとお手頃の値段で購入できると共に、二次流通市場で値段が跳ね上がるためスニーカーファンにも愛されているブランドだ。そんな中、Allbirds共同創業者のティム・ブラウンは、ナイキなどを真似する予定はないと宣言。「Allbirdsでは、何百種類と作るモデルではなく、靴を最もシンプルなフォーマットとして削り込めるかに注力している。新商品ではなく、店舗数の拡大とより広いオーディエンスにアピールして成長したい。」とブラウン氏は語る。実際にAllbirdsは、ランニングシューズは3種類、カラーは10色しか用意していない。コラボ企画も2020年は3つのみ。ナイキのオンラインとオフライン店舗の売上の割合は半々だが、Allbirdsのオフライン売上(グローバル含む23店舗)は全体の25%以下を占める。2021年末には店舗数をさらに36店舗に増やすことを計画している。
Editor’s Note
Allbirdsの戦略は、「1種類の靴を購入して何年も履いてもらうこと」。この戦略自体はナイキとは異なり、顧客LTVを下げているのでは?いう指摘もある。ただ、Allbirdsはスニーカー領域でナイキと勝負していないと個人的に思っている。Allbirdsはスニーカーブランドではなく、サステナビリティブランドとして年々強く押し出している。直近のAllbirdsとアディダスのコラボ企画や植物ベースの代替皮革企業に投資するニュースを見ると、Allbirdsは自社でアパレルを売りながら、サステイナブルな素材を売る事業に展開するのが見える。パタゴニアがゴアテックスという特殊生地を使っているのが、これからAllbirdsの特殊生地を利用する可能性もあるだろう。そうするとAllbirdsは自社のビジョンを成し遂げながらナイキ以上の可能性を持つ会社になり得るかもしれない。——宮武
‘The opposite of Nike’: Inside Allbirds’ growth strategy
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