#8 アバターエコノミーにブランドはどう参入する?

便利なはずの定期便EC、解約を防ぐ”タイミング”、企業も取り入れはじめる、Supreme的ドロップカルチャー、新興ビジネスウェアブランドがコロナ禍にどう生き残ったのか


『CEREAL TALK』は、米国の次世代ブランドや小売、ニューラグジュアリーにフォーカスしたメディアです。毎週月曜日の朝にニュースレターをお届けしています🥣 by 沼田 雄二朗(@Numauer), 宮武徹郎(@tmiyatake1) and 草野美木(@mikikusano)


🥣 Briefing

便利なはずの定期便EC、解約を防ぐ”タイミング”

ペットフードやワイン、カミソリ、サプリなどのサブスク市場が過去5年で100%成長。安定性の高い定期便はブランドとユーザーにとても便利なはずだが、利用者の40%がサブスクプランをキャンセルしている。解約する理由は大きく2つ。1つはプロダクトが欲しい時に来ないこと、2つ目は消費する前に新しいプロダクトが届いてしまうこと。その離脱率を下げるために多くのD2CブランドはSMSやメールにてサブスク管理ができるようにしている。これまでサブスクの設定を変更するには、ブランドサイトへ行き、ログインをして変更するというステップだった。最近では、SMSやメールで簡単にメッセージで登録の取り消しを可能にしている定期購入を一時的に遅らせたり、他のプロダクトの提案やディスカウントを提供するブランドが増えている。例えば、タンポンブランドの「LOLA」は寄付のオプションを提示していたりもする。「Repeat」というスマート補充サービスは定期購入ではなく、プロダクト毎の消費パターンなどを研究して補充する最善なタイミングでSMSを送れるようにしている。そしてユーザーのアクション(購入する、スキップするなど)に応じてパーソナライズされた補充通知を送るようにしている。他にも「Bottomless」はコーヒーのサブスクと一緒に天秤のお皿を提供して、コーヒーの消費量を計算して良きタイミングに合わせて再注文の通知を送っている。

The real reason we’re breaking up with subscription brands

Supreme的ドロップ文化を取り入れる企業ブランドグッズ

企業がグッズ化をしても見向きもされなかった時代から今ではユーザーが企業ブランドののグッズを欲しがり、お金を出す時代になった。ドーナツの「Dunkin'」では、オリジナルのスウェットやシーツ、マクドナルドではチキンナゲットの形をした枕などが数時間で売り切れになる人気ぶり。ファストフードブランドだけでなく、フィンテック企業の「Acorn」では帽子やTシャツを販売し、ロボアドバイザーサービス「Betterment」が販売しているトートバッグは即売り切れ。デジタルウォレットサービスの「Cash App」ではストリートウェアコレクションまでローンチし($180するジャケットも含む)、これも売り切れ。これまでと違って、ドロップやセレブとのコラボを行い、Supremeのような商品紹介をすることによってユーザー・ファンから高評価なグッズ販売ができる時代になってきた。Supremeがふざけてロゴ入りのレンガを売っているのが若者層に受けているのを見て、それと似た雰囲気の商品・グッズをするのが今のトレンドになっている。特にD2Cブランドとかだとオンライン広告でのユーザー獲得コストが上がっている中で、新しいユーザー獲得方法として使われているケースが多い。既存ファンが着てくれることによって、広告代わりにもなる。Glossierは、2014年に従業員およびインフルエンサーにブランドのロゴ入りのアパレルを配っていたのを、ユーザーがSNSでそれを見かけて欲しがる人が多く現れた。その需要に応えるためにGlossiWEARという限定グッズの販売を開始。ほとんどの商品は販売した数時間以内に売り切れ状態に。近年ローンチするD2Cブランドは最初からグッズ販売をしているケースが多いのはこういう意図があるのかもしれない。

