#35 イケてる開封体験とサステイナビリティのバランス
消費者から製造者へ、中国のC2Mのトレンド、バレンシアガのバーチャル世界を手掛けたDimension Studioとは?、ブランド担当者のためのDiscord戦略
『CEREAL TALK』は、米国の次世代ブランドや小売、ニューラグジュアリーにフォーカスしたメディアです。毎週月曜日の朝にニュースレターをお届けしています🥣 by 沼田 雄二朗(@Numauer), 宮武 徹郎(@tmiyatake1) and 草野 美木(@mikikusano)
🥣 Briefing
イケてる開封体験とサステイナビリティのバランス
多くのD2Cブランドは店舗がないため、プロダクトの開封体験にかなり注力していた。ただコロナ期間中にEC利用率が上がる中、体験だけではなく、どうやれば環境に優しいパッケージを提供できるか考える必要性も上がっている。2020年1月から10月にかけて、アメリカの段ボール業界は$67.3Bの売上を達成していたが、最近だと使い直せるパッケージやパッケージの素材を気にするブランドが増えていると『Thingtesting』は伝えている。Fondfolioはパーソナライズされた本を提供しているが、商品をビンテージのスカーフで巻いている。ボディーウォッシュのPlusはボトルではなく木をベースにしたパッケージを活用。ノンアルコールスピリッツのAplosはプラスチックを使わないパッケージを探すために9ヶ月間かけて、ようやくキノコベースの素材を活用して発泡スチロールっぽいものを作れた。現状の課題としてはコストやパッケージがどれだけサステイナブルかを知るのに時間がかかること。ただ、徐々に色んな観点から環境問題に対して意識しているブランドが増えている。
Rethinking unboxing: Brands are getting creative to solve the growing packaging problem
消費者から製造者へ、中国のC2Mのトレンド
中国ではAlibaba、JD、PinduoduoなどがC2M戦略を展開している中、このトレンドがどう進化してるか知る必要になっている。製造者が直接消費者とつながる事によって製造者が自社ブランドを立ち上げて、より低い値段で高いクオリティの商品を出来る、サプライチェーンが強い中国からすると自然な進化となる。キャピタリストのアレクサンドル・デューズのニュースレター『Overlooked』で解説されるのは、元々は製造者はマーケットプレイスを立ち上げて、そこからユーザーの情報を仕入れてC2M戦略をしてたのが、今ではソーシャルEC企業から需要、値段、パッケージ方法、数量、顧客情報を仕入れられるようになったのがこのトレンドがより大きくなっているそうだ。今ではOEMではなく、OBM(Original Brand Manufacturer)の時代になり始めている。Pinduoduoでは2018年に製造者にユーザーのデータを提供してC2M事業を始めた。PhilipsやWhirlpoolの商品を製造していたJiaweishi社は2018年に自社のロボット掃除機ブランドをローンチした。元々工場の余ったキャパシティーを活用して自社ブランドを立ち上げていたが、うまくいってなかったのを、Pinduoduoと連携してから1年で自社ブランドの売上が$4.6Mまで上がった。
バレンシアガのバーチャル世界を手掛けたDimension Studioとは?
バーチャルプロダクションスタートアップ「Dimension Studio」は、デジタルヒューマンやバーチャル世界をブランドのために開発している会社だ。ロンドンにある彼らのオフィスに行くと、人の3Dスキャンをするための106台のカメラが設置されているステージがある。その3Dスキャンをバーチャル世界などに落とし込むことが可能。『Vogue Business』によると、2020年から2021年にかけて$6.5Mの売上を達成。ARの試着、VR SHOWROOM、ファッションゲームなどの開発の問い合わせが殺到している。そんな中でも最も彼らを有名にしたのは、Balenciagaの2021年秋・冬コレクションをゲームで見せた「Afterworld」を開発したこと。それ以外にもロンドンのファッションウィークのバーチャルキャットウォークやH&MのARポップアップブックを作った実績がある。今後は多くのブランドやDimension Studioのようなクリエイティブ代理店は3D技術を理解している人たちの採用が必要となってくる。
Dimension Studio: How fashion is being brought to the metaverse
🎙 Podcast
This Week’s Topic: 店舗とポップアップ
Glossierがコロナ後の閉店から新店舗をシアトルにオープン。出店先のローカルからインスピレーションを得て、作る通称「エクスペリアンスルーム」のこだわりはトップクラス。移動型ポップアップショップや直近$140Mの時価総額で$20M調達したZ世代に人気のアンダーウェアブランドParadeのポップアップの出店場所戦略は要チェック(Appleポッドキャストはこちら)
✏️ View
ブランド担当者のためのDiscord戦略
1.5億人の月次アクティブユーザーがいるDiscordに多くのブランドがアクセスし始めている。StockX、Chipotle、Jack in the Boxなどは自社のDiscordサーバーを立ち上げて、既存のファンとコミュニティを作ろうとしている。ただ、TikTokやInstagramと違ってDiscordではディスカバリー機能が全くないため、自社サーバーにいる人たち以外のリーチをするのが難しい。そんな中、『Modern Retail』によると大きく二つの戦略をブランドがとっているそうだ。一つ目は何かの特定のトピックについてサーバーを立ち上げること。これは自社のプロダクトの場合もあれば、ブランドがあまり目立たない、ファンが好きなテーマを選ぶ会社もいる。二つ目でまだ検証されている戦略は人気のDiscordサーバーを運営しているクリエイターとコラボする戦略。プレッツェルブランドのFlipzは6つのサーバーと提携して、サーバー内でボットとジャンケンをするゲームを入れ込み、勝ったユーザーは商品をもらえるキャンペーンを実行した。まだ顧客データの取得などが難しいが、多くのブランドがDiscord上でどう言うマーケティングをするべきか気になり始めている。
Editor's View
Discordで何かしらのブランディングやキャンペーンをするのは今のうちにやるべき。まだ過小評価されている気がするので、今やると思った以上のROIを実現できるかもしれません。私自身もいくつかのDiscordサーバーとSlackコミュニティに参加してますが、Discord上のコミュニティの方がアクティブな印象。特にクリエイターのDiscordサーバーとかであれば、よりファンと繋がりを持ちたいために活用しているので、ブランドとしてはそこでプロモーションした方がコンバージョンが良さそう。あとはブランド側として、どうDiscordチャネルっぽい、面白い企画を考えられるかが重要だと思います。NFTやゲームのコミュニティがDiscordでは強いので、何かしらそう言う要素を絡めるのが良いかもしれません。——宮武
📰 News
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