#75 TikTokのSEO対策は今が旬?ソーシャルメディアSEOの重要性
なぜ規制強化が後払いサービスの成長を後押しすると言えるのか、D2C時代の終わり:Glossierの次の展開、SHEINのオペレーション事情、D2C起業家が作ったコミュニティコマース
🥣 Briefing
TikTokのSEO対策は今が旬?ソーシャルメディアSEOの重要性
『Fast Company』によると、ブランドやクリエイターはTikTokでより多くのZ世代のオーディエンスにリーチするために、SEOを利用している。
10年以上、「SEO」と聞けば企業はGoogleのことを話していたが、eコマースやソーシャルメディアの世界では、AmazonやTikTokのような動画共有アプリ、巨大なデジタル企業が台頭し、商品、娯楽、情報などのオンライン検索は、他の分野に移行し始めているそう。
Google Knowledge and InformationのシニアバイスプレジデントであるPrabhakar Raghavan氏は、最近アスペンで開かれた会議で、18歳から24歳の若年層の40%近くが、情報を探す際にGoogleで検索するのではなく、TikTokやInstagramなどのソーシャルメディア検索を利用していることを明らかに。これはコンテンツクリエイターやブランドマーケターにとって、新しいオーディエンスに適切なコンテンツを届けるためには、アルゴリズムを熟知することに加え、TikTok、Instagram、Facebook、Twitter、LinkedInなどのソーシャルメディアSEOを学ぶことが不可欠であることを意味している。
TikTok以外のFacebook、Twitter、Instagram、LinkedInはいずれもSEOサービスラインアップを拡充しており、なかでもLinkedInはクリエイター・ツールを発表したばかりで、ユーザーが既存のプラットフォームに検索可能なマルチメディアやその他のコンテンツを簡単に追加できるようになっている。
TikTokコンテンツはミームやトレンド主導のイメージが強いが、検索に適したコンテンツは、人々が意図的に情報を探し、投稿がクリックされることで時間をかけて人気をじわじわ集めていくかもしれない。
なぜ規制強化が後払いサービスの成長を後押しすると言えるのか
「Buy Now, Pay Later」の頭文字を取って、BNPLと呼ばれる後払いサービス。クレジットカードのような厳しい審査がないこと、基本無利息で利用できるといった手軽さを理由に、近年利用者数を劇的に伸ばしている。また、加盟店にとってもBNPLを提供することでコンバージョン率と客単価ともに引き上げが期待できるため、採用するECおよび実店舗についても順調に拡大している。
存在感を強めるBNPLだが、一方で利用ハードルの低さゆえに、支払滞納や、買い物依存症の温床になっているなど懸念の声が上がっているのも事実だ。こうした背景から、昨年末には米国の消費者金融保護局(CFPB)がAffirm、Afterpay、Klarna、PayPal、Zipの大手後払いサービス5社へ情報提供を要請した。
このように、当局がBNPLの規制監視を強化する動きは、サービスの成長ペースを低下させるだろうとの見解が多く見られるが、『Forbes』ではむしろ逆であると述べられていて、的を得ているように感じた。今月12日の記事曰く、先程挙げたようなBNPLの主要プレイヤーは規制強化が囁かれる前から、各州法が定める貸付法に従っているため、ルールが明文化されたとて影響は少ない。むしろここ数年で急速に増えた類似企業から、サービスに問題のある有象無象を淘汰する形となるため、業界の質を高める結果となり大手にとっても追い風になるであろうと語られている。
ある意味無法地帯の中で爆発的に増えた後払いサービスが、より消費者にとっても加盟店にとっても安全な買い物方法の1つになるために、官民連携のもとルール化が進められている。規制と聞くと抑えるもの、縛り付けるものといった印象が先行するが、BNPLの例のように業界を前進させるものでもあると再認識した。
🎙 Podcast
SHEINのオペレーション事情、D2C起業家が作ったコミュニティコマース
今回は、SHEINがどうやって大量かつ迅速に商品を作り続けられるのかの仕組みについて。そして、OutdoorVoicesを作ったD2C起業家の新しい挑戦、Web3のコミュニティコマースプラットフォーム「TYB」の紹介をしています。
✏️ View
D2C時代の終わり:Glossierの次の展開
6月にD2Cを代表するGlossierでは創業者のEmily Weiss氏がCEOとして退任して、代わりに元NikeとCole Haanの経営メンバーだったKyle Leahy氏がCEOとなった。そのKyle LeahyがVogue Business InterviewでGlossierの次の展開を発表。今までコミュニティファーストのマーケティングアプローチをおこなってきたGlossierは今年の初めにOlivia Rodrigoを初セレブアンバサダーとして活用していく中、よりインフルエンサーを活用するとLeahyは語る。さらに過去数回検証したものの、本格的に行なってなかった卸事業を始めることを発表。リテール店舗は一つの顧客タッチポイントでしかなく、よりリーチがGlossierにとって必要だとLeahyは思っている。
Editor's View
この経済環境、インフレ、サプライチェーン問題、そしてAppleのiOSアップデートの影響で明らかにアメリカのD2C業界は静まっている。そんな中でより多くの業界人がD2Cオンリーの限界を感じている。直接顧客獲得するのに結局FacebookやInstagramなどミドルマンを使わなければいけなく、さらにShopifyだけでは不十分な顧客体験になるため複数のソフトウェアを活用してマージンが下がってしまう。残りのマージンはサプライチェーンに取られて、結果として良いマーケティングと顧客タッチポイントで勝負するブランドがアメリカではの多い。次の世代のブランドはより良いプロダクトにフォーカスしながら、今までとは違う顧客獲得戦略、リテンション戦略、そして調達戦略を持たなければいけないのかもしれない。ただユニコーン企業になれなく、$100M〜$300Mの売却が目標値になってしまうと、結果として大手リテール企業が勝ち続ける状況となる。どうにか次にリテールユニコーンの作り方を考えたい。ー宮武
Glossier’s new CEO on why she’s backing influencers, ending the DTC era and opening stores
📰 News
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