How Supreme-Style Merch Drops Took Over Corporate America

新興ビジネスウェアブランドがコロナ禍にどう生き残ったのか

Ministry of Supply」はMIT出身のエンジニアたちが創業したビジネスウェアブランド。特殊素材や技術的優位性がある記事やアパレルを作り、2018年から40%成長して2019年には年間で$14Mの売上を達成。2020年はさらにアクセルを踏み、当時は6店舗を運営していた。そんな中、新型コロナウィルスが流行。夏には、売上が止まり、方向性を考え直さなければいけなくなった。5店舗閉鎖させ、46人いた従業員も今では16人しか残っていない。彼らは、8月にビジネスを完全にピボットさせ、「リモートやハイブリッドな仕事環境の時代」に合わせるようにしないといけない判断が行われた。ただ、これまでのスタイルで色々準備していたため、通常半年前から商品の仕入れを行っており、既存そしてこれから入ってくる商品を作り直す必要があった。ブレザーを使う生地でスウェットパンツを作ったり、仕入れ中の商品にゴムをつけて履きやすくした。今まで4〜6ヶ月かかっていた商品開発が30〜45日間で行われた。そして、サイトに載っていた200商品の写真を全て撮り直し、商品説明に「オフィス」という文脈をすべて削った。写真のルックスや名前もよりカジュアルに見えるように変更。その影響で赤字だったが2020年は$12Mの売上で生き残った。これから資金調達に動くMinistry of Supplyはどう見られるかは明らかではないが、コロナという会社がどん底に落ちそうになった時に素早くピボットして底力を見せつけた力を持った企業であるのは間違いない。

Ministry of Supply Sold Office Apparel. It Has Had to Rethink Things.


🎙Episode 03: デジタルファッションの未来👗

今回のポッドキャストは、デジタルファッションがどう進化していくか、注目のブランドや企業の動向を話しました✨🥣 (Apple Podcastの方はこちら


✏️ View

アバターエコノミーにブランドはどう参入する?

「次のココ・シャネルは、今Robloxでスキンをデザインしている10歳の女の子です」とAR/VRのビジネスストラテジストでありForbesコントリビューターである、キャシー・ハックル氏は解説する。デジタルファッションとは、簡単に言うとデジタル空間上でのファッションで、現実世界に加えてAR/VR/メタバース上で自分の個性を表現することや、そのためのファッションアイテムのことを指す。その経済を支えるのが「デジサピエンス(デジタル + ホモ・サピエンス)」などと呼ばれているZ世代と若いミレニアルズ。彼らは、現実とファンタジー(ゲーム)の境界が曖昧な世界で育ってきたテクノロジーのアーリーアダプターだ。Z世代は消費とは、「所有すること」ではなく「アクセス権」と捉え、個々人のアイデンティティの表れと考えているのが特徴で、ファッション業界の負の側面(環境負荷、児童労働等)を避けられるデジタルファッションに対してポジティブに受け入れられている。

Editor’s Note

デジタルアイテムは、そのプロダクトやゲームが終了したら消えてしまうからお金払うのは馬鹿らしいと感じる人もいるかもしれません。しかし、Robloxやマインクラフトはすでに10年以上人気のプラットフォームであり、今後は各プラットフォームでアイテムやスキンを横断で使えるメタバース的な可能性を秘めています。作り手であるブランド側にもメリットがあり、デジタルデータのため(場合によってはNFT化も必要)素材の調達や生産・撮影・保管・配送などが不要になります。記事内でも、以下のような展開が挙げられています。

1. デジタルアイテムやリアルアイテムが買えるブランド独自のゲームの展開
2. Robloxのようなオープンプラットフォーム上でゲームクリエイター等との協同
3. デジタルインフルエンサーと契約(例:IKEA x バーチャルヒューマン「imma」)

まだまだ市場として黎明期です。そもそも自分で楽しめないといいも悪いも判断できないので、まずはVRやメタバース系のゲームにどっぷり浸かってみてはどうでしょうか。——沼田

How Brands Can Thrive In The Direct To Avatar Economy


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