🥣 Briefing
ラグジュアリーブランドの後継者は誰?
22年12月、ラグジュアリーブランドのトップ交代が大きな話題となった。ひとつは、プラダグループを牽引してきたミウッチャ・プラダ氏とパトリツィオ・ベルテッリ氏の共同CEO退任だ。彼らの後任として、イタリアの大手アイウェアメーカーLuxottica前会長のアンドレア・グエラ氏とChristian Dior Americasの元CEOジャンフランコ・ダッティ氏の選任が発表されている。この継承は、ミウッチャ・プラダ氏とパトリツィオ・ベルテッリ氏の子息で2017年に入社したロレンツォ・ベルテッリへの将来的な継承のための一つのステップとして位置づけられている。
同時期にLVMHのベルナールアルノー会長も、長期的な家族支配の永続を理由に、自身の2番目の子どものアントワーヌ・アルノー氏をChristian Dior SEに任命した。現CEOのベルナール・アルノーはブランドの家族経営体制の形成を進めている。22年の4月の株主総会でLVMHのCEOの年齢制限が75歳から80歳へと引き上げが承認されたほか、LVMHの上にある非公開持株会社を再編し同社の支配権を有するAgacheと呼ばれる合弁会社の株式がアルノー氏の5人の子どもに配分される仕組みを作り上げた。
ラグジュアリーブランドの家族経営体制が垣間見える現状の背景にはビッグブランドを牽引してきた経営者やデザイナーの高齢化という問題がある。RichmontやChanel、Giorgio Armaniも例外ではない。投資家がその課題への明確な対応策を求めるかは各ブランドの業績次第だ。『Bain』によると、22年にラグジュアリー製品の売上は22%増加したが、経済の低迷の影響からラグジュアリー業界の成長率は3~8%に低下すると予測されている。後継者ありきではなく、困難な状況を乗り切るための将来設計が必要なのではないだろうか。
22年食料品業界にみるインフレの影響
2022年の食品業界について『Retail Brew』は、インフレの影響で3つの特徴的な出来事が起きた興味深い年だったと分析する。
1つは、安価な代替製品を販売する自社ブランド需要の高まりだ。『November Morning Consult』のレポートによると、81%の消費者がプライベートブランドを利用している。ウォルマートの自社ブランドが2022年の急成長ブランドリストに選出された他、オーガニックネットスーパーThrive Marketのプライベートブランド売上は1億ドルへと成長した。GoPuffもオリジナルブランドを導入した。Targetの第3四半期決算説明会でブライアン・コーネルCEOはプライベートブランドの年間売上は330億ドルにのぼると発表した。
2つ目に代替食肉業界の停滞だ。『デロイト』の調査によると、植物ベースタンパク質を購入している消費者は22年の50%から47%に減少している。プラントベースの代替肉製造スタートアップBeyond Meatのイーサン・ブラウンCEOは、同社の11月の収益は純収益が22.5%減少、消費者がより安価な動物性の食肉や自社ブランド製品へと購入をシフトしていると述べた。動物性食肉企業のMaple Leaf Foodsは植物性タンパク質部門のGreenleaf Foodsを25%削減する計画を発表し、食肉大手のJBSは10月に植物ベースのPlanterra Foods事業を終了するなど成長が停滞している。
3つ目の特徴はオンライン食料品の成熟だ。パンデミックにより食料品配達企業は活況期を迎えたが、22年は客足が実店舗に戻りつつある。また多くの消費者は食品価格の高騰を実感しており、配達サービスを利用することに躊躇していると『Moquin』は指摘する。買い物代行サービスを展開するInstacartの評価額は、22年3月の240億ドルから約半年で130億ドルへと大きく下がった。加えてオンラインスーパーのJokerはアメリカでの事業を終了。食料品デリバリーサービスを展開していたFridge No MoreとBuykも全事業を終了。日用品配達事業のGorillasはトルコの食料デリバリー企業Getirに買収された。
インフレの影響を消費者は日常レベルで実感し、より消費を減らそうとしていることが数字に大きく現れている。
🎙 Podcast
📓 note
【取材】アメリカ発・ラグジュアリークッキーの創業者が語る、ブランド体験のつくり方
「クッキー界のロレックスをつくる」 そんなコンセプトをもとに生まれたのが、ラグジュアリークッキーブランド「Last Crumb(ラスト・クラム)」。今回、創業者の一人であるDerek Jaegerに、顧客の熱狂をつくりだした背景について、メールインタビューを行ないました。
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