#57 ブランドがReddit広告に投資している理由
EV充電スタンドの座を狙うスターバックスの戦略、Ramen Hero長谷川さんに聞く「日米ラーメンの違い」や「配送とクラウドキッチン」、アメリカD2C業界がWeb3に注目しはじめたきっかけ
🥣 Briefing
ブランドがReddit広告に投資している理由
下着ブランド「MeUndies」や化粧品小売大手のUltaなどのブランドは、ターゲット広告のためのクロスアプリ・トラッキングを必要としないプラットフォームであるRedditでの支出を増やしていると『ModernRetail』は伝える。
eMarketerによると、Redditは2021年に前年比89%の成長を遂げ、今年はさらに39%の広告収入の増加が見込まれているそう。独自に分離されたユーザーコミュニティやサブレディット内(特定の領域向けに焦点を当てたコミュニティ)で、ブランドに対して有料プレースメントを提供している。過去1年間でUltaやMeUndiesなどのブランドは、Reddit上の有料プレースメントへの投資を増やし、Redditは広告部門の人員配置と拡大に多額の投資を行ってきた。
Redditの「National Underwearキャンペーン」の投稿では、388件のコメントがあり、MeUndiesの他の広告キャンペーンの平均パフォーマンスレポートよりも15倍高いトランザクションリフトを記録した。「コミュニティと直接関わり、広告自体の中で購買行動を促進するようなプロンプトを作成できるプラットフォームは他になかった」とMeUndiesマーケティングディレクターのエリス・シェーファーは話している。
UltaではRedditのPixel機能を利用し、プラットフォームとファーストパーティ・データを共有し、サイトを訪問した顧客を再ターゲットすることもできた。
その一方で、Redditの強みであるすでに確立された関心を持つコミュニティはプラグアンドプレイの広告環境に慣れているブランドにとって課題でもある。
Redditではコミュニティ濃度が高い分、ユーザーとの深いつながりを築くためにコンテンツを調整、試行錯誤することが求められるだろう。
Why brands like Ulta and MeUndies are investing in Reddit advertising
EV充電スタンドの座を狙うスターバックスの戦略
世界的な需要増から、アメリカの電気自動車は2030年までに2,600万台に到達するだろうと言われている。ここで問題として上っているのが充電スタンドの不足だ。
そんな現状の打破に名乗りを上げたのが、大手コーヒーチェーン、スターバックス。同社は今年、VolvoとEVインフラ企業「ChargePoint」と提携し、充電スタンドの少ない、デンバーからシアトルの道路沿い店舗の駐車場に、EV充電器を設置する試みを進めている。
『Fast Company』の記事によると、この試験的なプロジェクトは、スターバックスが昨夏から目標にしている資源の消費量よりも還元量を増やす「リソース・ポジティブ」企業化に向けたサステナビリティ計画の一部だ。ただ、この目的はそれだけではない。
ガソリンの給油に比べて、EVの充電には時間がかかる。その待ち時間を店舗で過ごしてもらうという狙いもあるようだ。チーフ・サステナビリティ・オフィサーであるマイケル・コボリは、これをEVの充電と、旅先で朝からスターバックスに立ち寄るという消費者行動とを組み合わせたものであると説明している。朝食を取りつつ、その日の旅程を確認し、店を出ると充電が終わっているのだ。
社会的責任を実行することと、顧客接点を増やすことを同時に実現するという、そのしたたかさに思わず舌を巻いてしまった。
Starbucks will pilot EV charging stations in its parking lots
🎙 Podcast
Ramen Hero長谷川さんに聞く「日米ラーメンの違い」や「配送とクラウドキッチン」
今回は、ゲストにRamen Heroの長谷川さんに来て頂き、日米のラーメンブランドの違いやアメリカで衝撃だった配送・クラウドキッチン、様々な人種や文化、味覚があるアメリカに対してどう美味しさを提供するかなどお伺いしました。
✏️ View
アメリカD2C業界がWeb3に注目しはじめたきっかけ
去年末からアメリカ中ではNFTなどWeb3がバズったが、これは金融業界だけではなく、アメリカのD2C業界の起業家やVCも影響されている。シナボンなど飲食店を複数持つFocus Brandsの元COO、ユニリーバに買収されたデオドラントブランド「Schmidt's Natural」元CMOのクリス・カンティーノなど多くの業界のインフルエンサー的な存在のアバターを見ても、NFTアバターになっている。去年初めには、クリス・カンティーノはTwitter上でD2C業界のtipsや戦略をスレッドとして紹介していたのが、今ではほとんどのツイートがWeb3関連になっている。彼がWeb3にフォーカスし始めた一つの理由としてはC向けブランドの投資がかなりレッドオーシャン化されたからと『Modern Retail』の取材で語る。誰でもShopify経由で店舗を作れる中で、CPGブランドへ投資するのはよりリスクが高くなっている。それと比較してWeb3領域は人気だがまだ競合が少ない。そしてWeb3サービスのマージンの方がCPGブランドより良いケースが多い。
ブランドとしてはWeb3領域のコミュニティ要素を見るべきとよく言われる。NFTやブロックチェーンを活用したロイヤリティプログラムやメンバーシップ機能を作ることを検討するべき。ブランドエバンジェリストのコミュニティを作り、ユーザーがオーナーシップを持ってブランドプロモーションしてくれる世界を作る戦略が大事なのかもしれない。そう考えると、Web3のカルチャーはここ2〜3年のD2Cトレンドと変わらず、ブランドのカルチャー・コミュニティ作りにフォーカスするブランドが勝つことを示している。
Editor's View
まだ成功事例は少ないが、いくつかのブランドがNFT・Web3を活用した行動を取り始めている。過去のCEREAL TALKでも話したPoolsuiteは最近デジタルメンバーシップをNFTカードとして販売。1枚$800ぐらいで販売して、今までで$2Mほど売った。カードホルダーは未来のプロダクトドロップへのアーリーアクセス権やイベントに参加できる。しかも今後は追加で特典を提供できるのが、一つNFTの良いところでもある。Poosuite以外にPepsi、Adidas、Nikeなど大手ブランドも参入したり、去年はラグジュアリーブランドの多くがNFT販売を試している。2022年に関してはブランドがNFTをアートみたいな感じで販売することではなく、何かしらのユーティリティがあるNFTをユーザーが求めるはず。場合によっては今後ボトムアップ型のDAO化されたD2Cブランドなども出てくる可能性はある。——宮武
📰 News
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コマースAPIを開発しているRutterが$27M調達を発表 - Finsmes
男性向けのコスメブランド「Stryx」去年売上が250%成長 - Modern Retail
リテーラーが簡単に200以上のマーケットプレイスで販売するようにできるChannelEngineが$50M調達を発表 - TechCrunch
元スタバCEOのハワード・シュルツが戻ってくる - Wall Street Journal
蜂がいなくても蜂蜜を作れるMeliBioが$5.7M調達を発表 - TechCrunch
3連休最終日ですね、しっかり休みましょう〜〜〜🍃 by CEREAL TALK編集部
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