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Shopifyが独自のペイメントシステム「Shop Pay」をShopifyマーチャント以外の企業にも利用拡大
先月、Shopifyは独自のペイメントシステム「Shop Pay」を、Shopifyを利用していない企業も利用できるよう拡大すると発表した。Shop Payは支払い情報を保存できるデジタルウォレットで、Shopifyを使って構築されているEC同士であればブランドごとにログインする必要がなく、クレジットカードや商品送付先といった情報が共有される仕組みで、すでに世界中で1億人以上の買い物客が利用している。マーチャントにとってもShop Payの導入によってコンバージョン率が高まるという利点があり、Shopifyが発表した調査によればShop Payは競合他社よりも平均して15%、最大で36%もコンバージョン率が高いという。
そのため、「Shop Payだけ使いたい」という要望が大企業のEC担当者から寄せられてきたとShopifyのCOOであるKaz Nejatianは語っている。2023年1月にリリースしたShopifyの一部の機能だけを使える「Commerce Components」もすでにテッド・ベイカーやティム・ホートンズ、Zulilyなどの大手小売業者が利用を開始しており、Shopifyに乗り換えることなくShopifyの機能を使いたいというニーズの高さが伺える。
Shopifyとしても、会社全体の売上構成を見てみるとすでにShop Payの手数料がShopifyのプラットフォーム利用料を上回っており、Shop PayがShopifyマーチャント以外でも利用できるようになることで、その収益はさらに拡大していきそうだ。さらにShop Payの導入をきっかけに、大手ECサイトがShopifyへ乗り換えるきっかけにしたいという思惑も見てとれる。既存のECサイトがプラットフォームを乗り換えるのはコストが高いため躊躇されがちだが、既存のサイトにShopifyの一部機能を追加するかたちでShopifyの機能に触れてもらうことで、のちのち全体をShopifyに乗り換えるケースも増えていくだろう。
また、Shopifyはグローバルな決済プラットフォーム「Adyen」との提携によって、Apple PayやGoogle Pay、iDEALといった決済手段にも対応できるようになる予定だ。ECのプラットフォームとしてだけでなく、決済プラットフォームとしてのShopifyとShop Payの今後の動きにも注目が集まっていきそうだ。
Shopify is making Shop Pay available to enterprise retailers
壊れたブランドを再生させるには?
J.CrewやAbercrombie & Fitch、Banana Republicといったブランドは、どのようにブランドを再生してきたのだろうか?
2021年にBanana RepublicのChief Brand Officerとして再生に携わったAna Andjelicは、「チーム全員が、他の人が何をしているかを知ることが一番重要」だと語る。在職期間1年ほどの短い間に、AndjelicはBanana Republicのデザインやマーケティング、プランニング、マーチャンダイジングといった役職を整理し、特にマーチャンダイザーの特権的な地位を剥奪することですべてのチームが同じ会議につき、同じ方向を見ることができるように改革した。
2017年にブランド再生に着手したAbercrombie & FitchもCEOのFran Horowitzのもとで組織改革を行った。以前はプランニングやデザイン、マーチャンダイジングのチームがそれぞれ別のビルに存在していたのをなじフロアに集約することで、意思疎通がスムーズになることを目指した。
こうした組織のサイロ化の打破(=breaking down silos)は、ブランド再生における定石となっている。
加えて、ブランドへの原点回帰も重要だ。AndjelicはBanana Republicのルーツであるサファリルックを現代のスタイルに昇華させた。現在CBOとしてブランド再生に関わっているEspritでも、ブランドがもっとも支持されていた頃のルックをもとにスタイルを作っている。
しかし彼女は、原点回帰は一回しかできない手法であるとも語っている。「原点回帰したあとは、次のステップに進まなければなりません。ブランドは生き物であり、常に変わっていくものだからです」。
とはいえ、記事のなかではブランド再生に成功したブランドよりも、Donna KoranやSonia Rykielのように再生がうまくいかなかったブランドの方が圧倒的に多いとも指摘されているように、ブランド再生に明確な成功法則はない。それぞれのブランドのルーツに立ちかえり、意思疎通がしやすい組織に作り替えながら、地道にブランドを再構築していくしかないのかもしれない。
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