『CEREAL TALK』は、米国の次世代ブランドや小売、ニューラグジュアリーにフォーカスしたメディアです。毎週月曜日の朝にニュースレターをお届けしています🥣 by 沼田 雄二朗(@Numauer), 宮武徹郎(@tmiyatake1) and 草野美木(@mikikusano)
🥣Briefing
United Sodasがあえてローンチ直後に野外広告を出したわけ
ソーダブランド「United Sodas of America」は、ローンチ後3ヶ月以内にマンハッタンとブルックリンに野外広告を出した。新興ブランドが看板など野外広告を活用することはこれまで珍しく、より効果を測定できるデジタル広告を活用するのが普通だった。しかし最近の米国D2Cブランドは、シリーズA調達後から野外広告をスタートするケースが増えている。United Sodas of Americaは、”Instagramだけで見かけるようなブランド”ではないことを証明するため、そしてよりブランドの信用性を高めるため、野外広告を活用したと、CEOのマリサ・ズパンが語る。その信頼性は、United Sodasを飲むユーザーだけではなく、B2B展開のための戦略でもあった。パンデミック下、多くのブランドが野外広告を止めた中、逆にUnited Sodasは数を増やした。売上が伸びる3月〜9月に集中的に広告を出し、場所は人が集まりやすい場所、そしてクリエイティブはシンプルにした。「ブランドはプロダクトの周りのパッケージングだけではない。ブランドはプラットフォームであり、プロダクトはブランドの一つの表現方法にしか過ぎない。最終的に我々がやっていることは人々とアイデアのコミュニケーションやプロダクトを作る組織・会社を作っている。」 - United Sodas CEO マリサ・ズパン
正しい方向に成長させるために、ブランドの”監査”の方法
ブランド企業は、正しい方向性に向かっているかを常に悩んでいる。テスラ、Nike、アップルなども成長をしながら常に進化しながらブランドのコアの部分にフォーカスできている。逆に多くのブランドは成長を求めて元々成功させたビジョンや思いから遠ざかって長期的に人気がなくなるケースも多々ある。これを避けるためには三つのことを気にしなければいけないと、コンシューマートレンドのニュースレター「Business of Sociology」を運営するアナ・アンジェリッチは語る。
顧客が何を評価していて、それがどう変わっているのか
他社には提供しないもので、ブランドの優位性とは何か
ブランドが作る商品の何を最も評価しているのか
彼女は、「ビジネス」「ブランド」「カテゴリ」「顧客」「文化」の5つのカテゴリーを軸にブランド監査を簡単に行える方法を考案した。今回一部監査質問を紹介したいと思う。ビジネスについては、次の2年間の重要なビジネス的目標は?、今一番課題になっているのは何か?どういう成功を定義づけるのか?。文化については、社内文化の強みと弱みは何か?現代のテイストメイカーは誰か?など客観的にブランドの監査ができる質問がまとまっている。
製造メーカーがD2Cインキュベーターを立ち上げ始めている
ランジェリーや下着を製造する「Gelmart」がブランドインキュベーター「FullStride Ventures」をスタートさせた。元々OEMで様々なブランドに対して下着を作っていたが、自社ブランドを作ることを決めた。Gelmartは2016年に下着ブランドのLivelyをローンチした時にこのインキュベーションコンセプトを検証していて、2019年にワコールに$105MでLivelyを売却してから本格的にブランドインキュベーターの取り組みを加速し始めた。FullStride Venturesでは、ランジェリーや類似カテゴリーの自社ブランドコンセプト制作、またはスタートアップ投資を行う予定。投資するスタートアップに対して、インフラ、オペレーションサポート、サプライチェーンマネージメント、デザインとプロダクト開発のノウハウを提供する。そして、すでに自社ブランドのひとつである「WKND Nation」という休日でも仕事の日でも着やすいアパレルブランドをローンチ予定。WKND NationのCEOは、元アメリカンイーグルとL Brandsのフオン・アイルランドを採用。毎年1〜3社のブランドをインキュベーションすると目標を掲げている。今後もサプライチェーンのインフラを持っている会社が自社ブランドを作る流れが来てもおかしくない。
毎週木曜21時頃@ClubhouseでD2CやリテールについてCereal Talkメンバーとゲストを囲んでトークをしています。今週は、2月11日(木)に開催予定です、ぜひ遊びに来てください!
✏️View
Z世代のビンテージ需要、ブランドの二次流通サービスの増加
大型百貨店チェーンのノードストロームがアパレルの二次流通サービス「Goodfair」と提携して、毎月ビンテージの服をドロップ式で販売するプロジェクトをローンチ。最初のコレクションは50種類ほどの服があったが、即完売。Z世代では2000年台以前のビンテージ服を二次流通サイトで購入するのが人気で、この取り組みは高く評価されている。ノードストロームからすると、ユーザーのフィードバックやサイト内検索データでより環境問題に対して強い意志を持って欲しいことがわかり、このような取り組みを行なった。ちなみにメイシーズやJCペニーも同じような取り組みを行っている。
Editor’s Note
最近大手ブランド以外も、ブランドが二次流通市場に入り込んでいる。IKEAが二次流通専用店舗をオープンしたり、Levi'sは古いジーンズの買取サービス、RealRealでGucciがオンラインの二次流通チャネルを発表。この二次流通の流れは大きく2つのZ世代のトレンドにアピールだ。1つは環境問題に対しての解決策。環境問題に対して強い意志やアクション(そこに対して意思のあるブランドの服を買う)ことがZ世代の社会的地位に繋がること。もう1つは「one of a kind(一品物)」の需要が高まっていること。より自己表現が求められるSNSだとAllbirdsやAwayの商品だと物足りない。ビンテージ物やひとつしかないモノから自分のユニークさが表現できるため、二次流通サービスが流行っている。1年半前だと1996年のビンテージのパタゴニアのフリースが$165で購入できたのが、今では$300以上の価値がある。今後はブランドはドロップなどを通して一品物の商品を出して若手層の需要を高め、二次流通市場でブランド価値を高める戦略を取るのがスタンダードになるだろう。———宮武
Behind Nordstrom’s New Online Vintage Shop With Goodfair – WWD
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