#29 中国の消費者を刺激するラグジュアリーブランドのデジタル体験
D2C企業の体験談: 大手リテーラーで販売するタイミング、ビューティー業界でも変革を起こすのも、Z世代だ、キュレーションの進化
『CEREAL TALK』は、米国の次世代ブランドや小売、ニューラグジュアリーにフォーカスしたメディアです。毎週月曜日の朝にニュースレターをお届けしています🥣 by 沼田 雄二朗(@Numauer), 宮武 徹郎(@tmiyatake1) and 草野 美木(@mikikusano)
🥣 Briefing
中国の消費者を刺激するラグジュアリーブランドのデジタル体験
EC業界では中国がデジタルマーケティングやコマース体験の最先端にいることが多い。ライブコマースからゲーム的な体験をスマホファーストな体験が世界から注目されていると『BoF』が伝えている。そんな中国がデジタルアバターやゲームのスキンを活用してユーザー獲得しているトレンドになっている。AlibabaのECマーケットプレイスTaobaoでは5月に新機能としてデジタルアバターを作れるようになった。そこでAlibabaはバレンシアガ、アレキサンダー・マックイーン、マルニなどと提携してバーチャルファッション洋服を作り、ユーザーが自分のアバターを着こなせるゲーム「Taobao Life」を提供。そのアバターをSNS上にあげたりして自己表現を出来るのと、バーチャル服を購入すると同じものをリアルで購入できるのと、Taobao Lifeプレイヤーは特別ディスカウントをもらえる取り組みとなった。似たようなプロジェクトを11月にも行うか検討しているとのこと。さらにブランドはeスポーツやオンラインゲームの人気を見て、ゲーム内の服やスキンを作り始めている。ルイ・ヴィトンは人気ゲームLeague of Legendsと2019年に特別コラボアイテムを出して、MACはHonor of Kingsと限定リップを開発。ここからコンバージョンを出すよりは、今までリーチ出来なかった属性にブランド認知してもらうためのもの。そしてその認知をした後に関連するリアルな体験などを提供するのが重要と言われている。
Three Ways Brands Are Tapping China’s Digitally Native Luxury Shoppers
D2C企業の体験談: 大手リテーラーで販売するタイミング
D2C企業はダイレクトにユーザーと取引やコミュニケーションをするため、関係性が深まり、ユーザーの課題をより理解して改善を他社より早いスピードで対応できる。そんな重要なデータを取得できるのはメリットだが、引き換えに全米での認知度を獲得するのにより時間がかかるケースが多い。あるタイミングで卸事業を検討するのが必要になってくる。『Thingtesting』によると、CasperはTarget、Walmart、Macy's、Harry'sはTargetとBootsなど、それ以外もFunction of Beauty、Dirty Lemon、Acid Leagueなど様々なブランドが大手リテーラーで販売をはじめているという。反対に卸をするリスクも実際にある。Targetの1,800店舗に在庫を用意するのにかなりのキャッシュが必要なのと、そもそもリテーラーのバイヤーが選んでくれる確信もない。すぐに外される可能性もある。実際にTargetでの販売をやり遂げたHilmaはTargetのバイヤーを二人違うアプローチで説得したと説明して、説得する際にはHilmaのピッチや優位性を理解させるのが大事だと言っている。さらに交渉中に資金調達を実施できたのが安心材料にもなったと言う。ビューティーブランドのThree ShipsはIndie Beauty Expoというカンファレンスでバイヤーを探していたときに、ネームバッジを隠してた女性と話した際に、その女性がたまたまWhole Foodsのバイヤーだったそうだ。結果数ヶ月間ブランドの素材やソースしている工場などのディテールを共有した後、Whole Foods 45店舗で販売することになった。
Stocking the shelves: Why direct-to-consumer brands want to go wholesale
ビューティー業界で変革を起こすのもまたZ世代だ
『Vogue Business』では、Z世代がDIYファッションやジェンダーニュートラルなジュエリーをTikTokを活用してトレンドにしたように、ビューティー業界も新しいイノベーションやトレンドをもたらしていると紹介している。Z世代は今までの世代と比較してオンライン上でより発言していて、ブランドから聞かれるのが嬉しいだけではなく、ブランドがフィードバックによって変化する期待値もある。だからこそアメリカの10代で2番目に人気なブランドのe.l.f. BeautyはZ世代の話を聞いて、彼らが考えるトレンドに乗ることをプライオリティにしている。アメリカのZ世代はどの世代よりもダイバーシティがあるからこそ、ブランドは幅広い人種のためのプロダクトを作るべきと思っている。Y Pulseが調査した79%のZ世代はブランドは人種、民族、性別、体の大きさ、障害を持っている人たちのためのプロダクトを作る責任があると感じている。そして友達になれなそうなブランドからは購入しない。そのため、多くのビューティーブランドはヴィーガン、クルエルティフリー、サステイナブルなパッケージ、社会インパクトなどにフォーカスしている。
さらにカラーコスメからスキンケアへの消費が増えているのもトレンドとなっている。より自分の肌を見せて、何か誤魔化すことを嫌っている人が増えている。さらにハイブリッドプロダクトが増えていて、スキンケア商品の素材をメイク商品に入れ込むトレンドがある。MorpheのFilter Effect Foundationはこの一例。オンラインでプロダクトのリサーチするのが上手いZ世代は今までとは違うエキスパート消費者になっている。ブランドのGood Lightによるとプロダクトを購入する際にはそのプロダクトの原料を5個から10個調べていると言っている。その需要を埋めるためにブランドは原料のコンテンツをより詳しく提供し始めている。特にTikTokなどでは教育コンテンツの反応は良いので、今後はTikTokで教育コンテンツを活用して新規ユーザー獲得につなげるブランドが増えるかもしれない。
🎙Podcast
This Week’s Topic: Evolution of Curation
編集後記
今回は、『キュレーションの進化』をテーマにお送りしました。ブランドは、商品を売るだけではなく、その商品のライフスタイルに会うキュレーションコンテンツを提供することが当たり前になってきている中で、大きく分けて3つのキュレーションの進化が出てきました。1. ブランドのキュレーション 2. 複数のブランドのキュレーション 3. ブランドからヒトへ、キュレーターの台頭。宮武さんが紹介していたリル・ジュピター(@liljupiterr)も私も見ています。ちなみに、ビリー・アイリッシュの好きなInstaアカウントでもあるらしいです。そして、キュレーターをどう”コマース化”させるか。ひとつは、キュレーターを集めたコマースサイト、ふたつめにキュレーターにコマースのツールを提供する方法。沼田さんも購入したと話していたブランドやキュレーターによるEC Basic.Spaceは過去にもCEREAL TALK # 6で詳しくご紹介しているのでそちらもチェックしてみてください。最後のほうに紹介したWarby Parkerの事例も気になっています。他にもメンションしたブランドやサイトはポッドキャスト概要欄に記載しています。みなさんのおすすめのキュレーターは誰ですか?🍃—草野
📰 News
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