🥣 Briefing
カスタムアパレルが再注目され始めた背景と運営のハードル
ファッション業界がもたらす環境負荷の大きな原因として挙げられる、過剰な在庫量と、それを実現するための大量生産。これらの解決策として、顧客のサイズに合わせた、オーダーメイド型の生産販売スタイルを取る、いわゆるカスタムアパレル企業への期待度が上がっている。一方、スケールが思うようにいかず会社を畳んだ同業態の企業が歴史上数多いたことも事実だ。
なぜ今またカスタムアパレルに挑戦する企業が増えているのか?そして過去の事例から学ぶべきカスタムアパレル運営の難しさとは?『ModernRetail』がカスタムアパレルが注目される背景とその難しさを4つの視点からまとめている。まず、最近また注目されはじめた背景としては、サスティナビリティや環境負荷への関心の高まりから、「無駄なモノをつくらずにすむ」点が挙げられる。アプリでサイズを計測し、顧客にあったデニムを製造するUnspun(アンスパン)は、一般的なデニム企業に比べて返品率が1/5から1/6になっているとう。また、顧客にあったサイズの商品を製造することで、サイズの多様性にも対応できるメリットがある。サイズの幅だけではなく、ウエストはちょうどいいけれど丈が合わないといったミスマッチも解消できる。一方で、これまでカスタムアパレルが普及しなかった背景には、既製品と比べて価格が高くなってしまうという課題がある。たとえばUnspunのカスタムデニムの価格は200ドル以上だ。
さらに、もっとも大きな課題は顧客の消費行動にある。顧客のほとんどは既製品の購入に慣れており、カスタムオーダーは依然としてハードルが高い。Unspunの創業者も、すべてのアイテムがカスタムアパレルに向いているわけではないと認めている。2019年にクローズした靴のカスタムブランド「Shoes of Prey」の創業者も、「消費者は好みのアイテムを創り出すよりも、芸能人やインスタグラマーが身につけているものを欲しがる」と自身のブログで語っている。こうしたハードルの高さはあるものの、前述のUnspunをはじめ、Laws of MotionやRedThreadなど新たなテクノロジーを駆使してカスタムアパレルに挑戦する企業も新たに生まれ始めており、次世代型のものづくりとして注目が集まっていきそうだ。
ブランドが運営するPodcastが増えている
アメリカでは月に1億2500万人がPodcastを聞いており、一日あたりにPodcastに費やす時間は平均53分という調査もあり、Podcast市場はますます盛り上がりを見せている。
そんななか、SephoraやWalmart、Hugo Bossといった小売店やブランドがPodcastを運営する事例が増えていると『Retail TouchPoints』は伝えている。記事では、ブランドのPodcastの成功例を見ると、商品の販売をゴールにするのではなく、ストーリーテリングによる親密さや信頼の醸成が重要であると指摘されている。たとえばマットレスブランドであるMattress Firmは、 「Are You Sleeping」と題した、睡眠にまつわるユニークなエピソードを全10回にわけて配信している。また食料雑貨チェーンのTrader JoeはオリジナルPodcast「Inside Trader Joe’s」のなかで、社員の紹介や店舗の裏側に迫る配信を行っている。日本でもPodcast人気が高まる中、今後はブランドがファン醸成の一環としてPodcastをはじめる事例が増えていくかもしれない。
The Rise of the Branded Podcast: How and Why Retailers are Creating Their Own Shows
👥 Editor’s View
『カスタムアパレルが再注目され始めた背景と運営のハードル』を読んで
カスタムアパレルの流行りが変わる中、今回のトレンドサイクルではサステイナビリティ推しなのは興味深い。実際に製造の部分までオーナーシップを持つことが廃棄物の削減につながると思うので、それを実装しているunspunなどは個人的に注目している。ポッドキャストでも話しているが、本当にサステイナブルな社会を作るためには消費量を削減する方向性をとるのではなく、消費量を上げても環境に良いようにすることだと思う。それを実現するためには服のカスタマイズだけではなく、根本的に服を作るプロセスや作るものをゼロから考え直さないといけない。何百年と製造プロセスが変わっておらず、改善・効率化されているだけなので、もっとこのプロセスのイノベーションを実現する会社を見たい。── Tetsuro(@tmiyatake1)
カスタムアパレルは定期的に盛り上がりの波がきますが、元記事にもあるとおり消費者の購買習慣を変えるのはそう簡単なことではないと私も痛感しています。最近はECで先行予約や受注生産を取り入れるブランドも増えてきましたが、自分の購買行動を振り返ってみても、やっぱり欲しいものは「今欲しい」んですよね。特にトレンドアイテムや、寒くなってきたからそろそろ秋冬ものを、と思って探したアイテムが受注生産で届くのが来月、となると購入に躊躇してしまうこともしばしば。 一方で、受注から届くまでの期間が2、3日程度であれば通常のオンラインショッピングと同じ感覚で買い物できるのでは?という気も。通常の買い物と遜色ないレベルでスピーディーに生産できるような製造のイノベーションが起きれば、カスタムアパレルも一気に広がるのではと思います。無駄なモノが生まれずにすむだけでなく、品切れによる売り逃しもなくなり、企業の導入メリットが一気に高まるので。 サステナブルといった視点は重要ではあるものの、一般化・大衆化の視点から見ると、いかに消費者/企業にとって合理的なメリットをつくれるかが重要になっていくように思います。──Asami(@qzqrnl)
『ブランドが運営するPodcastが増えている』を読んで
ポッドキャストでも話をした、Trader Joe'sのポッドキャストの構成はとてもユニークで、他にも意外にもあまり見たことがなかったのは、新商品の紹介もASMR風試食するコーナーがあったり、商品の見せ方が面白いです。また、「American Girl」という人形のおもちゃを販売している会社は、子供向けの相談系・ミステリー系など複数番組を制作。商品の情報ではなく世界観が伝わるコンテンツは面白いですよね。──Miki(@mikikusano)
🎙 Podcast
📓 note
米国D2Cの必須マーケティングツール「Klaviyo」
今回ご紹介するのはマーケティングオートメーションプラットフォーム「Klaviyo(クレビヨ)」。なぜ米国D2Cで必須ツールとなったのか?その理由を解説。
📰 News
ThredUp、Rent the Runway、Stitch Fix、Farfetchなど上場したEC企業の時価総額がかなり下がっているため、買収される可能性が出てきている
アメリカの10代の好きなブランドやトレンド調査 (日本語解説はこちら)
Nike、Gap、Target、Dellなどアメリカのリテーラーは過去最高レベルの$732Bの在庫を抱えているため、多くのリテーラーは商品ディスカウントを早めに開始
Amazonがハワイアン航空が抱える飛行機エアバスを10機配送のために使うと発表、提携の条件でハワイアン航空のワラントをもらう