#85 DrakeやLil Wayneも熱狂する、珍しいソーダのセレクトショップ「Exotic Pop」
なぜアメリカではソーシャルコマースが盛り上がらないのか?、D2C関連の注目のニュースと最新動向
🥣 Briefing
DrakeやLil Wayneも熱狂する、珍しいソーダのセレクトショップ「Exotic Pop」
「Exotic Pop(エキゾチックポップ)」は、創業者Charleston Wilsonが旅行先で購入した限定フレーバーの炭酸飲料を、愛車の荷台に乗せて販売し始めたことに端を発する、清涼飲料水とスナックの販売会社だ。世界各国から調達した希少性の高いユニークな商品を取り揃えており、2019年にはPepsi社とライセンス及び販売契約を締結、2021年には600万ドル(およそ8億7千万円)の利益を計上、ヒップホップアイコンとして知られるラッパーDrakeやLil Wayneを顧客に持つなど、その勢いは留まるところを知らない。
同社が別名「飲料界のブティック」と呼ばれるまでに至ったきっかけの1つが、オリジナルデザインの自動販売機だ。同社が拠点を置くヒューストンの伝説的DJである故DJ ScrewをモチーフにしたデザインがSNS上で話題になり、2019年には同じくヒューストン出身のラッパーTravis Scottとのコラボデザインを公開、瞬く間にインフルエンサー、著名人の注目を集めた。Wilson氏や商品開発担当Kehlin Farooq氏が語るところによると、初期は高額なドリンクのニーズは低かったようだ。(日本限定ピーチ味のファンタは1本50ドルで販売されている。)しかし、トレンドを牽引するインフルエンサーやミュージシャンの人気を勝ち得たことで、飲料に音楽や芸術といった文化的価値が付与され、ある種、ステータスシンボルとして消費されるようになった。Exotic Popは今後も、ロイヤルカスタマーでもあるLil Wayneはじめ、Snoop Dogg、Rob Kardashianなど人気アーティストらとのコラボレーションを予定している。
Exotic Pop, a Rare-Snack Houston Distribution Company, Is Raking in Millions
なぜアメリカではソーシャルコマースが盛り上がらないのか?
Forerunner Venturesの創業者であるKirsten Greenが、ソーシャルコマースの苦戦と今後の展望についてニュースレター「The CQ」で語っている。
中国のソーシャルコマース市場は3630億ドルともいわれる一方、アメリカでは500億ドル規模と試算されている。またMetaは Facebookのライブコマースプラットフォームの閉鎖と、 Instagramのアフィリエイトプログラムの終了を発表した。 TikTokもライブコマース事業が振るわず、ソーシャルコマース化に向けた施策は一歩後退している。なぜアメリカでは中国のようにソーシャルコマースが盛り上がらないのか?その理由を、Kirsten Greenは円滑ではないユーザー体験にあると指摘する。商品を選択し、買い物かごに入れていく過程がシームレスではないことや返品・返金対応が難しいことから、消費者は欲しい商品を見つけるためにSNSを利用するが、2/3はWebサイトで購入することを好むという調査もあるという。しかも、SNS上で購入した顧客のうち66%が、返品のしづらさ・わかりづらさのために次はSNSでは買い物をしないと答えている。
Kirsten Greenは、そもそも購買には衝動買い(impulse purchases)とじっくり吟味する目的買い(intentional shopping)の2種類があると説明する。ソーシャルコマースは、SNSで見つけたものをすぐ購入する「衝動買い」との相性がいいため、アメリカでもSNSを介した衝動買いは一定数発生している。一方で、目的買いもWeChat上ですべて完結している中国に比べると、アメリカ人は目的買いをSNS上で完結することに慣れておらず、公式サイトやレビューサイトを行き来する購買行動がまだまだ一般的であると指摘している。これまでソーシャルコマースはSNSで見つけたものをすぐに購入する衝動買いに焦点が当てられてきたが、ライブコマースやキュレーションアプリはユーザーがはじめから買い物をする前提なので目的買いの増加が期待でき、ソーシャルコマースに新しい可能性が開かれるかもしれない。
👥 Editor’s View
『DrakeやLil Wayneも熱狂する、珍しいソーダのセレクトショップ「Exotic Pop」』を読んで
Exotic Popの話で面白いと思ったのはこういう現象が起きていることではなく、ソーダがステータスになったこと。わざわざラッパーが自分しか特定のドリンクの在庫を持ってないと見せるために買い占めたり、アシスタントを送るのではなく、自ら店舗に行って買いに行くという行動が重要だと思っている。ブランドを作る際にはカテゴリーやプロダクトを見る人が多いが、そこではなく、いかにステータスを作れるかが大事。最初は基調性からのステータスから始まり、それが徐々にカルチャーステータスへと進化して、最終的に自社ブランドとして成立して自社プロダクトを販売出来るのは非常に面白い。ーTetsuro(@tmiyatake1)
『なぜアメリカではソーシャルコマースが盛り上がらないのか?』を読んで
この5年ほどずっと語られているテーマですが、ユーザーにとって快適な購買体験を提供できていない、という記事の指摘にすべてが詰まっているように思います。コマース機能は「Buy」ボタンを付ければ完了というわけではなく、いかに商品の魅力に納得してもらえる見せ方をして、返品や返金対応を便利にして購入の後押しをするか、という点が必要不可欠。一方で、InstagramやTikTokで「見つけた」ことをきっかけに、公式ページに飛んで比較したりして購入にいたる、という広義の意味での「ソーシャルコマース」はすでに大きな市場となっているはずなので、この10年でSNSがコマースに与えた影響、みたいな調査があったら知りたい。ーAsami(@qzqrnl)
当時Facebookが約2年前に立ち上げたライブ ショッピング機能も今月で終了。対話やインタラクションのある購入体験という解釈をするのならば、TikTokの動画でのコメント返し機能が今のソーシャルコマースのひとつの答えなのかもしれないなと思いました。特にTikTokは検索性にも優れているので、なにかほしいアイテムをTikTok上で検索し、気になる部分や質問にすでにブランドが回答した動画を作っていたら、レビュー動画もあったらなおさらすぐに買いたくなっちゃいますね。。。─Miki(@mikikusano)
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D2C関連の注目のニュースと最新動向
今週は、CEREAL TALKで毎週お届けしている海外トレンドの中から、D2Cの戦略やD2Cを取り巻く潮流についてまとめてご紹介。
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