#65 GUCCIがクリプトを受け入れた
Allbirdsの訴訟に見るサステナビリティ戦略で気をつけること、US出張 Snapshot: Bonobos創業者アンディーさんに会った!、トレンドは死んでいる
🥣 Briefing
GUCCIがクリプトを受け入れた
GUCCIが、米国の一部の店舗でビットコイン、イーサリアム、Dogecoinなどのデジタル通貨による支払いを受け入れることになったと『BoF』は伝えている。GUCCIは今月末から、米ドルにペッグされた5つのコインとともに、ビットコイン、イーサリアム、ドージコインを含む10の暗号通貨での支払いを受け入れると発表した。パイロットプログラムでは、マイアミ、ロサンゼルス、ニューヨーク、アトランタ、ラスベガスの一部の小売店に限定される予定。この動きは高級ブランドがブロックチェーンやメタバースに関連するツールの実験に取り組んでいることに影響を受けたもので、話題性の高い分野の開拓を目指すとともに、技術の早期採用者のコミュニティ間でGUCCIの知名度やそこでの仲間意識を高め、個々が保有する暗号通貨の価値を高めることを狙ったもの。
しかし、コインの変動性、従来の通貨に戻す際の取引手数料、トークンの作成と転送に必要な環境を配慮した体制づくりへの懸念、受け入れに対する警戒などの要因により、他ブランドはこのテクノロジーの採用を控え続けているという一面も。暗号通貨による支払いを受け入れることは話題性はあるものの、これらのリスクを上回るメリットがあるのかどうかがキーになりそう。
Allbirdsの訴訟に見るサステナビリティ戦略で気をつけること
昨年夏、環境配慮に関するマーケティング表現が誤解を招く詐欺的なものであるとして、一部消費者から提訴されたスニーカーブランドAllbirds。『The Fashion Law』によるとこの訴訟は4月18日、ニューヨーク州南部地区連邦地方裁判所のキャシーセイベル判事が、同社の棄却申請を認め原告の訴えを退ける幕引きとなった。 当裁判で焦点が当てられたのは、Allbirdsの広告表現と、カーボンフットプリントの算出方法についてだが、どちらも消費者に重大な誤解を与えるようなものではないとの判決に至っている。 今回Allbirdsが訴えを免れた要因として、自分たちの手が及んでいない範囲まで、あたかも配慮できているかのような見せ方はしていなかった点がポイントであると推察される。例えば、同社広告では羊に優しいウールの生産調達を全面に謳っているが、羊毛産業の環境改善に貢献しているとはいえないとの指摘を消費者側が提示した。しかし、それら広告で産業全体の改善をしているとの誤解は受けないだろうと当裁判では判断されている。
こうした判例が現在進行系で増えていることからも、もちろん企業側は細心の注意を払って戦略を探るべき。ただ大局的に見ると、消費者とブランド間でトライアンドエラーを繰り返すことは、ビジネスにおける環境配慮の精度を上げるという観点では前向きに捉えられもするのではなかろうか。結果がどうであれ、その訴訟内容を受けた各企業の次の一手にこそ期待したいなと思う。
Allbirds Escapes False Advertising Lawsuit Over Sustainability-Centric Ads
📸 Snapshot
Bonobos創業者アンディーさんに会った!
US出張中の沼田さん宮武さん。ということで一部様子をご紹介!写真のアンディー・ダンさんは、元祖D2Cブランドと言われてるメンズブランド「Bonobos」創業者。苦悩に満ちたBonobos創業物語は業界の中では有名だ。友達との起業、躁うつ病のと戦い、資金ショートの危機。最近発売したアンディーさんの回想録『Burn Rate』に共感、そして勇気をもらえる起業家も多いだろう。
他にも、RTFKTのパーティーの様子などもつぶやいてるのでチェックしてみて!
✏️ View
トレンドは死んでいる
Voxのコラムが面白かった。著者のテリー・グエンは、オンラインにあるものすべて購入できる(buyable)、理解できる(understandable)、または消費に値する道徳的なもの(moral)のどれかを単純化することを促進していると述べている。これを「トレンドブレイン」と定義していた。記事の中では「cottagecore」を事例に紹介していて、cottagecoreとは、cottage(コテージ)、田舎生活をロマンチックにした美学のトレンド。これはTumblrのムードボードから登場し、2020年にTikTokでバズった。Tumblrで表現されていたときはムードボードや画像のスクラップだったが、TikTokが購入可能なものにした。動画でそのムードを表現するためにアイテムはどこで買えるか、どこで撮影しどのフィルターを使えばそれっぽいか誰でもアクセスできるように。そして、形式化し、ブランドがその美学を再現できるように紹介し、購入へ繋げることが可能になった。SNSの威力とバイラル性によりサブカルチャーがサブカルチャーであることの維持が難しくなった。マイクロ美学がバイラルすることは必ずしも悪いことではないが、音楽やファッションシーンで最初に見つけた本来の概念を削ぎ落とす。と著者は述べる。トレンドのスピードが速くなり、誰かが名前を付け、サマライズし、消費する。終わりのないトレンドの流れはさらに加速し続いていく。トレンドとカルチャーを更に勉強したくなった記事でした。——草野
📰 News
ZARA、オンラインでの返品が有料に、店舗返品は無料 - BBC
『Euphoria / ユーフォリア』のメイクアップアーティストがA24と共同でメイクブランド「Half Magic」が今週ローンチ - A24
VOGUEがグローバルメンバーシップ「VOGUE CLUB」をローンチ - VOGUE
KlarnaがHero買収によるバーチャルショッピングツール機能を公開 - Klarna
Google、バーチャルクレジットカード機能が導入 - Gizmodo
ラグジュアリー品をNFT化をするWeb3企業「Arianee」がタイガーグローバルから調達 - Arianee
ピーナツを使わないピーナツバター「Voyage Foods」が調達 - Green Queen