🥣 Briefing
スターバックスの新しいCEOは現場ファースト
スターバックスの新CEOに就任したラクスマン・ナラシムハン氏は「一杯のコーヒーよりも人とのつながりを優先する」方針で、月の半分は店のカウンターで接客することを表明した。
ナラシムハン氏は、元ペプシコ幹部で、今回スターバックスのCEOに就任するまでの半年間、バリスタとしてのトレーニングも含め店頭に立ち続け、スターバックスブランドに没頭していたという。先日、2023年株主総会時に株主向けに公開した資料の中で、彼は今後のスターバックスの目指す方向について、「コーヒー一杯一杯よりも人間同士のつながり」を優先することで、「スターバックスの再創造」の機会があると述べた。
同社の改革プランには、「長期的な雇用と維持、パートナーの賃金と店舗運営への投資の継続など、店舗、顧客、そしてもちろんパートナーの体験の向上に重点を置いている」という。ナラシムハン氏は、世界のリアルな文化や顧客そのものを知るため、また課題や機会を身近に感じるために、CEO就任後も月に半分程は店舗で働き続けるつもりだという。また店舗と店舗をサポートするオフィスチームが真につながり、議論や改善に取り組むようにすることも期待しているという。
ブランド文化の改革にも積極的だ。ブランド自身の歴史を評価し、スターバックスを偉大にしたものを尊重しなければならない一方で、今日のニーズに合わせてブランド、ビジネス、文化を進化させ、近代化しなければならないと考えている。つまり無駄を省く必要がありそのためのデジタルの活用は必須と考えている。長期的かつ持続可能なブランドの成長のために、コーヒーと店舗を通じてスターバックスブランドをさらに高める方法を模索しており、お客様のためのデジタル体験を強化し、さらにスケールアップする予定だという。
デジタルを通じてリアル店舗での顧客とブランドの密な関係構築を目指すスターバックスの今後の取組に注目だ。
New Starbucks CEO Will Do a Shift at a Coffee Shop Every Month
ブランドはアプリ化するべきなのか?
一部の企業を対象にした分析によると、2022年の月間利用者数が最も多いアプリはファストファッションやアクティブウェアブランドのものだった。 ウェブサイトよりも優れた体験と機能を提供するショッピングアプリの場合、アプリがもたらすブランドの成長機会は相当なものになる可能性がある。実際アプリを利用する顧客は、アプリを使用しない顧客と比較して購入頻度も購入数も多く結果的に消費額も高い傾向があるという調査も報告されている。
しかし、ユーザーが利用しやすく愛されるアプリを作ることは簡単ではない。実際パタゴニアは2016年にアプリを停止ている他、Farfetch、Nike、Levi'sなど、利用者が少ないアプリを持つブランドは数え切れない。現実的に考えると、ブランドが高い費用や開発労力を払って自社ブランドアプリを作っても、それに見合うほどの恩恵を受けられる可能性は高くはないのだ。
そこで今回はThe Business of Fashionの「ブランドが自社アプリを作成するポイント」を紹介したい。まず1つ目のポイントは、ゲームやソーシャルアプリと同じ中毒性のあるトリックを使用したアプリ利用者限定のコンテンツを常にアップすることだ。ルルレモンは、アプリにログインした会員に無料のフィットネス情報を提供したり、ファストファッションブランドが定期的に新商品やルックブックを発表している。Data.aiのインサイト部門責任者であるLexi Sydow氏によるとAndroidユーザーだけで1年間に約3500万時間をこのアプリで過ごしていたという。またカートに入れるのではなく、商品に "ハート "をつける仕様にすることで、ゲーム化された限定割引があり、プッシュ通知やSMSテキストメッセージに登録促進する工夫を施すとよいという結果も出ている。
2つ目に、企業規模や強力なファンコミュニティの大きさだ。これはアプリ利用の普及率に特に影響する。Golden Goose、G-Star Raw、Scotch & Sodaなどのブランドのアプリを制作しているコマースサービスのプラットフォームNewStoreの消費者向けアプリ担当副社長によると、強力なファンを持つブランドまたは、リピート購入者のシェアが大きいブランドは、顧客がブランドアプリを熱望する可能性が非常に高いためだ。
3つ目のポイントはウェブサイト以上の追加機能をアプリに備えることだ。Nikeアプリのユーザーは、店頭で商品をスキャンして詳細情報を得たり 、ウィッシュリストに保存ができる。またH&Mのアプリは、店頭で色やサ イズを確認したり、写真を撮ったり、携帯電話から写真を取り込んだりして、似たようなH&M の商品を探すことができるビジュアル検索機能を備えている。
以上のような機能を備えたアプリを開発しても、その後の保守・運用にも労力がかかることも忘れてはならない。常にバグを修正しアップデートを繰り返す必要がある。ブランドのアプリ開発はコストがかかる面でまだまだ可能性のある分野で、今後の動きが楽しみだ。