#92 米国リテール業界ではバズワード、”ゼロパーティデータ”ってなに?
今週のニュースレターは特別編。今米国リテール業界で注目を集める「ゼロパーティデータ」について、アメリカと日本の状況を比較しながら解説しました。
📓 note
「ゼロパーティデータ」とは?
ゼロパーティデータとは、顧客が自らの意思で企業と共有するデータを指す。アンケートへの回答や、ブランドの情報を得るために自らメールアドレスや電話番号を入力するといったケースがゼロパーティデータに該当する。
ここで重要なのは、顧客が「自らの意思で」企業にデータを提供している点だ。
ゼロパーティデータが注目される背景には、AppleやGoogleといったプラットフォームがトラッキングの規制を強めているという点がある。特に2021年4月のiOS14.5へのアップデートでは「ITP(Intelligent Tracking Prevention)」と呼ばれるトラッキング防止機能が強化され、サードパーティデータを使用した広告の精度が落ち、多くのブランドが顧客獲得単価の急激な上昇に直面している。
D2CブランドはFacebookやInstagramといったSNS広告の活用が成長のセオリーとされてきたが、サードパーティデータを使用した広告の精度が落ち始めたことで、自らデータを取得し、活用しようとする動きが増えている。
自社サイト上での行動データであるファーストパーティデータに加え、顧客の嗜好や属性、購入動機といった定性的な情報を取得し、マーケティングに活用しようとする動きが、ゼロパーティデータへの注目度を高めている。
続きはCEREAL TALKのnoteから👇
✨ Podcast Interview
「ゼロパーティデータ」を取り巻くアメリカと日本の違い
アメリカではすでに活用施策も進んでいる「ゼロパーティデータ」。日本での活用の現状は?そして、今後ゼロパーティデータを取り巻く状況はどう変わっていく?
今週のPodcastでは、特別編としてD2Cブランドをはじめとするグロース施策に詳しいStoreHero代表の黒瀬 淳一さんを迎え、ゼロパーティデータがなぜ注目されているのか、活用についてディスカッションしました。
🏝 Guest Profile
黒瀬 淳一 / Co-founder & 代表取締役CEO
筑波大学卒業、神戸大学大学院修了後、(株)アクシイズに参画。取締役としてSaaSの開発/販売に従事し、同社を売却。その後、(株)インターネットインフィニティ、(株)チームスピリットに参画し、事業開発、営業/マーケティングを担当し、その後、同社はそれそれ上場Ginzamarkets(株)のカントリーマネージャーを経て2019年、(株)StoreHeroを創業。
✏ Editor’s View
今回は「ゼロパーティデータ」に関するそれぞれの見解をお届け。Podcastに出演してくださった黒瀬さんにも改めてコメントをいただきました。
日本でも、新規顧客の獲得が難しくなる中、ゼロパーティデータの収集・活用は今後ますます重要になります。実際に、自分のの支援先でも、部門横断的にデータを収集・活用できているブランドさんは業績好調です。
あと、ゼロパーティデータというと、オンライン上の話だと思われがちですが、実店舗でもオンラインで取得しづらい深いデータが取得できる点も重要かなと思います。オンライン・オフラインまたいで、様々な顧客接客を通じたデータ収集・活用が今後進んでいきそうです。──Junichi Kurose, StoreHero CEO(@jkurose777)
このようなゼロパーティデータの収集が、ツールの連携を通して手軽にノンコードで実現できるのはShopifyを使うメリットの一つですが、その分、データを使ってどのようなパーソナルな体験を作っていくか、しっかり考えていきたいところです。
顧客目線を大切にしつつも、自社サイト上やメール、LINE、店舗、購入後体験など、各チャネルで実際にデータをどのように活用できるかをチームで理解しておくと、少ない工数で色々な体験作りを試すことができ、宝(データ)の持ち腐れも減るのではないでしょうか。── Yujiro(@numauer)
CEREAL TALKのnoteで紹介しているShopifyアプリシリーズを書く際にしょっちゅうでてくる「ゼロパーティデータ」のワード。海外メディアで見かける機会も増え、バズワード化しはじめているのを感じます。日本でもFacebook広告の精度が落ちはじめているという話はあちこちで聞くので、そのうちバズワード化しそう。その際にただ「流行っている言葉」としてではなく、その背景にある社会状況や各社の動きをきちんと把握しておくことが重要なのでは、ということで今回特別編として、note・Podcast・ニュースレターでじっくりゼロパーティデータについて掘り下げてみました。
Podcastでも話題にでましたが、調べれば調べるほどゼロパーティデータとファーストデータの境目は曖昧で、要は「サードパーティ頼りではなく、自分たちで顧客のことを理解しよう」という流れなのだろうなと個人的には理解しました。Podcastで黒瀬さんがおっしゃっていた、SNSのフォロワーを数ではなく質で見るという話もその流れのなかにある考え方ですよね。「定量と定性のバランス」は遥か昔から語られてきたテーマではありますが、サードパーティを介して「数字」として捉えられがちだった顧客について、自分たちでデータを持ち理解しようとする動きが生まれたことで、ものづくりや届け方の意識も変わっていきそうな気がしています。──Asami(@qzqrnl)
アメリカのD2Cソフトウェア業界ではゼロパーティデータという言葉は大体どの会社のピッチ資料に載っているぐらい主流な言葉になっています。ただ、この記事で書いている方法以外のやり方で顧客からのデータ収集方法がそこまでないので、今後どういうユースケースが生まれてくるかが気になります。結果としてゼロパーティデータが最も重要なデータになるのか、複数のマーケットプレイスに出すのが普通になり、そこのサードパーティデータに頼るのかがまだ明確ではない。── Tetsuro(@tmiyatake1)
診断テストとの相性のいいプロダクト(コスメやスキンケアなど)、と反対にそれほどではないプロダクトがあるというのはたしかに…と頷いてしまいました。コミュニティのようにユーザーが意識的にプロダクトの向上のためにフィードバックを提供するというひとつのやり方ですね。後、終盤にあったメディアの話でいうと、メディアの買収のほかに、ブランドの世界観やキュレーションを軸にした面白いニュースレター(例:RUBY)などもユーザーにメリットのある方法なのかなと思いました。──Miki(@mikikusano)